スラム化マンション防止へ、資産価値を保つためには~不動産投資コラム~
令和2年6月24日、老朽化マンションの再生促進を目的とする「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の改正法が公布されました
スラム化するマンション
マンションの管理や運営は所有者によって作られている管理組合によって行われます。
区分所有法によって区分所有者は必ず加入しなければなりません。
管理会社が管理や運営をしていると思っている方もいらっしゃいますが、あくまでも管理会社は管理組合によって委託されている立場です。
管理業務に関して素人である所有者をサポートする立場です。
意思決定や重大な変更などは所有者によって決定されます。
共同体であるマンションを合理的に決定するためのものです。
では、所有者の多くが無関心や自分だけよければいいという決定を選びはじめるとどうなるでしょうか。
今現在、築40年超のマンションは81.4万戸あると言われています。
10年後には約2.4倍の198万戸、20年後には約4.5倍の367万戸と増えていく見込みです。
この古くなった建物をそのままの状態にしているとスラム化するマンションが急増していくと言われています。
新築時には最新の設備だったマンションも30年、40年経てば生活様式も変わり、どうしても周辺のマンションと比べ、賃貸や新しい所有者からみると劣ってしまうことになります。
長い目で見れば資産価値を保つためには共用部のリニューアルや外壁の修繕などは必須となりますが、なにもしないまま今のままでいいという声が大きければそのままになってしまいます。
マンションとしての資産性が落ちていくと貸すことも売ることも難しくなってしまいます。
そうして空き住戸が増えていけばスラム化するマンションもでてきます。
実際に今年の1月25日は滋賀県野洲市は市内の築48年の分譲マンションを空家対策特別措置法に基づき、行政代執行で解体工事しました。
壁が崩落し、解体命令がでていましたが所有者の一部とは連絡が取れず、自主的な解体は絶望的と判断された末のことのようです。
建て替え円滑法の改正
改正されるマンションの建替え等の円滑化に関する法律では、認定対象にこれまでの耐震性不足に加え、外壁の剥落などで危害を生ずる恐れがあるマンションや、バリアフリー性能が確保されていないマンション等を追加されます。
これまでは耐震性が不足している場合に区分所有者の5分の4の賛成があれば除却や土地の売却が可能でしたが、対象が広げられます。
また、団地の敷地分割制度が作られ、敷地の一部分割についても敷地共有者の5分の4以上の賛成で行えるようにしました。
資産価値を保つためには
一般的には古いマンションほどスラム化しやすいと言われていますが、築20年にも満たないマンションでも適正な管理がされず、放置されたマンションはあります。
スラム化をしてしまうと建替えたり解体することもままならず、所有者としての責任だけ残ります。
未然に防ぐにはマンションを購入した後も管理組合の一員として、積極的にマンションの維持・管理に関わることが、マンションの人気、資産価値向上にもつながります。
このコラムを書いている人
渡邉 幸也
1990年 秋田県鹿角市生まれ 東京都日野市育ち 2013年 株式会社FGH入社。不動産業界歴10年のノウハウを生かし収益不動産のプロフェッショナルとして、数多くの不動産を仲介する。 現在は、投資用不動産の売却・販売など幅広く担当している。 保有資格:宅地建物取引士
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