不動産投資物件の売却ガイド|高く売るためのポイントを解説
【目次】
近年、不動産物件の相場は上がり続けていて、売却を考えている方は「今がチャンス」と言えます。
しかし、何も考えずに売却してしまうと安く買い叩かれてしまい大幅な損失が生まれてしまう可能性もあるのです。
売却で大きな損失を出してしまう方の共通点は「事前の準備と下調べ」が足りていないこと。
しかし逆を言うと、事前の準備と下調べさえしていれば、相場通り、もしくは相場より高値で物件を売ることも可能です。
● 準備と下調べを怠り相場よりマイナス数百万円で売却するか?
● 準備と下調べを万端にして相場のプラス数百万円で売却するか?
もし、後者になりたい方はぜひこの先も記事を読んでほしいです。
「準備と下調べって大変そう…」と思う方もいますが、要点や注意点だけ覚えておけば良いのです。
本記事は、宅地建物取引士・FP2級の専門家監修の元、不動産投資の売却の流れや高く売る方法、不動産屋の選び方などを詳しく解説します。
投資用不動産を売却するベストタイミングとは?
投資用不動産の売却で後悔しないためには「いつ売るか」が重要です。
不動産投資で利益を最大化するには、買ったとき以上に“売るとき”の判断力が問われるのです。
✅価格相場
✅市況
✅物件の状態
✅地域の需要
などさまざまな要素を複合的に見極めて動く必要がありますが、売却のタイミング次第で数十万円から数百万円もの差がつく場合もあります。
不動産投資開始から年数が経ち、そろそろ売却を検討している方に向けて、投資用不動産を高く売却するために知っておきたい具体的なタイミングを解説します。
市況が良いとき
市況が好調なときは、不動産価格が上昇基調にあり、買主の購入意欲も高まっています。
特に近年はエリアによって相場が大きく変動しており、適切なタイミングで売却することで大きな売却益を得ることも可能です。
不動産投資で重要なのは、周辺物件の取引事例や相場の推移を定期的に把握すること。
市況の波を読むためには、不動産価格指数や楽待、HOME’Sなどのポータルサイトで価格推移をチェックするほか、不動産会社の担当者から地域の市況情報を得るのも有効です。
売却を先延ばしにしすぎると価格が下落し始めてからの売却となり、利益が減るリスクがあるため、価格が高止まりしているうちに動くことが高く売るためのポイントです。
築年数や設備の老朽化が始まる前
投資用不動産の価値は築年数が経過するほど下がりやすく、設備の老朽化による修繕費用の発生も避けられません。
例えば、エアコンや給湯器の交換時期が近づくと、数十万円単位の出費が必要となり手元に残る利益が減ってしまう可能性があります。
区分マンションやワンルームマンションの場合、築15年を超えると水回りの設備交換が検討課題となり、築20年を超えると大規模修繕費や修繕積立金の増額も負担となることもあるのです。
設備の不具合が出る前に売却してしまう方が、買主にとっても魅力的に映り、価格交渉で不利になるリスクを減らせます。
売却前には管理会社から設備点検の履歴や修繕計画を確認し、老朽化の兆候を把握しておくことが重要です。
人口減少が始まる前
地域によっては人口減少が進んでおり、今後賃貸需要が減少するおそれがあります。
特にワンルームマンション入居のターゲット層である生産年齢人口の減少が顕著なエリアもあります。
東京都と比較すると大阪府は人口減少のスピードが早く、またエリアによる差も浮き彫りになっています。
比較的人口減少がゆるやかなエリアは大阪市西区、逆に人口減少が進んでいるエリアは大阪市西淀川区、大阪市東成区などです。
生産年齢人口が減少すると賃貸需要が減り、空室率が高くなることで賃料が下がり、結果的に利回りが低下してしまいます。
投資用不動産の価値は収益還元法による評価が主流であり、家賃収入が減ると売却価格も下落しやすくなります。
大阪以外でも地方都市や郊外エリアではこの傾向が顕著なため、人口動態や新築供給状況、再開発計画など地域の中長期的な需要動向を調べ、賃貸需要が落ち込む前に売却する判断が大切です。
「家賃収入が下がり始めたら売る」ではなく、「家賃が安定しているうちに売る」という視点が重要になります。
