
みなさんは、登記簿謄本を見たことがありますか。
登記簿謄本とは、建物(家屋)や土地といった不動産の所有者についての情報が記載されている書類のことをいいます。
今回は登記簿謄本の読み方と重要なポイントを解説していきます。
登記簿謄本には何が書いてあるの?
登記簿謄本には、おもに下記の事項が記載されています。
■表題部・・不動産の基本的な概要(建物の種類・構造・築年数などが記載)
■権利部甲区・・不動産を所有している人物や法人について
■権利部乙区・・所有権以外の権利(抵当権等)について
出典:法務局 全部事項証明書(不動産登記)の見本
表題部
表題部には、建物の種類・構造・築年数などが記載されています。
①所在
所在に書かれる住所は地番になります。地番は普段私たちが使っている住居表示とは少し違って土地に付けられた番号です。分かりやすく言うと、昔から使われている住所になります。
②構造
建物の骨組みの種類・何階建の建物の内容が記載されています。
骨組みの種類には、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などがあります。
③床面積
建物全体の床面積が記載されています。階数のある建物については、それぞれの階の床面積が記載されています。
④地目
土地の種類が記載されており「宅地」「山林」「田」「畑」「雑種地」に分類されます。
⑤地積
土地の面積が記載されています。
⑥登記の日付
登記された日付が記載されています。
権利部(甲区)
権利部(甲区)には現在の所有者・その物件を所有した者の履歴等が記載されています。
⑦順位番号
その建物を所有した順番が記載されています。一番下に書かれている番号が現在所有している人になります。登記簿謄本に記載されている番号の数が多いほど、過去に売買等で所有者が入れ替わっている回数が多いということになります。
⑧登記の目的
最初に所有した時だけ「所有権保存」と記載され、その後は所有者が入れ替わると「所有権移転」と記載されます。
⑨受付年月日・受付番号
登記が受け付けられた年月日で番号が記載されています。ここに記載されている受付番号は権利書にも記載されています。
⑩権利者その他の事項
権利者の名前・住所が記載されています。
権利部(乙区)
権利部(乙区)は抵当権等の権利の情報履歴が記載されています。
⑪登記の目的
ここには抵当権等の権利が記載されます。抵当権は住宅ローンを組むときに、住宅の土地や建物に金融機関が設定する権利です。
ちなみに下線部が引かれている部分についてはその内容が抹消されているものになります。
⑫受付年月日・番号
抵当権等の権利が設定された年月日が記載されます。
⑬権利者その他の事項
ローンを組んだ金額・ローンの金利・ローンの支払いが遅れた時に発生する利息・ローンを組んだ人の住所氏名・お金を貸した会社等が記載されます。
次に、権利部甲区には不動産の所有者の情報が記載されています。
見本の登記簿謄本から読み解くと「法務 五郎」が所有権をもっています。
最後に権利部乙区には抵当権等の担保権と言われる権利が記載されています。
代表的なのが、「抵当権」です。抵当権とは、住宅ローンの返済ができなくなった際のために、金融機関が不動産を担保として確保する権利のことを指します。
見本の登記簿謄本から読み解くと抵当権が設定されており、抵当権者は株式会社南北銀行さん。土地と家屋に共同担保が設定されています。
共同担保目録は、簡単に言うと「他の不動産に対する抵当権の情報」について書かれている項目です。
ローンを借り入れてワンルームマンションを購入した場合、購入したワンルームマンションだけでは担保が足りない場合があります。その際は購入者ご自身のご自宅の土地・建物にも金融機関からの抵当権が設定され共同担保となる場合があります。
登記簿謄本の見方のポイント(注意点)
登記簿謄本にはたくさんの情報が記載されていますが、とくに下記内容を見ることが重要です。
表題部に記載されている構造や築年
販売図面には、鉄筋コンクリート造と記載されているのに登記簿謄本には鉄骨造と記載されていたり、間違った築年数が記載されていたりすることがあります。正しい情報を把握するためにも登記簿謄本を確認することが重要です。
(ご自身が買主側の場合)権利部甲区に記載されている所有者が売主と同じか
不動産売買時、売主が代理人で現所有者とは違う人の可能性があります。
ドラマ「地面師」でも話題になりましたが、その代理人が詐欺師の可能性もあるので登記簿謄本に記載されている人物と売主が同じであるかを確認する必要があります。
(ご自身が売主側の場合)権利部甲区に記載されている住所氏名に変更がないか
権利部(甲区)には所有者の住所氏名の記載がありますが、この内容に変更があった場合には、変更登記を申請する必要があります。例えば物件を購入され登記申請後に引っ越しで住所が変更になった場合や、ご結婚や婿養子等で氏名が変更になった場合が該当します。
ワンルームマンションを売却される際は、決済時の登記申請の際に司法書士の先生に変更登記申を同時に進めてもらうことも可能ですのでご安心ください。
(ご自身が売主側の場合)権利部乙区に記載されているローン残債が売却額を超えていないか
ワンルームマンションを売却される際は、抵当権等の担保権が設定されている場合ローンを完済して抵当権等の登記を抹消する必要があります。
お持ちのワンルームマンション売却した代金より、抵当権の残債金額が多かった場合は持出金を準備していただく必要があります。
ローンを完済しないと抵当権を抹消することができず、お持ちのワンルームマンションを売却することができませんので、注意しましょう。
まとめ
今回は登記簿謄本の見方とポイントについて、ワンルームマンション売却に焦点を当てて解説しました。