知っているようで知らない賃貸のこと
これまでにさまざまなオーナー様とお付き合いをさせていただくなかで、たとえオーナー様であってもあまり賃貸のことをご存じない方が多いことに気づきました。
そう思った理由はいくつかありますが、多くの場合が下記の中に当てはまるように思います。
①物件を相続し、これまでに全く賃貸運営に関わっていない。
②物件を購入してからサブリース会社に任せていて、賃貸運営に直接の関わりがない。
③賃貸管理を任せている会社に対して、お任せ状態で詳しくは分からない。
④投資物件の初購入や住んでいた部屋を初めて賃貸する。
今回は、賃貸の初歩的なことから解説してみたいと思います。
そもそも賃貸とは?
賃貸とは、賃料を受け取り、物を相手方に貸すこと指します。
逆に相手方に賃料を支払い、物を借りることを賃借と言います。
賃料が発生し、建物(住居)を貸し借りすることから、賃貸で取り交わされる契約書の名称は『建物賃貸借契約書』となります。
土地を賃貸する場合は『土地賃貸借契約書』、駐車場を賃貸する場合は、『駐車場賃貸借契約書』となる訳です。
賃料を受け取り貸す側を賃貸人、または貸主と言います。
契約書上では賃貸人と称されますが、これはいわゆるオーナー様のことです。
なお、賃料を支払い借りる側を賃借人、又は借主と言います。
礼金とは?
諸説ありますが、関東大震災後に家屋の倒壊や火災などで、住む家を失った人が多く、貸家を借りたくても空きが無かったときに、優先して借家を貸してくれた大家さんに対し、お礼として支払ったお金が礼金の始まりだと言われています。
他にも、高度成長期の時代、東京へ単身上京する学生の親御さんが、下宿などの大家さんに対し、「息子を宜しくお願いします」という意味を込めて送ったお礼金という説もあるようです。
10年以上前は賃貸募集の礼金が賃料の2ヶ月分という賃貸物件を目にすることも多々ありましたが、最近では見かけることはほとんど無くなりました。それだけ日本の経済が低迷しているということなのでしょう。
礼金は、お部屋を借りる側からすると支払って無くなってしまうお金になりますので、賃貸物件を探される方の中には『礼金無し』を条件に探されることも多くなったように思います。
オーナー様の礼金の使い道は、賃借人様から受領した礼金を管理会社や客付け業者に対して支払う業務委託手数料(もしくは広告料)に充当することがほとんどです。
敷金・保証金とは?
民法の原則では、敷金と保証金は家賃滞納等の未払い金があった場合に補填するために預けるものとされていますが、実務上では部屋を退去するときの原状回復(生活でできてしまった傷などを直す)費用として、入居前にあらかじめ払う準備金のようなお金として扱われているのが一般的です。
解約時には、基本的に預けた金額から原状回復にかかった費用が差し引かれたお金が戻ります。
「基本的に」という理由は、賃借人が退去時に家賃滞納などの不払い金があった場合には、賃貸人からは敷金から相殺することができるからです。
また、場合によってはルームクリーニング費用として預けることもあります。
「敷金」と「保証金」の違いは特になく、地域の慣習によって違う呼び方をしているだけで、意味合いはほぼ同じです。
一般的に関東地方では「敷金」、関西地方では「保証金」と呼ばれていることが多く、住居は「敷金」、事務所・店舗は「保証金」と呼ばれることも多いです。
広告料(AD)とは?
広告料は広告宣伝費や業務委託料など色々な名目が存在しますが、不動産会社が入居者を仲介して賃貸借契約を結んだときに、入居者ではなくオーナー様が不動産会社に払う手数料になります。
広告料は、advertisement(アドヴァタイズメント)の略でADと称されることもあります。
法律で定められている報酬ではありませんので、絶対に支払わないといけないものではありませんが、どちらかと言うとオーナー様が他のオーナー様の物件と差別化を図ることを目的に、賃貸募集時に不動産会社に対して入居者募集時のメリットを持たせ、空室期間を短縮するための戦略として活用することがほとんどです。
保証会社とは?
保証会社とは、家賃滞納があった場合、賃借人に代わり家賃を立替えて支払いをしてくれる連帯保証人の代わりをしてくれる会社のことです。
以前は、連帯保証人になれる親族がいない場合などに利用される事が一般的でしたが、近年では高齢化社会や収入減などの社会背景もあり、入居申込の時点で「保証会社利用必須」としている事が一般的になりつつあります。
①保証内容
・賃料等(賃料、共益費、管理費、駐車場代、水道代、光熱費、町内会費、施設利用料等、更新料)
・原状回復費(限度額があります。)
・解約予告通知義務違反による違約金
・早期解約による違約金
・明渡に関する法的費用(弁護士費用、控訴費用)
・強制執行費用(残置物の撤去費用、保管費用、処分に要した費用)
※保証会社や保証プランにより保証内容は異なります。
②審査基準
保証会社によって異なります。
例えば、無職、生活保護、外国籍、水商売(風俗含む)もご相談できる会社もあれば、一切受付不可の会社もあります。また入居審査時に、申込者本人、連帯保証人、緊急連絡先に連絡する会社もあれば、一切連絡をしない会社もあります。
③保証会社の協会・団体
保証会社が運営する上で加入する3つの主要な協会・団体があります。
日本賃貸住宅管理協会(JPM)、全国賃貸保証業協会(LICC)、賃貸保証機構(LGO)です。
どの協会に加盟しているかによって、保証会社の審査基準が変わります。
まとめ
今回はあえて、賃貸の初歩的なことだけを解説してみました。
名称などは知っていても、内容まではあまり知らなかった仕組みもあったのではないでしょうか。
以前にお問い合わせをいただいたオーナー様から、賃貸のことをよく知らないので教えて欲しいとご要望を承り、同様のご説明をしたことがあります。
その際に『現在の管理を任せている会社に分からないことを質問しても面倒みたいで全然回答してくれないです。』と仰っていたことを思い出します。
アーバンフォースでは、これから賃貸運営を始める方や、もっと賃貸運営の熟練度を上げていきたい方のご相談もお待ちしておりますので、お気軽にお声掛けください。
>> 賃貸管理ならURBAN FORCE(アーバンフォース)
このコラムを書いている人
徳永 裕幸
1982年 神奈川県出身 2014年アーバンフォース入社 保有資格:宅地建物取引士/不動産賃貸経営管理士/管理業務主任者
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