不動産投資営業マン目線で「スルガ銀行は大丈夫?」

公開日2018/09/15
更新日2023/11/16

ローン

◎スルガショックによる市場への影響と今後の私見

9月14日の日本経済新聞にてスルガ銀行が今年度内の不動産融資の停止を発表しました。

 

紙面では「第三者委員会は今月7日、借入希望者の年収や資産などを示す審査書類の改ざんやニセの契約書であることを知りながら行員が融資を実行していたことを指摘」と、いかにも大仕事をしたかのような報道が目立っているように感じています。
 
記事によっては鬼の首取ったりというような書かれ方をしているものもありました。
 
何事もストーリー上、勧善懲悪なお話は共感を得やすいですし、一人悪者を明確に立てて語るのが読み物として成立しやすいですから分からない話でもありません。

 

ただ私が知る限り、ローン審査書類の偽造というのは、はっきり言って珍しい話ではありません。
 
私は今までに700件ほどの売買仲介を担当しましたが、売主様の購入時の書類等を確認すると、大体のケースでローン審査用のダミー契約書が出てきます。
 
ローン審査が通ったら、その後合意書で売買代金を減額して諸費用含み全額ローンで通す手法です。
 
スルガ銀行に限った話ではなく、非常に簡単なスキームでいわゆるオーバーローンは通せていたわけです。

 

■赤信号みんなで渡れば怖くない

 
私にお問合せ下さるお客様の中にも
 
「フルローンで購入できるようコーディネートしてくれ」
「賃貸するけど住宅ローンで通したいので協力してくれ」
「他に借金があるのを投資用ローンに纏められないか」
 
こんなご要望を結構当たり前のように言われることがあります。
 
そもそも弊社ではフルローンで投資を始めることに反対のスタンスを明確に示しているためお断りしますが、ローンを利用する消費者意識の中で、それが悪いことだという認識は薄いのです。
 
もう当事者全員が「まあ、良いことではないけど問題ないっしょ!」といった感覚でしょうか。
 
審査書類の改ざん等々について、一般的とは言わないまでも圧倒的マイノリティではないのです。

 

■今後不動産融資の審査は厳しくなるか

 
今時点で分かっていることは①金融庁が不動産向け融資について調査を検討②対象は全国の地方銀行③調査内容は融資総額と審査体制。少なくとも私に言えることは、今よりも緩くなるということは考え辛いということです。
 
金融庁調査が開始されることでいわゆるオーバーローンに対するスタンスは厳格になるはず。
 
これから考えられることは・・・
 
・不動産関連株価の暴落
・フルローンでの不動産投資機会減少
・サラリーマン大家さんの減少
・不動産投資会社の破綻
・不動産バブルの収束
・不動産バブル収束によるパンク案件の増加
 
前向きに考えるなら不動産取引相場の下落による買い市場のはじまり、後ろ向きに考えるならリーマンショックの再来(ダメージはもう少し軽微としても)でしょうか。
 
どう転んでも立ち回り方はありますので個人的にはそれほど後ろ向きに考えてはいません。

 

■本当に銀行だけが悪いのでしょうか?

 
「不正や偽造は悪いことだろう」
「銀行は責任を取るべきだ」
 
そんな弱者感情を煽る言葉を多く見かけますが、本当にそうなのでしょうか?誰かを悪者にして大衆の共感を得たいだけに見えてしまうのは私だけでしょうか?この問題は当事者全員の認識が改善されなければならないことだと感じています。
 
これを機に不動産会社や消費者もいい方向へシフトすることを願っています。
 

このコラムを書いている人

高松 大樹

高松 大樹

営業三部部長・執行役員 1986年生まれ 埼玉県育ち 2010年2月よりフォースグループで投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。中古ワンルームを中心に800件に迫る成約実績。 イレギュラー案件の交通整理も得意。実体験からモアベターな選択を提案致します。 保有資格:宅地建物取引士

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