>>東京都のワンルームマンション売却事情について詳しくみる
>>大阪府のワンルームマンション売却事情について詳しくみる
一棟・ワンルームは満室時がねらい目
一棟アパートやワンルームマンションを売却する場合、満室状態で売却に出すのが高く売るためのポイントです。
収益物件を購入する投資家は利回りと安定した収益性を重視するため、満室で運用されている物件は「安定した投資先」として評価されやすくなるのです。
反対に、空室が多い状態だと利回りが低く見積もられ、売却価格の値下げ交渉を受けやすくなります。
また、レントロール(賃貸借契約一覧表)を整理し、入居者属性や家賃滞納の有無、契約条件などを整えて提示できる状態にしておくことで、買主からの信用を得やすくなり売却活動がスムーズに進みます。
管理会社との契約内容や空室リスクの対策についても説明できるよう準備をしておくことが、満室時の売却で高く売るためのコツです。
ファミリータイプは空室時がねらい目
ファミリー層が重視するポイント
・室内の状態
・日当たり
・間取りの使い勝手
ファミリータイプの物件は、部屋を実際に使うことを考えている買主がターゲットとなるため、空室状態で内覧できるほうが売却の可能性が高まります。
広めの区分マンションや一戸建て投資用不動産の場合は、退去後の空室状態で売却する方が有利になることがあります。
自己居住目的で購入する場合は住宅ローンを利用できるため、現金購入の投資家に比べて購入価格の上限が高く設定されやすく、高値売却が期待できる点もメリットです。
退去が決まったタイミングで売却活動を開始し、内覧予約が取りやすい状況を整えましょう。
\ FGHにおまかせ /
投資用不動産の相場の調べ方
投資用不動産を高く売却するには、正確な相場の把握が必要不可欠。
もし相場を知らずに売却を進めてしまうと、不動産会社の言い値で価格が決まったり、適正価格より安く売却してしまう可能性もあります。
高すぎる価格設定は売れ残りの原因にもなり、長期化による空室リスクや価格下落を招くことも。
不動産投資で売却益を最大化するためには、売り出し価格と成約価格の両面から相場をしっかり押さえ、最適な価格帯で売却に臨むことが大切です。
売り出し価格を調べる方法
売り出し価格は、投資用不動産が現在どのくらいの価格帯で市場に出回っているのかを把握する指標です。これを調べるには、不動産ポータルサイトの活用が便利です。
収益物件特化型ポータルサイト
【楽待】
【健美家】
【HOME’S】
いずれも、地域や築年数・間取り・最寄り駅などの条件で絞り込み、同じような物件の相場が一覧で確認できます。
実際の売却時には周辺の競合物件の価格帯を参考にし、売却物件の特徴を踏まえ、価格帯によって売却活動をスムーズに進めます。
価格だけで比較せず、売却期間・アクセス状況・写真の見せ方なども併せて確認することが重要です。
市況が上昇基調の場合は強気の価格設定も可能ですが、売れ残るリスクを避けるため柔軟に調整できる価格感を持つことが高く売るためのポイントです。
成約価格を調べる方法
実際に売買が成立した価格である成約価格を調べることも、より現実的な相場を把握するためには欠かせません。
売り出し価格と成約価格には数十万円から数百万円の差が出ることもあるため、成約価格の情報は売却価格設定の基準になります。
成約価格を調べるには、以下の公的データベースが活用できます。
【レインズマーケットインフォメーション】
不動産会社間で共有されている成約事例の一部が一般公開されており、地域・沿線・面積・築年数など条件を指定して成約価格の事例を検索可能です。
【土地総合情報システム】
国土交通省が運営する公的な成約価格データベースで、過去の取引事例を地域・面積・土地種別などで調べられます。
公的データベースを使えば、似た条件の物件がどのくらいの価格で成約しているのかを具体的に把握でき、自分の投資用不動産の適正価格帯を掴むことが可能です。
さらに、不動産会社による無料査定結果と併せて比較すれば、適正価格の目安を立てることができます。
相場より大幅に高く売るのは難しいですが、正確な成約相場を押さえた上で売却活動に入れば「高く売ること」と「売り切ること」の両立を目指せます。
買取と仲介どちらが向いているか?
