サブリース、する?しない?
不動産投資を始めたとき、そうです、一番最初の始めるか始めないかの判断の次・・
新築マンションを購入した場合、「サブリースが付くので安心ですよ」と、勧められています。
本当にそうなのでしょうか?今回のコラムでは、二番目に判断することになるサブリースをするかしないかについてお話ししたいと思います。
まずサブリースとは?
サブリースと言ってもサービス形態や契約約款によって内容は異なります。
一般的に言われるサブリースとは・・
不動産会社が「賃借人」として契約し、対象物件を第三者に転貸する代わりに所有者へ賃料を支払うというものです。
上記の「賃借人」として契約するというのがキモで、自ら当事者として貸借する行為は宅建業の扱いにはなりません。
「賃借人」は借地借家法で弱者として保護され、賃貸人から解除を勧告されても拒絶できる権利を賃借人側が行使できる為、昨今のサブリース解除できない問題に至ります。
空室期間中も賃料が支払われるというメリットがある替わりに実際の賃料よりも低い金額(80~90%程度)で契約することになります。
また、礼金や更新料が発生しない為オーナーの総収入は低くなってしまいます。
東京圏の物件はサブリースしない
上記の通り、サブリース契約には礼金も更新料もありません。
東京圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)では礼金をいただけないケースもありますが、更新料(一般的に賃料の一か月分です。)は、ほとんどの場合頂くことができます。
家賃8万円の物件をモデルに10年間の収支をシミュレーションしてみます。
※家賃下落率は、年間0.7%、平均入居年数を3年、空室期間は2か月、礼金は一か月分、更新料も一か月分で試算。
サブリースは、比較的良い90%でシミュレーションします。
普通賃貸 | サブリース | 差異 | |
1年目 | 80000*12月=960000円 | 72000*12月=864000円 | 96,000円 |
2年目 | 79440*13月(更新料+1)=1032720円 | 71496*12月=857952円 | 174,768円 |
3年目 | 78884*11月(空室-2礼金+1)=867724円 | 70995*12月=851940円 | 15,784円 |
4年目 | 78331*12月=979972円 | 70498*12月=845976円 | 133,996円 |
5年目 | 77783*13月(更新料+1)=1011179円 | 70005*12月=840060円 | 171,119円 |
6年目 | 77238*11月(空室-2礼金+1)=849618円 | 69515*12月=834180円 | 15,438円 |
7年目 | 76698*12月=920376円 | 69028*12月=828336円 | 92,040円 |
8年目 | 76161*13月(更新料+1)=990093円 | 68545*12月=822540円 | 167,553円 |
9年目 | 75628*11月(空室-2礼金+1)=831908円 | 68065*12月=816780円 | 15,128円 |
10年目 | 75098*12月=901176円 | 67588*12月=811056円 | 90,120円 |
合計 | 9,344,766円 | 8,372,820円 | 971,946円 |
空室期間が確実に2か月出るとしても、更新料を貰える東京圏の場合、
サブリースが得になる期間は一度も発生しない可能性が高いのです。
このケースでは、3年毎に必ず入居入れ替えが起こる前提でシミュレーションをしていますが、
1人でも長い期間入居してくれた方いる場合、差額はもっと大きくなるでしょう。
近畿圏、名古屋圏、福岡圏では検討価値あり?
ところ変わって東京圏以外では・・
礼金が貰えないだけでなく、賃貸募集をする際に広告料が掛かります。
また、更新料も頂けないのが慣行(自動更新がほとんど)ですので、東京圏とはずいぶん毛色が変わります。
賃料6万円の物件でシミュレーションしてみると・・
※家賃下落率は1%、平均入居年数を3年、空室期間は2か月、募集時広告料1か月、サブリースは85%で試算。
普通賃貸 | サブリース | 差異 | |
1年目 | 60000*12月=720000円 | 51000*12月=612000円 | 108,000円 |
2年目 | 59400*12月=712800円 | 50490*12月=605880円 | 106,920円 |
3年目 | 58806*9月(空室-2広告料-1)=529254円 | 49985*12月=599820円 | ▲70,566円 |
4年目 | 58217*12月=698604円 | 49485*12月=593820円 | 104,784円 |
5年目 | 57634*12月=691608円 | 48990*12月=587880円 | 103,728円 |
6年目 | 57057*9月(空室-2広告料-1)=513513円 | 48500*12月=582000円 | ▲68,487円 |
7年目 | 56486*12月=677832円 | 48015*12月=576180円 | 101,652円 |
8年目 | 55921*12月=671052円 | 47535*12月=570420円 | 100,632円 |
9年目 | 55361*9月(空室-2広告料-1)=498249円 | 47059*12月=564708円 | ▲66,459円 |
10年目 | 54807*12月=657684円 | 46589*12月=559068円 | 98,616円 |
合計 | 6,370,596円 | 5,851,776円 | 518,820円 |
サブリース率が85%でも、入退去の発生する年にはサブリースの方が得になる事があります。
また、東京圏よりも空室期間が長くなる傾向もありますので、
リスクを極端に嫌う、または管理を任せきりにしたい!という場合には検討する価値があるかもしれません。
まとめ
基本的にサブリースはコスト高です!
コストが高い分、オーナー自身のお手間がないのをメリットと捉えられる方や
空室期間が長くて困っている物件であれば検討の価値があります。
しかし空室で困っている物件であれば、サブリースするよりも売却を検討したほうが良いのかもしれません。
このコラムを書いている人
渡邉 幸也
1990年 秋田県鹿角市生まれ 東京都日野市育ち 2013年 株式会社FGH入社。不動産業界歴10年のノウハウを生かし収益不動産のプロフェッショナルとして、数多くの不動産を仲介する。 現在は、投資用不動産の売却・販売など幅広く担当している。 保有資格:宅地建物取引士
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