サブリース契約が満期!更新か解約か:正当事由・違約金・手続きのポイント
【目次】
サブリース契約は物件オーナーにとって安定収益を得られるメリットがある一方、満期時の更新や解約には様々な手続きと注意が必要です。本記事では、契約満了後の選択肢や解約における留意点、さらにスムーズに解約を進めるためのポイントを解説します。
サブリース制度が抱える課題や正当事由の判断基準など、重要なポイントを詳しく紹介しますので、今後の賃貸経営戦略にお役立てください。
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サブリース契約満了後の選択肢
サブリース契約が満了を迎えた際には、更新か解約か選べる場合があります。どちらを選択すべきか判断するためのポイントを整理しました。
サブリース契約が満期を迎えたとき、最初に検討すべきことは賃料や契約条件の再確認です。漠然と更新するのではなく、現在の家賃相場や物件の状況を踏まえ、サブリース会社と条件交渉を行うことでメリットを最大化できます。解約を検討する場合は、違約金や立退料が発生するかどうか契約書の条項を再度チェックし、リスクとリターンのバランスを慎重に見極めることが大切です。こうした検討をおこなうことで、サブリースを続けるか解約するかを明確に判断できるでしょう。
選択肢①家賃などの条件を見直し更新する
サブリース契約を継続する場合、家賃保証の見直しや修繕費の負担割合などを再交渉することで、より有利な条件を得られる可能性があります。
特に物件の稼働率が高い都心の物件などであれば、相場が上がっていることも多く家賃設定の引き上げも交渉の余地があるでしょう。
逆に、新築時からサブリース契約を結んでいた場合は家賃が下がる可能性が高くなります。
新築から5年~10年頃が一番家賃の下落が著しくなるため、実家賃の変動に合わせてサブリース会社からは値下げの交渉が入るケースが多いようです。
更新時に契約内容を確認しておけば、契約後のトラブル回避にも役立ちます。
選択肢②サブリース会社合意の上解約する
サブリース会社との話し合いで合意に至れば、契約満期を機に解約できるケースもあります。
解約には違約金や立退料の有無など、経済的な条件も関わるため、双方が納得できる合意内容を詰めることが肝心です。
合意解約であれば比較的スムーズに進められますが、書面での取り交わしや専門家の確認を得るなど、正式な手続きは必ず行っておきましょう。
サブリース契約は期間満了でスムーズに解約することは可能?
実際のところ、サブリース契約は期間満了であってもすんなり解約できないケースがあります。その理由や注意点を見ていきましょう。
サブリース契約は借地借家法の適用を受けるため、単に期間満了を迎えたからといって自動的に解約できるわけではありません。賃借人としての地位を持つサブリース会社には法的保護が及ぶため、正当事由が求められる場合が多いのです。オーナーとしては手間をかけずに契約終了を望むかもしれませんが、契約書の条項やサブリース会社の同意が得られないと、解約成立までに時間と労力がかかることを理解しておきましょう。
ほとんどの場合は解約を渋られる
サブリース会社にとって、継続的な賃貸管理収入はうまみの大きい事業です。
一般的には不動産業者はサブリース契約や管理委託契約は解約したがりません。
解約に応じる場合でも、高額な違約金を請求されたり、事前予告期間が法外に長く設定されていたりすることもあるようです。
スムーズに解約できるパターンとは
なかなか解約してもらえないイメージがあるサブリース契約ですが、意外とあっさり解約してもらえるパターンもあります。
ワンルームマンション販売業者の中には、販売価格をできるだけ高く設定し、オーナー様へ支払う毎月のサブリース料も高めに設定し利回りのつじつまを合わせて販売するものもいます。
例えば、数年前に問題となった「かぼちゃの馬車」事件のときには物件の新築から早い段階で実賃料がサブリース料を上回る逆ザヤ状態が生まれていたといいます。
そのような場合は、毎月のサブリースはあまり利益にならずかえってリスクとなるためサブリース業者としても積極的に解約したいと考えるでしょう。
サブリース契約の解約が困難とされる理由
