サブリース契約の仕組み
サブリースとは、賃貸経営方法の一つです。
オーナー様が不動産管理会社とサブリース契約を結ぶと、不動産管理会社はオーナー様の所有する賃貸物件を一括で借り上げ、入居者に転貸します。
通常入居者はオーナー様から部屋を借りますが、サブリース契約ではオーナー様の部屋を管理会社が借り、それを更に入居者に貸す、いわゆる「又貸し」になるのです。
サブリース契約のメリット・デメリット
次に、賃貸オーナー様がサブリースを利用する際に得られるメリットとデメリットについてご紹介します。
サブリース契約を結ぶメリット
✅ 安定した収益を得られる
✅ 契約当事者になる必要がない
サブリース契約では、不動産会社が借り上げて賃料をオーナー様に支払うため、たとえ空室があったとしても安定収益を得られます。
入居者と直接契約しないので、トラブル対応や管理はすべて管理会社が行い、オーナー様は安心して賃貸経営ができます。
サブリース契約のデメリット
下記のように、サブリース契約にはいくつかのリスクがあります。
✅ 賃料の変更を求められ、管理会社とトラブルに発展する
✅ サブリース契約期間中に解約されてしまう
✅ オーナー様の収益向上を図ることが難しい
✅ 家賃相場より安い賃料設定になる可能性も
✅ 賃貸管理会社の経営方針が変わり解約できない
また、サブリース賃料は家賃相場より5〜10%安く設定されることが一般的なので、どうしてもサブリース契約がついている不動産は、投資家からは敬遠されてしまいがちです。
サブリース会社が契約解除に応じないことが、売却時に初めて発覚することも。
一度は解約に応じると言っていた管理会社が、経営方針の変更で突然対応しなくなるケースが増えています。
サブリース物件は売却できる?
当社が1ヶ月で取り扱う案件約100件程度のうち、約4割程度がサブリースつきの物件です。
サブリースを解約してから売却するか、解約せずにそのまま売却するかはケースバイケースで、オーナー様に一番メリットがある方法を検討します。
サブリース契約の解約方法はサブリース会社によってさまざまなので、交渉にはノウハウが必須です。
逆にいえば、ノウハウが豊富であればサブリースつきの物件でも難なく売却を進めることが可能です。
一方で、サブリースの案件に慣れていない不動産業者であれば、査定の段階で断ってしまうケースもあるようです。
サブリース契約を解除してから売却する場合のメリット・デメリット
サブリース契約つきの物件の売却には、サブリース契約を解除してから売却する場合と、サブリース契約がついたまま売却する場合の2つのパターンがあります。
まずは、サブリース契約を売却する前に解除するケースのメリットとデメリットをご説明します。
サブリース契約を解除してから売却するメリット
① サブリースつきの物件よりも高額で売却可能
一般的に、サブリース契約によってオーナー様に支払われる賃料は実賃料の90%程度となることが多いです。
投資用不動産は利回りによって販売価格が左右されるため、手元に入ってくる賃料が低くなればその分利回りは低下し売却価格は安くなってしまいます。
しかし、サブリースを解除をすれば割り引かれていた賃料が満額オーナー様の元に入ってくることになるので利回りが上がり、売却価格も上がります。
② サブリースつきの物件よりも買い手が増える
オーナー様にとってよっぽどメリットのある条件というわけではない限り、サブリース契約がついている物件はやはり買主から敬遠されがちです。
そのため、サブリース契約がついていない方が結果的にスムーズな売却が見込めます。
サブリース契約を解除してから売却するデメリット
① サブリース会社と煩雑なやり取りをする必要がある
不動産投資に慣れている方であれば、書類の記入など不動産会社・管理会社とのやりとりも苦ではないかも知れません。
しかし、不動産投資に不慣れな場合は専門用語がたくさん出てくる書類を読み込んだり説明を理解したりするだけでも一苦労でしょう。
解除に際しては、サブリース業者もあの手この手で回避しようとしてくるはずなので、より有利な条件で解約するためにはそれ相応の知識が必要です。
② サブリース契約の内容によっては、莫大な違約金がかかる
解約時には月の家賃の○ヶ月分がかかるなどの記載があるはずなので、サブリース契約書の条項を確認してみましょう。
違約金が高い場合だと、家賃6か月分を請求されるケースもあります。
サブリース契約を解除せずに売却する場合のメリット・デメリット
次に、サブリース契約を解除しないで売却する場合のメリットやデメリットを解説します。
より良い選択ができるようぜひ頭に入れておいてください。
サブリース契約を解除せずに売却するメリット
売り出し中の空室リスク対策になる
いざ売り出しを始めてから空室になってしまった場合、価格が下がってしまう可能性が高いです。
また、その時点から入居者募集をかけたり原状回復したりすれば、その分売却にかかる時間は伸びてしまいます。
一方、サブリース契約を続ければ空室リスクはなくなります。
サブリース契約を解除せずに売却するデメリット
実賃料のほうがサブリース賃料よりもかなり高額な場合は、解約後に売却した場合の金額と比較すると査定額が低くなってしまいます。
前述したとおり、投資用不動産の売却価格は利回りで計算しますので、オーナー様に入る賃料が低ければ低いほど査定額は下落します。
上記の通り、2つのケース両方でのメリット・デメリットを説明しましたが、どちらがどのくらいお得に売却できるのかは本当にケースバイケースです。
サブリース契約を締結したときの契約書の条項などを一緒に読み込んでくれてアドバイスをくれる不動産業者をパートナーに選びましょう。
一般的なサブリース契約つき物件の売却手順
① サブリース契約書の内容の確認
- 解約する場合の違約金の有無を確認する
- 違約金がある場合は何ヶ月分必要か確認する
- どのような方法でいつ解除を申し込む必要があるか確認する
② サブリースを解約した場合のリスクの確認
- 実賃料がいくらか確認する
- 違約金以外にかかる費用の有無を確認する
- 解約後の管理会社の選定をする
③ どのようなタイミングでどのように売却するか検討
- 実賃料や違約金などの金額や条件をもとに売却方法を検討します。
④ (サブリースを解除する場合)契約解除通知書を準備し、契約解除を申し出る
- 簡易書留、もしくは特定記録郵便、内容証明郵便などの差し出した記録の残る方法で郵送します。
⑤ 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社へ依頼する場合は、1社だけではなく数社ピックアップし価格や担当者の対応を比べてみましょう。
⑥ 売買契約の締結・引き渡しと決済
- 投資用不動産の場合は、売主・買主・仲介業者が直接会わずに売買完了まで進めることも多いです。
⑦ 売却後の手続き
- 譲渡所得税の申告・納税の必要がある場合は引渡し年度の確定申告の必要があります。