老兵は死なず

公開日2021/12/30
更新日2021/12/24


建物の区分所有等に関する法律にあたる「区分所有法」の制定から、来年2022年で60年を迎えます。人もマンションも高齢化が進み、マンション大建て替え時代は間近に迫っているようです。そんな中、2021年12月に分譲マンション建て替え条件緩和のニュースが飛び込んできました。
 
現状、区分所有法で定める建て替えは「管理組合員の五分の四以上の賛成と議決権の五分の四以上の賛成」が必要ですが、建て替え時の費用を敬遠する区分所有者に賛同してもらえないケースや、そもそも所有者不明で賛成票が集められないなど、条件の厳しさが問題視されていました。また、建て替えではなくマンションの敷地を不動産開発会社などに売却して代金を分け合う「敷地売却」という方法もありますが、原則区分所有者全員の同意が必要なことから、同じくハードルが高いと言われています。

集合住宅の大規模供給の始まり

第一次マンション建設ブームは、区分所有法制定(1962年)から東京オリンピック(1964年)が起爆剤となって始まったとされています。第二次マンションブーム(1968年~)では、価格を抑え大衆向けに三年住宅ローン付きマンションが人気を集めました。
第三次(1972年~)では政策が絡んだ「日本列島改造論」「住宅金融公庫融資」が後押しとなり、再びブームが起こります。
そして、民間デベロッパーが急増した第四次(1977年~)を経て、バブル経済期の第五次(1981年~)マンションブームでは、投資用ワンルームマンションが登場して、開発分譲はさらに加速しました。

耐用年数

税法上のマンション耐用年数は47年とされていて、その視点からいえば第一次~第三次マンションブームの頃に建設されたマンションは、要建て替えの老朽化物件にあたります。国土交通省令和2年統計によると、現在築50年を超えているマンションは15.8万戸にのぼり、五年後令和7年には53.5万戸、十年後の令和12年では103.3万戸まで右肩上がりに増える予想です。ちなみに建て替え進捗統計はというと、工事完了263棟、着工中32棟、準備中8棟で、一棟50戸と仮定しても1割に満たない実績となっています。
その一方で、“鉄筋コンクリート(RC)造のマンションは100年もつ”という説もあります。管理の仕方や立地、施工技術によってもかわると思いますが、一番重要なのは安全に居住できること。新しく生まれ変わって安全・安心が担保できるならそれに越したことはないと思います。

まとめ

例えば、区分所有法の建て替え決議の要件が「組合員の五分の四の賛成から四分の三かそれ以下に引き下げる」「不明所有者は除外」に緩和されれば、進捗できる管理組合があるかもしれません。これまで規制のしばりで建て替えに進めず、修繕工事を重ねざるをえなかったような管理会社にとっても選択肢が広がるでしょう。また、老朽化マンションの敷地売却の敷居が下がれば、大手開発業者や自治体の敷地取得機会が増え、地域ぐるみの再開発や大規模な事業につながるかもしれません。
投資用を含め、いまだに増え続けるマンション。今後も老朽化した際の対応に注視したいと思います。

このコラムを書いている人

石倉 直樹

石倉 直樹

1973年大阪生まれ、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、2級FP技能士、好きなキャラクターはねり丸、エルちゃんカルちゃん、昨年94年の歴史に幕を閉じたとしまえん、たくさんの思い出をありがとう。

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