契約期間終了後も解約がスムーズに実現しない理由は、法律面や契約内容に深く関係しています。ここでは、その主要な要素を解説します。
サブリース契約は一見するとサブリース会社がオーナー様から物件を借り上げているだけのように思われがちですが、その実態は貸主とサブリース会社とで強い法的結びつきがある関係です。借地借家法が適用されることで、正当な理由なしに契約を終了させるのは難しく、その正当理由が曖昧だとトラブルを招く恐れがあります。
さらに、契約期間中に家賃減額交渉や賃料の見直しが入るケースもあるため、オーナー様にとって一方的に不利な条件が積み重なる可能性も否定できません。
サブリース会社が借地借家法により守られる
サブリース会社は転貸人の立場であっても、借地借家法上の保護を受けられるとされています。
直接賃貸をしている場合同様、賃貸人の都合だけで解約を迫ることはできないのです。
サブリース会社が「借地借家法」を盾に、貸し手からの解約要請を断ることができるという点が、オーナー様にとっては非常にやっかいだと言えるでしょう。
正当事由に該当する場合は解約可能
物件老朽化による建て替えや、オーナー自身が物件を使用する計画があるなど、法的に認められる正当事由があれば解約は可能となります。
とはいえ、正当事由の認定は判例を含めて厳しく判断されるため、立退料といった条件を提示することで解決を図ることも多いです。
正当事由を主張する際は、専門家との連携を密に取り、事由が成立する根拠をしっかり固めましょう。
実際の判例をもとに見ていきましょう。
正当事由が認めらたケース
サブリース会社との間で賃貸借契約を締結して、家賃保証及び満室保証を受けていた建物のオーナーが、老朽化した自宅の補修改築のためにまとまった資金を必要とし当該建物を空き家状態で売却することを望んで、サブリース会社に対して賃貸借契約の解除及び明渡しを求めた事案において、正当事由を補完するものとして50万円の立退料支払いを条件に認容された
サブリース契約の解約においてよく認められる正当事由としては、建物の老朽化による使用困難や、オーナーが自己利用するための立退きが挙げられます。老朽化の場合は安全性確保も理由に含まれるため、立退き新築への流れが比較的スムーズに進むケースがあるのです。
加えて、立退料の支払いはサブリース会社との折衝の大きなポイントとなり、解約が難しいとされる場合でも解消に向けた合意を得やすくなる可能性があります。
正当事由が認められなかったケース
相続対策として納税資金を捻出するために、本件各建物を可能な限り高額で売却する必要があるため、賃借人や転借人のない状態で本件各建物を売却することを望んだ。
本件においては、貸主側の自己使用の必要性が大きくないことから、正当事由が認められなかった
過去の判例を振り返ると、単に収益確保が目的だったり、修繕費を削減したいといった理由だけでは正当事由として認められないことが多かったようです。
費用負担や立退き理由が法的観点で不十分と判断された場合、解約は棄却される可能性も高まります。解約手続きに踏み切る前に、判例や専門家の意見を踏まえたうえで、正当事由が成立するかどうかを慎重に見極める必要があります。
「自己使用」「立ち退き料支払い」などの特別な事情があり、サブリース業者に解約のデメリットが大きすぎないと認められればサブリース契約の解除が認められることがあります。
サブリース解約に必要な手順と書類
スムーズにサブリース契約を解約するためには、事前準備と正しい手続きが欠かせません。具体的な手順を確認しましょう。
サブリース契約を解約するにあたっては、まず契約書の内容を細部までチェックし、解約可能な時期や条件を把握することが出発点となります。
そこから専門家の意見を交えつつ、解約の意思を示すための通知書の作成と送付を行う必要があります。解約交渉が長期化しそうな場合は、意図的なタイミング調整や必要書類の保管・管理にも気を配り、サブリース会社とのコミュニケーションを丁寧に進めていくことが大切です。

1. 契約書の内容確認
契約満期や更新条項の有無、解約に伴う違約金の規定などを改めて確認しましょう。
