サブリース契約における修繕費のオーナー負担範囲は?

公開日2025/10/07
更新日2025/10/07

サブリース契約における修繕費のオーナー負担範囲は?
サブリース契約は、一般的な賃貸経営の空室リスクを低減し、家賃収入を安定させる一つの手段として広く活用されています。しかし、修繕費の負担がどこにかかるのか理解しておかないと、思わぬ出費やトラブルにつながるため注意が必要です。

本記事では、サブリース契約の仕組みから管理委託との違い、負担する修繕費用の種類やその他トラブル事例などを詳しく解説します。
家賃保証があるからといって、すべてをサブリース会社に任せてしまうのではリスクが高いので、契約内容の確認や事前対策が重要です。
どのような修繕費が発生しうるのかを把握し、長期的な賃貸経営を安定させるためのコツをまるごと押さえましょう。

サブリース物件の修繕費はオーナー負担

サブリース契約には家賃保証という大きなメリットがありますが、大半の修繕費は普通賃貸借と同様に貸主が負担する仕組みが一般的です。

サブリース会社は物件を一括で借り上げる代わりに、空室リスクを引き受けて一定の家賃を貸主に保証します。
しかし、この家賃保証と修繕費負担は別の次元の問題であることを理解しておく必要があります。

サブリース会社によっては、一部の軽微な修繕費を負担してくれる場合もありますが、壁紙の張り替えや設備の交換など、経年劣化による修繕費は多くの場合貸主が支払う形です。

特に大規模な修繕が必要なときは、予想以上の費用がかかることもあり、修繕費用をめぐってサブリース会社との間でトラブルが生じるケースも見受けられます。
契約内容に「貸主の負担範囲」が明示されていないと、思いがけない修繕費を請求されることもあるでしょう。
修繕費の負担範囲をあらかじめ把握しておくことが、賃貸経営を安定させる上で欠かせません。

サブリース物件において、貸主は契約締結前にしっかりと費用発生の可能性を考慮し、長期的に計画を立てることが重要です。
家賃保証だけに目を向けるのではなく、物件のライフサイクルと修繕費の変動も考慮してシミュレーションを行うことで、サブリース契約によるリスクを最小化できます。

\ワンルーム売却ならFGHにおまかせ/
ワンルーム売却なら
\ FGHにおまかせ /
納得価格で最短4日のスピード売却!
18年間で築いた独自ネットワークから、優良な購入希望者をご紹介!
「サブリース付き」「空室中」など、難しい案件も安心してお任せください。

サブリース契約とは?管理委託との違いを押さえよう

サブリース契約と管理委託のどちらも、貸主の負担やメリットに違いがあり、それぞれの特徴を理解すると修繕費の負担構造もより明確になります。
 

サブリースと管理委託の家賃の違い

サブリース契約は、物件を一括借り上げしてもらうことで、家賃収入を一定額保証してもらえる仕組みです。
この保証額は、実家賃の80~90%程度になることが多いようです。

これに対し、管理委託はオーナー様が直接入居者から家賃を受け取り、管理会社に物件管理を委託する形を取るため、家賃保証はありません。

 

サブリースと管理委託の修繕に対する考え方の違い

サブリースでは修繕費に関してはオーナー負担となり、さらにイニシアチブをサブリース会社に握られてしまうこともあります。
サブリース会社は入居者という立場なので、心情としては入居者側に有利なよう運用したいと思うでしょう。
そのため、必要のない修繕や過度な修繕がおこなわれないか貸主側できちんとチェックすることが必要になります。

一方、管理委託であれば修繕項目をオーナー様自らコントロールしやすいという利点があります。
修繕工事の発注や費用負担もオーナー様が主体的に判断できます。
修繕の優先順位や時期を適切にコントロールしたい場合は管理委託の方がストレスなく運用できるでしょう。

どちらが良いのかは、リスク許容度と資金計画によって異なるため、事前に両方式の特徴と修繕責任の違いを比較してみるのが賢明です。

サブリースで貸主負担となる修繕費の種類

サブリース契約では、基本的に経年劣化に伴う修繕費のほとんどが貸主負担となりますが、発生する具体的な項目は幅広く多岐にわたります。
修繕費の中でも、入居者の故意や過失による損傷ではなく、自然損耗や老朽化による設備更新の費用が大きな割合を占めます。

サブリース会社の中には、一部の軽微な補修を負担してくれるところもありますが、契約内容によってはほとんど貸主負担という場合もあるため注意が必要です。実際に発生する修繕費を分類して把握し、資金計画を立てておくとリスクを緩和できます。

通常賃貸用物件の修繕費用は3種類に分けられます。
それぞれ性質が違うものなので、どのようなものが該当するのか把握しておきましょう。
✅原状回復費用
✅設備交換費用
✅大規模修繕費用
 

