新型コロナウィルスの影響で不動産価格は本当に暴落するのか!?
新型コロナウィルスの影響で不動産価格は本当に暴落するのか!?
このところ、新型コロナウィルスの蔓延が不動産価格の暴落につながるのではないか、という観測記事を目にする機会が増えてきました。
不動産価格は株価に連動するのだから、株が下げれば不動産も下がる、みたいな短絡的な意見もありましたが、アベノミクスが始まってからの不動産価格の上昇は、株価の上昇をはるかに上回っているので、的外れもいいところだとはいえ、非常時にはつい目についてしまったりするものです。
2017年の夏ごろに、しきりにささやかれた、東京オリンピック暴落説がようやく影をひそめたと思った矢先のこのアクシデントですが、そういえば、オリンピック暴落説はどこへ行ってしまったのでしょうか。
いわく、「オリンピックまでは不動産価格は上昇を続ける」だの、「不動産市場はバブルに突入しており、そのバブルはオリンピック前後で弾ける」だの、開催が1年延びたのですから、延びた結果がどうなるのかを聞いてみたいものですが、皆さん、この件に関しては沈黙を守っていらっしゃるようです。
当社では、当時から、いたずらに不安をあおるような根拠にとぼしい説の横行に警鐘を鳴らしてきました。
不動産価格の決定要因は、あくまで金融政策と人口動態の関数なのだから、バブル相場に突入しているのは間違いないとしても、バブルがはじける要因を、オリンピックのような機会要因に帰すべきではないというのです。
消費者物価2%上昇という公約実現のために、大規模な金融緩和を行なった結果、大量の資金が不動産市場に流入し、不動産価格を押し上げたという構図が、現在の不動産バブルの正体にほかなりません。
この金融政策が、もし引き締めに転ずるようなことがあれば、その時こそ、不動産の価格は下落を始めるはずなのですが、今回のコロナショックによって、金融緩和は加速の方向に大きく傾いているのが実情なので、金融政策を要因とする価格の下落は起こらないと考えていいでしょう。
かつてのリーマンショックは、経済の血液であるべきマネーが、全世界から一時的に消滅したことによる大貧血性のショックだったので、即死者が続発したのは当然といえば当然でした。
しかし、今回は、経済危機ではあっても、金融危機ではないのです。
ならば、この経済危機は、不動産市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
当社は、区分収益不動産の仲介が専門なので、この領域に限定して話題を展開しますが、区分の収益不動産市場は、今のところ縮小の気配をみせてはいません。
加えていうなら、先に述べたリーマンショックの際にも、新築の区分収益不動産ディベロッパーは、本業以外に手を出して失敗したごく少数の例外を除いては、ほとんど倒産していないのです。
この事実が何を証明するかといえば、区分収益不動産の領域においては、未開拓の潜在顧客がまだまだ豊富に存在するということなのです。
そのうえで、どのような影響が考えられるかについて、次回は考察してみたいと思います。
このコラムを書いている人
中村 彰男
1961年 東京生まれ 学習院大学経済学部卒業後、37年間一貫して不動産業に従事。 うち、ローンコンサルティングなど業務畑経歴24年。 実家をアパートに改築し賃貸経営を行うかたわら、 自身も不動産投資にチャレンジした経験を持つ。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ビル経営管理士/宅建マイスター/管理業務主任者/賃貸住宅メンテナンス主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/不動産コンサルティングマスター/土地活用プランナー
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