レバレッジ効果の誤解!~あなたはローン定数を知っていますか?
レバレッジ効果とは
少しでも不動産投資について勉強した人であれば、レバレッジという言葉を知らない人はいないでしょう。
手元資金だけで投資をするよりは、金融機関からの借り入れを併用して規模の大きい不動産に投資をすれば、手元資金だけの投資と借り入れ併用の投資との投資利回りが同じだった場合には、借り入れ併用の大規模不動産ならば手元資金投資の数倍のリターンを得ることができます。
これをレバレッジ効果といい、レバレッジを効かせて投資規模を拡大する、などの用いられ方をしているようです。
イールドギャップと呼ばれる投資利回りと借り入れ金利との差の適正値には諸説あり、デッドラインは投資利回りが借入金利を上回っていることで、いわく5%が適正だ、あるいは3%なら安全圏だ、はては上回ってさえいればレバレッジが効いているのだから金利が安いうちにどんどん買い進めるのが賢い投資だなどとみなさん言いたい放題の様相を呈しています。
ところが、残念ながらこれらはまるで的外れの議論であり、すべてが間違っています。
レバレッジ、という言葉が示すとおり、これは日本で生まれた概念ではなく輸入品なのであり、本家本元のアメリカでは投資利回りと借入金利などという単純な比較でレバレッジ効果を測定してはおりません。
世界標準の不動産投資理論では、投資利回りと比較するのは借入金利ではなく、ローン定数なのです。
ローン定数とは
ローン定数?初めて耳にした人がほとんどなのではないでしょうか。
ローン定数はK%とも呼ばれているので、このK%のKは何の頭文字なのかと当社顧問のCPMに聞いてみたところ、当のご本人も疑問に思ってアメリカ人のCPMに聞いたらK%はK%だよと返されてしまったのでそういうものだと思ってください、とのことでした。
このローン定数K%の求め方はいたってシンプルで、
年間借入返済額÷借入残高
で求めることができます。
たとえば、2000万円を金利2%の30年ローンで調達した場合、ローン定数K%は年間返済額 887,076円 ÷ 借入残高20,000,000円となり、4.4%と求めることができます。
借入金利は2%なのに、ローン定数K%は4.4%にはね上がってしまうのです。
借入金利が2%なのだから投資利回り4%の物件を探してレバレッジを効かせてどんどん買い進めよう、というようなケースだと、投資利回りがローン定数K%を下回っているので、世界標準の投資理論上レバレッジなど効いていないことになります。
広く行きわたったレバレッジについての誤解から悲劇が生まれないことを祈るばかりです。
当社で開催している金融資産防衛セミナーでは、このレバレッジ以外にもいくつかCPM理論の考え方を紹介していますので、お時間が許すのであればぜひお立ち寄りくださいませ。
このコラムを書いている人
中村 彰男
1961年 東京生まれ 学習院大学経済学部卒業後、37年間一貫して不動産業に従事。 うち、ローンコンサルティングなど業務畑経歴24年。 実家をアパートに改築し賃貸経営を行うかたわら、 自身も不動産投資にチャレンジした経験を持つ。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ビル経営管理士/宅建マイスター/管理業務主任者/賃貸住宅メンテナンス主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/不動産コンサルティングマスター/土地活用プランナー
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