家賃上昇の不可思議
投稿日2026/01/29

2024年から顕著になってきた東京圏における家賃の上昇トレンドは今のところ収束の気配をみせていません。
かつて私が講師を務めていた当社のセミナーでは、何も手を打たなければ人口動態から考えて家賃は長期的に下落していくと予想していました。
あわせて、家賃の下落を止めるための処方箋として①移民の積極的な受け入れ、②生産年齢人口の拡大、③民泊の活用、の3点をあげていましたが、これらの処方箋が結果論として実現してしまったために家賃下落の歯止めになっている可能性は高いといえます。
①移民の積極的な受け入れ
①の移民受け入れについては国籍を与えているわけではないので厳密にいえば移民ではないものの、在留外国人統計によれば10年前の約250万人から直近では約400万人へと大幅な増加を示しており、このうち東京在住者は20%にのぼりますから需給バランスに少なからぬ影響を与えているとみていいでしょう。
②生産年齢人口の拡大
②の働き続けてお金を稼いで家賃を払ってくれるであろう生産年齢人口の拡大は、65歳までとする生産年齢人口の定義に変更はないものの、65歳をこえて就労している人の数は増え続けるいっぽうで、70代前半の男性の半分が就労しているとする統計もあるくらいです。
就労延長で働いているとすれば引っ越す必要もないわけで、入れ替わりがなければ新規の募集は減りますから相対的な品薄感が生まれる余地はあるでしょう。
③民泊の活用
③の民泊についてはニュースで騒がれることも多いので言わずもがなですが、この10年で約200万人から約400万人へと倍増したインバウンド需要に応えるべく大盛況で、ところにより社会問題化しているのはご存知のとおりです。
とはいえ需要があるならそれを商機ととらえる同業者も多く、民泊ではなく旅館業の免許を取得しての宿泊施設を開発・運営するトレンドがきているのも事実であり、そちらに経営資源を振り向けた結果としてレジデンス賃貸物件の供給が減少する一因になっているといえなくもありません。

コロナ禍での郊外移住の流れで一時的な減少があったものの10年間で35万人余りの人口が増加している東京都にあっては需要超過から家賃が上昇しているとする見方もあるようですが、アパートのオーナーとしてそれほど底堅い需要があるように感じられないのは私がひねくれているからなのでしょうか。
もし本当に需要超過で貸し手優位なマーケットであるなら以前のように礼金2ヵ月敷金2ヵ月という募集条件に戻っていいはずですし、そうなったらさすがの私も家賃の上昇が構造的なものであると認めます。
今起きている家賃引上げの実態は物価の上昇に乗っかっただけの便乗値上げにすぎないのではないでしょうか。
家賃を少しずつでもかさ上げしていくという手法は、言い方は悪いですがリボ払いのようなもので、どこかで限界がくるような気がしてなりません。
かつてのバブル期に家賃はさして上がらず、バブルが崩壊しても家賃は下がらず、長期デフレ下でもリーマンショックがあっても家賃は下がらなかったという経験則からみて、そもそも物価と家賃は連動しないはずで、それを無理に連動させようとすれば天罰があたりそうな気がします。
オーナー側の視点でいうと、消費水準がいったん上がってしまうと収入が下落しても消費水準は下げられないというラチェット効果の恐ろしさを心に留めておく必要があるでしょう。
コロナ禍で立て続けに出たアパートの空室をかかえ、手取り収入の半分をローンの返済につぎ込んだ経験のある身としては、家賃収入は不確実なものと心得てかからないと不動産投資はつまづきの石になりますよ、と断言しておきたいところです。
\ FGHにおまかせ /
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

中村 彰男
1961年 東京生まれ 学習院大学経済学部卒業後、39年間一貫して不動産業に従事。 うち、ローンコンサルティングなど業務畑経歴24年。 実家をアパートに改築し賃貸経営を行うかたわら、 自身も不動産投資にチャレンジした経験を持つ。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ビル経営管理士/宅建マイスター/管理業務主任者/賃貸住宅メンテナンス主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/不動産コンサルティングマスター/土地活用プランナー
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