マンションの修繕で増えている問題は?懸念事項を解説
マンション修繕に関わる懸念
2024年8月17日の日本経済新聞で【第三者管理のマンション、修繕での「割高な身内発注」防止】という見出しがありました。
通常、修繕に係る決め事は管理組合の総会の決議により決まりますが、昨今では管理組合の高齢化や理事になりたがる人がいないなどの理由から、管理業者に任せる第三者管理者方式が増えています。
その結果、任された管理業者がグループ会社の修繕を生業としている会社へ発注して割高な工事が発生し、修繕積立金の増額に繋がる懸念があるとの内容でした。
2023年東京都のマンション化率は28.21%であり※、4世帯に1世帯がマンション住まいであると判明。このことからも、マンション修繕費は多くの人に関わる課題であることが伺えます。
※東京カンテイ 新築・中古マンションの市場動向レポート(2023年第4四半期)
マンション修繕に至る基本的な流れ
マンションには管理組合が存在します。なぜなら管理組合は区分所有法に基づいて構成される団体であり、区分所有者全員で構成されるものだからです。
そして、この管理組合における総会こそが最高意思決定機関となるため、マンションの維持・修繕における判断も最終的な判断は総会を経て決定されます。
しかし全員で一から話を進めていくと、遅々として話が進行しないため、区分所有者の中から理事を選出し、その理事会によりある程度下調べをしてから総会で決定をするわけです。
その際に専門的な知識を有する人が必要になるため、場合によっては管理業者の意見を聞くなどして話がスムーズに進むよう対応しています。
この方法であれば、あくまで決裁権限は管理組合にあるため、いくつかの工事業者に見積もりをとり
費用面や工事の精度などを勘案して決めることができるので、不利なことは起きにくいわけです。
理事のなり手不足
既存マンションでは築年数が古くなるほど、住人の年齢層が上がる傾向にあります。
築40年のマンションは年々増え、20年後には3.4倍に増えるというデータも存在します。
高齢化が進んだマンションでは理事会の業務をおこなえるなり手がおらず、そのために管理業者に
丸投げする割合が増えてきているのです。
つまり、今まではサポート役に留まっていた管理業者がいよいよ管理者の立場を担うようになり、これが冒頭の見出しに繋がっています。
利益相反行為
管理業者は本来、管理組合の利益のために委託を受けて代理行為を行っているわけですが、自分たちが工事業者を選べることになったためにグループ会社に維持・修繕業務を発注できることになります。
そのため、管理業者の社員は管理組合の利益を守る立場とグループ会社社員として会社の利益を考えなければならない板挟みに陥ることになるわけです。
もし管理業者が後者の立場を選べば修繕積立金の増額・圧迫に繋がり、区分所有者一人一人の経済的負担に繋がります。
この問題点に一定の抑止力を持たせるため、現在国交省の外郭団体であるマンション管理センターが利益相反行為を防止する規定を盛り込むことを求め動いています。
賃貸住宅管理業者として
この話はみずから住んでいる所有者だけではなく、貸主として賃貸をしている所有者にとっても影響を受けます。
修繕積立金が増える=ランニングコストが増えるという事になるので、売却しづらくなります。
そういった意味では専有部分の賃貸管理を受託している賃貸住宅管理業者も当事者目線で考える必要があるでしょう。
貸主である所有者の方々は、そのあたりも含めたパートナー選びを試みてはいかがでしょうか。
>> 賃貸管理ならURBAN FORCE(アーバンフォース)
このコラムを書いている人
相馬將志
千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級