原状回復費用と通常損耗の見極め方

原状回復費用とは、退去時の状態を入居前の状態に戻すための費用を指します。
通常損耗によるクロスや床の汚れは貸主負担となることが一般的ですが、入居者の故意・過失が認められる汚損や傷に関しては入居者の負担になることもあります。

サブリース契約では、退去時の原状回復についてサブリース会社が主導する場合が多いものの、最終的に請求がオーナー様に回るケースもあるため契約書で範囲をしっかり確認しましょう。
 

設備交換やリフォームにかかる費用

給湯器やエアコンなどの交換費用は、年数による劣化や故障が発生しやすく、貸主側が負担する例がほとんどです。

サブリース会社によっては、性能アップを伴うリフォームや設備増強を推奨してくる場合がありますが、その費用は多くの場合オーナー負担となります。
また、あらかじめサブリース業者提携のリフォーム業者が指定されている場合があります。

そうではない場合、信頼できる業者に相見積もりを取り、不要な工事が含まれていないか十分チェックすることが無駄なコストを防ぐコツです。
ワンルームマンションリフォーム費用

共用部・外壁など大規模修繕の注意点

建物の外壁塗装や屋根の補修、共用廊下の改修といった大規模修繕は、金額的にもまとまったコストが発生するのが特徴です。
このような大規模修繕は建物の資産価値を保つ上で欠かせないものであるため、避けては通れません。

サブリース契約をしていても、本質的には建物のオーナー様が建物維持の根幹を担うことに代わりはないため、サブリース会社の提案と自分の計画をしっかりすり合わせておくことが大切です。

区分所有マンションの場合

区分所有マンションでは、共用部分の修繕に関してマンションの管理組合が主導で計画や実施を行います。
ほとんどの場合、マンション管理費と一緒に修繕積立金が徴収されているため、共用部の大規模な修繕はその積立金から賄われます。
もし積立金が不足する事態となれば「修繕積立一時金」として一度にまとまった負担が発生する可能性があるため、資金計画に組み込むことが重要になります。

 

こちらもおすすめ

 

一棟建物の場合

一棟物件の大規模修繕は、外壁・屋根・階段や廊下といった共用部など、建物全体の改修を計画的に行う必要があります。
サブリース契約でも設備の老朽化は貸主の責任範囲になりやすいので、定期的な点検やメンテナンス計画を管理会社と連携して進めていくのが理想的です。
特に築古物件をサブリースする場合は、大規模修繕の頻度や費用が増えるので、あらかじめそのリスクを見越しておきましょう。
ある程度の規模以上の場合は長期修繕計画を立てておく必要も出てくるでしょう。

サブリースで多発する修繕費トラブルと事例

サブリース契約では、修繕費をめぐるトラブルが後を絶たないという現実があります。
トラブルの要因の多くは、契約時に修繕の範囲や規模が曖昧になっているケースです。

サブリース会社が修繕工事を主導する一方で、費用は貸主側が負担しているのに内容を十分に把握できず、工事後に高級素材や不要な改修部分が含まれていた、という例も報告されています。
こうした問題を防ぐためには、オーナー様自身が修繕内容の一つひとつを確認できる体制を整えておくことが大切です。

また、修繕費の捻出が想定を超えた金額になると、たとえ家賃保証があってもキャッシュフローが崩れ、投資計画全体が成り立たなくなる場合があります。
修繕費の発生リスクを含めて契約前に十分シミュレーションを行い、サブリース会社と協議した上で進めることがポイントでしょう。
 

想定外に高額な修繕費請求

サブリース会社から提案された工事内容が実際には高額になり、見積もりよりも増額されて請求が届くケースがあります。
例えば設備の取り替えだけで済むはずが、内装リフォームや周辺部分の工事がセットになっていたなどの事例も珍しくありません。
こうした思わぬ高額請求を回避するには、見積もりの詳細を比較検討できる仕組みを事前に用意しておくことが肝心です。

サブリース業者の紹介工事が必須になっている場合は、サブリース契約をする前に具体的な費用や仕上がりの事例を確認しておきましょう。
 

契約更新時の修繕条件変更

サブリース契約の更新時に、修繕費負担率や内容が一方的に変更されるトラブルも存在します。
特に物件の老朽化が進むほど、契約更新時にサブリース会社が「賃料の引き下げ」や「修繕費の負担率の変更」を求めてくる可能性が高くなります。
契約書に更新時の修繕費負担について明確な条項を盛り込んでおくことで、突然の条件変更を抑止できるでしょう。
 

インフレに便乗した一方的な負担増

最近では物価や人件費の上昇を背景に、修繕費が高騰していることは事実です。
しかし、中にはインフレを口実に相場以上の費用を請求する悪質な事例も報告されています。
複数の業者から見積もりを取得し、相場に合った価格かどうか常に確認する習慣を持つことが、こうした不当な負担増を回避するためには重要です。

