オーナーチェンジの売買契約書における特約とは?押さえておきたい基礎知識
投稿日2025/05/24
\ こんなことがわかります /
- オーナーチェンジ物件の契約書でよく見る特約について
- 投資用物件ならではの見落としがちなポイント
オーナーチェンジ物件は、現存する賃貸借契約付きの状態で物件を引き継ぐため、通常の売買とは異なる諸注意や特約の設定が重要です。賃貸人としての地位継承や敷金の精算方法など、あらかじめ把握しておくべきポイントが多岐にわたります。そのため、契約書の作り方や注意事項を十分に理解しておくことが大切です。契約時におこなわれる重要事項説明はもちろん大切ですが、「特約事項」こそ後々のトラブルを防ぐポイントと言っても過言ではありません。
本記事では、オーナーチェンジの売買契約書に記載すべき特約や、契約前後で注意すべき点を整理し、物件を円滑に引き渡すための基礎知識を解説します。物件の状態や入居者とのコミュニケーションなど、賃貸借契約が絡むからこそ押さえるべき手順があります。適切な手続きを踏むことで、トラブルを回避しながら安定した運用が可能となるでしょう。
\ FGHにおまかせ /
オーナーチェンジ物件の売買契約書に入っている特約とは?
オーナーチェンジ物件では条文(民法・標準契約書)どおりに読んだらトラブルになるケースが多く、だからこそ特約が不可欠になります。
A3契約書の約半分を占めるほどの特約が付いていることも珍しくありません。

なぜ条文だけでは足りないのか?
民法や一般的な売買契約条文は、原則として空室・自己使用を前提とされています。
しかし、オーナーチェンジ物件の場合は売買後も元の入居者がそのまま居住し続けることが多く、賃貸借契約がそのまま買主へと引き継がれます。
そのため、家賃・敷金・管理費など売主から買主へと受け渡すべき金銭が多数存在するのです。
不動産を賃貸し収益得ることを目的とした「オーナーチェンジ物件」は少し諸経費の計算が違うだけでも収支が狂ってしまいます。
よって居住用不動産以上に金銭の問題にはシビアになるべきなのです。
売買契約書でチェックするべき特約事項
オーナーチェンジ物件を売買する際の契約書は、通常の不動産売買よりも賃貸関連の条項の重要度が高まります。
ここでは、契約書の基本的な構成と押さえておきたい重要ポイントを確認します。
賃貸借契約・入居者に関する特約
実需用の物件の売買契約と違い、オーナーチェンジ物件の場合は賃貸借契約や金銭にかかわる事項が事細かに記載されています。
物件の収支に関わる大切な事項なので、不自然な記載や不利な記載がないか確認してみましょう。
賃貸借契約の承継について
「本物件に存する賃貸借契約は、買主が売主の地位を承継する」など、賃貸借契約を継承するかどうかが記載してあります。
家賃・共益費滞納の扱いについて
入居者の家賃などの滞納がある場合は、そのまま引き継がれるのか解消してから引き渡すのか確認しましょう。
敷金・保証金の承継について
一般的には敷金や保証金は売主から買主に引き継がれますが、明記されているか確認しましょう。
賃貸管理契約・サブリース契約に関する特約
物件の管理を外部に委託している場合や、サブリース契約を結んでいる場合は売主と管理会社が結んでいる管理契約の引き継ぎや解除が必要になるケースがあります。
契約書に管理契約に関する特約を明記し、売主と買主の間で責任範囲を明確にしておくことが大切です。
賃貸管理契約の承継・解除条件について
オーナーチェンジ物件で賃貸管理契約を結んでいる場合、引渡し時点からは買主指定の賃貸管理会社が管理を始めるケースが一般的です。
管理会社が変更となる場合は、従前の契約はいつまでに解約するのかを明記しましょう。
サブリース契約の承継・解除条件について
契約時点で売主とサブリース会社のあいだにサブリース契約が結ばれている場合は、そのまま引き継いで引き渡すケースと解約してから引き渡すケースがあります。
後のトラブルにならないように承継の有無を明記しておくことがおすすめです。
特にサブリース契約は、収支を左右する大きな要因となります。
また、解約できると思い込んでいたが解約できなかった、解約に高額な違約金がかかることが発覚するなど想定外のことが起きる可能性もあります。
双方で意思を確認し特約にも記載すべき重要な事項です。
管理規約や管理に係る金銭に関する特約
区分マンションの場合、管理規約や長期修繕計画に則りマンション管理がされています。
管理や修繕に係る費用や、管理規約などの取り決めを特約に盛り込むことが一般的です。
管理費・修繕積立金の精算について
ほとんどの区分マンションでは、マンション管理会社や自主管理の管理組合に対して、管理費や修繕積立金を毎月支払っています。
これらの費用は、管理会社の事務手続きの都合上、所有者の変更が引渡し日当日に反映されないケースが少なくありません。
そのため、売主・買主のいずれかに負担の偏りが生じないよう、引渡し日を基準として売主と買主の間で日割り清算を行うのが一般的です。
しかし、「引渡し月は売主負担」「翌月分から買主負担」とするケースも一部であるため特約として記載することが多いです。
