相続対策に不動産を活用・・具体的にどんなもの?

公開日2019/04/02
更新日2024/09/06

相続税対策の一つに不動産を活用した節税手法・・とよく見かけませんか?
 
実際にアパート建築などは有効な相続対策です。
 
しかし、昨年のスルガショックや金融庁がアパートの供給過剰を懸念し、銀行へ融資姿勢を引き締める対応もあり、そうそう簡単に”アパートオーナー”になれる時代は過ぎたのかもしれません。
 
尚且つ人口減少社会の中では、不動産による相続対策もエリアを考慮しなければリスクが高まります。
 
逆に賃貸需給バランスのとれたエリアの不動産に限定すれば低リスクで相続対策ができる現状だといえます。
 
今回は、不動産を活用した納税対策についてお話してみようと思います。

背景 ビル群 線画

うちは課税されるほど相続財産ないし・・

2015年1月の相続税改正以後、相続税の納税義務者となる人は増加しています。
 
それは基礎控除額が改正前の6割となったためです。
 
よってサラリーマン世帯であっても相続税を納めなければならない人たちが現れる訳です。
 

改正前は、相続税の納税義務のある人は全体の4%程度と言われていましたが、改正後はおよそ倍の8%程度になると言われています。
そのため、都内で土地建物を持っていたり、退職金を多くもらったような方は、納税義務者になっている可能性があるわけです。

 

相続税の基礎控除額は、【3,000万円+法定相続人の数×600万円】という計算式です。

 

基礎控除額以上の資産を持っている方(特に都内に持ち家を所有されている方)は、相続税が発生しますので、まずは自分が基礎控除額以上の資産を持っているかどうかを確認してみるといいと思います。

分からない人のイラスト

賃貸物件は評価額が低くなる

相続税の対象となる資産は、現金や不動産、有価証券等々・・があり、これらの資産を評価した金額がいわゆる相続税評価額となります。

 

現金の場合もちろんですが現金の金額がそのまま相続税評価額となります。
 
一方で、不動産の場合、建物は【固定資産税評価額】土地は【相続税路線価】に基づき評価額が算出されます。相続税路線価は、時価のおおよそ80%相当。例えば、時価3,000万円の土地でも、相続税評価額としては2,400万円程度になるわけです。

 

同じ3,000万円の資産を【現金】と【不動産】で持つのであれば、不動産の方が相続税評価額は小さくなるため節税効果が生じるのです。

 

さらにアパートやワンルームマンションのような賃貸物件はさらに評価額が下がります。相続税評価では、賃貸物件は自分では使うことができず権利に制限があるため、評価額を落とすという考え方をしてくれるのです。

 

賃貸物件の場合、建物には【借家権割合による評価減】土地には【貸家建付地評価減】が適用され、自宅や別荘のような不動産より評価額が下がります。これによっていわゆる賃貸物件は相続税対策となるわけです。

悩んでいる人のイラスト

いくら節税できた!で終わらないのが相続対策

確かに、アパート建築やワンルームマンション運営は評価額を下げるため節税対策になります。しかし、エリアによっては人口減少に歯止めがかからず、賃貸物件も供給過剰となっているため、せっかく節税しても空室でキャッシュアウトがつづく・・というリスクの高い状況にあるのです。節税したと思ってキャッシュアウトしていたら本末転倒です。なにしろ【借家権割合による評価減】を適用するにあたって入居者がついていないといけないわけで・・

 

これを踏まえると、賃貸事業を行うという観点における「地方のアパート建築」はお勧めしません。賃貸事業を行うのであれば、首都圏、近畿圏、福岡、名古屋など賃貸需要を見込める”駅近物件”をお勧めします。

 

近年では入居者ニーズが”広さ”よりも”アクセス”を優先する傾向が強くなっています。人口がこのまま減少していくのであれば、そのコントラストはよりはっきりとしてくるかもしれません。なにより建物は改修してバリューアップを図ることもできますが、アドレスは後から変える事が出来ません。相続対策は安定した賃貸運営がセットではじめて成り立つわけです。

閃いた人のイラスト
 

流動性・収益性・節税効果・・どれも重要!

相続があった後の話ですが、相続人である配偶者や子供たちが、必ずしも不動産を持ち続けるとは限りません。相続では資産が共有状態となるため、遺産分割の際、不動産を売却することなんかもあります。

 

その際、換金性の低い不動産の場合は、価格が大きく下落し、なかなか売却ができない・・なんてことも起こりうるわけです。

 

例えばですが、地方でローンを組んでアパートを建築した場合、売却時に時価がローン残債よりも低いため、換金できない!というケースもあります。そのため、リセールまで考慮すると、換金しやすい立地の不動産の方が有利になる可能性は高いといえます。

 

主要都市の”駅近”賃貸物件は、節税力だけでなく、流動性の高さも強み。

 

人口減少が進む令和元年、これから相続税対策を考えるのであれば、流動性・収益性・節税効果の3つを高い水準で追及していく必要あり。こと物件選定は将来を見据えて慎重に!

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このコラムを書いている人

高松 大樹

高松 大樹

営業三部部長・執行役員 1986年生まれ 埼玉県育ち 2010年2月よりフォースグループで投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。中古ワンルームを中心に800件に迫る成約実績。 イレギュラー案件の交通整理も得意。実体験からモアベターな選択を提案致します。 保有資格:宅地建物取引士

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