修繕費トラブルを回避するための契約チェックポイント

契約段階の確認を徹底することで、修繕費トラブルの多くを未然に防ぐことが可能です。
賃貸契約においては、細かな部分まで費用負担の範囲を記載してもらうことが基本となります。
しかし、サブリース契約では一般的な賃貸契約以上に複雑化する項目が多いため、専門家や信頼できる第三者に相談することも考えたいところです。

特に長期的に契約を続ける場合、最初の契約内容がその後の修繕費負担を左右するため、しっかりと条項を把握しておきましょう。
また、物件の状態や経年劣化の進捗、実際に入居者が使用している様子などを定期的に把握しておくことも大切です。サブリースだからといって放置してしまうと、いざ費用が発生した際に妥当性を判断できず、不利な条件を飲んでしまうことにも繋がります。
 

重要事項説明書の確認を念入りに

サブリースでも通常の賃貸借契約と同様に、重要事項説明書が交付されます。
その中には修繕費負担の範囲や契約更新時の条件など、多数のポイントが明記されています。
説明だけを聞き流すのではなく、書面に記載されている内容を熟読し、不明点があればその場で質問して明確にしておくことが不可欠です。
 

修繕費負担の範囲を特約条項で明確にする

修繕費がどこまで貸主、どこまでサブリース会社負担なのかを、特約条項で細かく規定しておくことをおすすめします。
原状回復費用や設備交換の範囲、壁紙や床材のリニューアルなど具体的な項目についてあらかじめ条件を決めることで、後からの思わぬ請求を防ぎやすくなります。
とりわけ大きな金額になる可能性がある部分は、契約書の中でしっかりと明文化しておくべきです。
 

こちらもおすすめ

修繕費を抑えるためにできる工夫と対策

貸主負担である修繕費用を少しでも抑えるためには、日頃からの準備と複数の選択肢を視野に入れた検討が欠かせません。
修繕費を可能な限り抑えるポイントとして、定期的な点検と計画的な改修が挙げられます。
 

定期的なリフォーム計画と費用積立の重要性

築年数の経過とともに発生する修繕費用を見逃さず、定期的にリフォーム計画を立てることが大切です。
必要な時に適切なメンテナンスを施すことで、老朽化や損耗を遅らせ、結果的に大きな工事コストを回避できる可能性が高まります。
積極的な管理を行うからこそ、長期的な視点に立った修繕計画が有効に機能するのです。

あわせて修繕費の積立を行い、『いざという時にすぐ対応できる資金』を確保しておくと、突発的な支出で経営が圧迫されるリスクを軽減できるでしょう。
 

管理委託への変更や複数社比較を検討しよう

サブリース契約に疑問を感じたり、修繕費の負担が過大であると判断した場合は、管理委託への変更を検討するのも一つの方法です。
また、契約更新のタイミングなどで複数の不動産会社や管理会社を比較し、より条件の良い方針を検討するのも賃貸経営を最適化する施策といえます。

サブリース契約を解約し、より柔軟に修繕計画が組める管理委託を選択することで、業者や修繕内容をオーナー様主導で決められるメリットがあります。

ただし、管理委託の場合には空室のリスクはオーナー様が直接負うため、リスクとコストのバランスを考慮して総合的に判断することが必要です。

まとめ

サブリース契約は空室リスクを抑えやすい一方で、修繕費の大部分が貸主の負担となる点を視野に入れておく必要があります。

本記事では、サブリース契約の仕組みから管理委託との違い、具体的な修繕費用の種類やトラブル事例、そして問題を防ぐためのチェックポイントと対策について解説しました。
サブリース契約の最大の特徴は家賃保証ですが、修繕費と切り離して考えると予想外の出費や条件変更に悩まされるオーナー様も少なくありません。

長期的な賃貸経営の視点からは、物件の維持管理を怠らず、定期的な点検と計画的な修繕を行うことが重要です。
契約段階では、重要事項説明書や特約条項で費用負担の範囲を明確化し、更新時の条件変更にも対処できるだけの知識と準備を備えましょう。

先行きが不透明な時代だからこそ、複数の選択肢を検討し、自身の資金計画やリスク許容度に合った契約形態を見極めることが、賃貸経営成功への近道となります。
 

高橋 咲百合
コラム監修 高橋 咲百合
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター

プロフィール

マーケティング部

新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。

\ワンルーム売却ならFGHにおまかせ/
ワンルーム売却なら
\ FGHにおまかせ /
納得価格で最短4日のスピード売却!
18年間で築いた独自ネットワークから、優良な購入希望者をご紹介!
「サブリース付き」「空室中」など、難しい案件も安心してお任せください。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。

関連する記事

投資スケルトン
売却運用セミナー