投資用不動産の売却を検討する際、「買取」と「仲介」のどちらを選ぶかで手残り額や売却スピードに大きな違いが生まれます。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、自身の目的や状況に合わせて選択することが、高く売却しつつスムーズな取引を実現できます。
本項目では投資用不動産売却時における買取と仲介の特徴を解説します。
買取のメリット・デメリット
不動産会社が直接物件を買い取る「買取」は、売却スピードを優先したい方に向いています。
現金化までの期間が短く、最短1~2週間程度で売却できる場合もあるほど。
空室時の内覧対応やクリーニングなどの手間が不要で、物件の管理状況に関わらずそのまま売却できる点が大きなメリット。
一方で、買取価格は市場相場より10~20%ほど低くなるのが一般的です。不動産会社は再販を前提に買い取るため、修繕コストや再販時のリスク分が価格に反映されます。
価格よりスピードや手間削減を優先したい場合に向いています。
仲介のメリット・デメリット
仲介は不動産会社が買主を探す方法で、「高く売れる可能性が高い」のが最大のメリット。
市況が良いタイミングで売却活動を行うことで、相場価格またはそれ以上で売却できる可能性があります。
しかし、売却までには内覧対応や条件交渉、契約準備などで数ヶ月かかる場合があり、その間の固定資産税・管理費の負担が続きます。
空室中の内覧希望があった場合には調整が必要になり、売却活動が長引くおそれもあります。
売却の目的が「スピード重視」なら買取、「高値重視」なら仲介がおすすめですが、物件の状況や市況によって最適な方法は異なるでしょう。
大手と中小どちらが向いているか?
投資用不動産の売却で高く、スムーズに売るには、どの不動産会社に依頼するかも大切。
特に、大手と中小では対応力や売却戦略が変わるため、自身の物件や目的に合わせた選択が必要です。
大手不動産会社のメリット・デメリット
大手不動産会社は、「集客力」と「ブランド力」が大きな強み。
全国規模の広告や既存顧客ネットワークを活用し、多くの購入希望者にアプローチできるため、短期間で成約に繋がりやすい傾向があります。
また売買契約やトラブル対応のノウハウが豊富で、売却が初めての投資家でも安心して任せられる点も魅力的です。
一方で、対応が画一的になりやすく、物件ごとの個別戦略を緻密に立ててもらえない場合があります。
仲介手数料も上限いっぱいで提示されるケースが多く、条件交渉が難しい点には注意が必要です。
中小不動産会社のメリット・デメリット
中小不動産会社は「柔軟な対応力」と「地域密着・商材密着型の提案力」が強みです。
地域特性や投資家ネットワークを活かし、物件の特徴を引き出した売却活動が可能で、売却価格や広告戦略の調整にも柔軟に応じてもらえます。
仲介手数料の交渉がしやすく、手残りを増やしやすい点も利点です。
しかし、大手に比べ集客力は限定的で、買主候補の母数が少ない場合が多く、会社や担当者によって知識や対応品質に差が出る場合もあります。
投資用不動産を高く売却するためには、大手・中小それぞれの特徴を理解した上で、物件種別や売却目的(価格重視かスピード重視か)に合わせて適切な業者選びを行うことが重要です。
高く売るための3つのポイント
投資用不動産をできるだけ高く売却するために必要なポイントは3つあります。
✅適切なタイミングを逃さない
✅物件の特徴を知っている業者に売却依頼する
✅売却価格自体より「手残り」を意識する
本項目でそれぞれ詳しく解説します。
適切なタイミングを逃さない
・市況が好調なとき
・築年数が経過しすぎる前
・空室リスクが低いとき
など、売却のタイミングで手残り額は大きく変わります。
特に価格が高止まりしているタイミングで動くことで、数十万円から数百万円の差が出ることも珍しくありません。
「いつ売るか?」を意識し、相場や周辺の売却事例を定期的にチェックしておきましょう。
物件の特徴を知っている業者に売却依頼する
高く売るには、どの業者(不動産屋)に依頼するかも重要です。
投資用不動産の売却実績が豊富で、物件の収益性や地域特性を理解している不動産会社に依頼することで、買主に魅力を伝えやすくなり高値での成約が期待できます。
大手・中小の特徴を理解し、自分の物件に合う業者を選ぶことがポイントです。
売却価格自体より「手残り」を意識する
高く売れても、売却活動が長引けば空室リスクや管理費、固定資産税の負担が増え、結果的に手残りが減ってしまうことがあります。
また譲渡所得税や仲介手数料などのコストも差し引かれるため、「売却価格=利益」ではありません。
売却後にどれだけ資金が残るのかを事前にシミュレーションし、適正価格でスムーズに売り切ることが、結果的に最も得をする売却方法です。
以上の3つを意識して行動することで、投資用不動産を後悔なく、納得できる形で売却することができます。
焦らず、チャンスは逃さず、準備を整えて高く売れるタイミングを見極めましょう。
少しでも迷ったら信頼できる不動産業者に相談することをおすすめします。
\ FGHにおまかせ /

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

Sayuri Takahashi
マーケティング部 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャルプランニング技能士/インテリアコーディネーター
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