口頭の説明だけでなく必ず書面を参照し、解釈が曖昧な部分はプロに相談しておくと安心です。契約書の把握ができていないと、余計な費用負担や不要なトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。
2. 専門家への相談
弁護士やサブリース物件の取り扱いに慣れている不動産業者など、専門家にサブリース契約書を見てもらうことで、リスクや法的正当性を客観的に判断できます。
特に正当事由を主張する場合は、関連判例の情報や手続き書類作成など、専門的なサポートが欠かせません。
誤った解釈や手続きを避けるためにも、早い段階で専門家へアプローチしておくと安心です。
3. 解除通知書の送付
解約の意思を正式に相手へ伝えるには、内容証明郵便などの証拠が残る方法で通知書を送付することが一般的です。
通知書を出す際は、契約解除希望日や正当事由を明確に記載し、後の交渉で有利に進められるようにしておきましょう。
曖昧な表現を避け、書面に必要事項を正確に盛り込むことで、サブリース会社からの反論やトラブルを最小限に抑えられます。
4. 解約交渉と手続き
通知書を送付した後は、サブリース会社との交渉を行い、条件合意が得られれば契約解除に向けた書類の作成や締結を進めます。立退料の金額や修繕義務の範囲など、細かな取り決めをしっかりと書面化しておくことがトラブル防止の要です。
交渉が長引く場合も想定し、スケジュール管理をしながら進めていくことで、円滑に解約へと導くことができます。
サブリース会社を選ぶ際のチェックポイント
サブリース会社は、賃貸経営のパートナーとして重要な役割を担います。トラブルを未然に防ぐための選び方を解説します。
サブリース会社の選定は、長期的な賃貸経営の安定を左右する重要なプロセスです。会社の財務基盤や実際の運営実績、オーナーへのサポート体制など、複数の視点から慎重に評価しましょう。契約後のサービス内容やトラブル対応の姿勢は、直接の収支だけでなく、オーナーの精神的負担を大きく左右する要素でもあります。
信頼できるサブリース会社の見極め方
まずはサブリース会社の資本力や管理実績、倒産リスクの低さなどを確認することが大切です。
顧客満足度や口コミ評判、実際の物件管理状況も併せてチェックし、長期にわたって安定運営が見込めるかを見極めましょう。
契約前に複数社を比較検討し、資料や面談を通じて信頼性を総合的に判断することがオーナーのリスクヘッジにつながります。
契約前に必ず確認しておきたい重要項目
サブリース契約を締結する前には、賃料保証の期間や水準、見直し条件の有無など、契約条項の細部を必ず確認してください。
修繕費用の負担範囲や入居者管理の方針など、後から摩擦が生じやすいポイントも事前に質問や交渉をし、合意を得ておくことが重要です。
こうした事前準備が甘いと、後日になって解約したいと思ってもスムーズにすすまない事態に陥りやすいので注意しましょう。
【まとめ】
サブリース契約の満期を迎えるオーナーは、正当事由の有無やサブリース会社との関係性、契約内容を踏まえた戦略が重要です。今後の賃貸経営に活かせるまとめとしてご参照ください。
サブリース契約が満期を迎えた際には、更新か解約かを慎重に検討し、正当事由や解約条件を十分に理解しておくことが欠かせません。
借地借家法の保護やサブリース会社の合意など、クリアすべきハードルは多いですが、契約書の内容や会社側の事情を踏まえたうえで、最適な選択ができるよう情報をしっかり収集することが大切です。専門家のサポートを受けつつ、解約の手順と書類を整備すれば、トラブルを最小限に抑えて契約を終了できる可能性が高まるでしょう。
今後の賃貸経営では、サブリース会社選びから契約更新・見直しまで総合的な視点を持ち、空室対策とリスク管理をバランス良く行うことが成功への近道となります。
\ FGHにおまかせ /
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

Sayuri Takahashi
マーケティング部 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャルプランニング技能士/インテリアコーディネーター
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