管理規約・使用細則について
契約後、売主が提出する重要事項調査報告書の内容によっては無条件で契約解除できる旨が入っている場合があります。
例えば修繕積立金の値上げ予定や、一時金の徴収予定などが発覚し解約に至る可能性があります。
買主にとっては収支を守る文言になりますが、売主にとっては不利な条件となり得ます。
契約不適合責任に関する特約
一般的に賃貸物件の場合は賃借人が入居中の場合が多く、修繕義務は負わない契約となっていることが多いです。
契約不適合責任の免責範囲・期間について
投資用マンションでは、「本物件は現状有姿で引き渡す」「契約不適合責任を負わない」などの文言が入っていることが多いです。
ただし、引渡し時点で入居者から依頼を受けている修理依頼などは売主が義務を負うことにするなど細かい取り決めをすることもあります。
また、現況有姿で引き渡す場合は室内設備の状況や不具合を確認するための「設備表」の交付が省略されるケースもあるため、有無も確認しておきましょう。
引渡し・解約・違約に関する特約
引き渡しや解約の期日や違約金の発生条件などは個々の契約によって変わるため、特約に記載されることが一般的です。
引渡し条件・期日遅延のについて
引き渡しの期日(前倒しになる可能性があればその旨も記載)や、万が一遅延や物件の棄損があった場合の取り決めを記載します。
契約から引渡しまでに賃借人の退去があった場合はどのように対処するのかも確認が必要です。
ローン特約の有無について
通常契約書の条文にはローン特約(買主が借り入れる予定のローンが否決された場合は契約が白紙解約になる特約)が入っていますが、投資用マンションの場合はローン特約なしで進める場合もあります。
ローン解約になった場合は、売主は引渡しが後ろ倒しになる上に違約金ももらえず解約となるため
オーナーチェンジでトラブルを防ぐための注意点
オーナーチェンジでは、予期せぬトラブルに発展するケースもあるため、あらかじめ確認とコミュニケーションを徹底しておくことが大切です。
実需マンション
清算基準日は明確にする
「契約日」「決済日」「登記日」が曖昧だと、精算金額がずれてしまうことがあります。
取り決めごとは基準日を入れて負担区分を明確にし、トラブル回避しましょう。
金銭の問題にシビアな投資用不動産だからこそ、お金の問題が発生しないよう細心の注意が必要です。
賃料の滞納は重要事項調査報告書ではわからない
誤解されることもありますが、入居者の賃料滞納はマンションの管理組合が発行する重要事項調査報告書には掲載されません。
賃料滞納の有無や履歴は家賃の入金明細や管理会社のレポートで確認できますが、口頭での滞納情報は鵜呑みにしない方が安全です。
特約に「滞納が存在する場合は、売主の責任と負担において解消するものとする。」万が一滞納があった場合売主買主どちらが負担することになるのかを明確にしておきましょう。
入居者とのコミュニケーション、心遣い
オーナーチェンジでオーナーが変わることに対して、不安を感じる入居者も少なくありません。
管理人が変わる前後で、共用部分のメンテナンス体制や問い合わせ先などに変更がある場合は速やかに周知しましょう。
些細な変更でも入居者に丁寧に対応すれば、賃貸経営を安定した運営へとつなげる大きな一歩になります。
売買契約書や賃貸借契約書などの書類は物件保有期間中大切に保管する
後々の紛争や契約内容の確認のために、売買契約書や賃貸借契約書などの主要書類は必ず保管しておく必要があります。
特に、敷金や保証金の精算などに関して証拠や経緯を示す資料として活用できるため、電子データでの保存も併用するとさらに便利です。
万が一トラブルが生じても、しっかりと書面を参照すれば迅速に対処できるでしょう。
安心してオーナーチェンジを進めるために
オーナーチェンジの売買契約書では、現賃貸借契約の継承や敷金・保証金などへの対応、サブリース契約の有無など、考慮すべき要素が多岐にわたります。しっかりと特約を設定し、専門家の力を借りながら進めることでトラブルをリスク回避し、安定収益につなげることが可能です。
オーナーチェンジの成功は、売買契約書にどのような特約を盛り込み、どの程度入念にリスクを見極めるかにかかっています。急いで契約を進めるあまり大事な条項を見落としてしまうと、後から大きな損害を被る可能性もあるでしょう。強固な書面によって権利義務関係を整理することで、双方の理解が深まり、長期的にも安定した物件運用が期待できます。
本記事で挙げたポイントを踏まえて、契約前の調査や特約の設定を丁寧に行い、不明な点があれば早めに専門家へ相談してみてください。オーナーチェンジは、買主・売主双方にとってメリットの大きい取引であるからこそ、慎重な手続きが欠かせません。しっかりと準備を整えて進めれば、不動産投資の魅力を最大限に活かしながら、安心かつスムーズなオーナーチェンジを実現できるでしょう。
\ FGHにおまかせ /
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
関連する記事






