なぜ?ボーナスにも税金や保険料がかかっている理由
この時期になると楽しみなのがボーナス!!何を買おうか、どこに行こうか、使い道を考えるだけでワクワクしますね。
そんなボーナスですが、思ったより少ないなと感じたことはありませんか?実は色々と控除されているのですが、今回は控除の対象となる項目について解説していきます。
賞与にも社会保険料がかかる
「なぜ賞与時にも社会保険料が引かれているの?」「給与の時に徴収されているのだから必要ないのでは?」
私自身こんな疑問をもったことがあり調べてみたところ、法律で義務付けられているとあるじゃないですか…。これでは仕方ありません。
実は、社会保険料が引かれるようになったのは2003年4月からです。
それまでは月収(標準報酬月額)に対してのみ保険料が徴収されていました。
しかし、収入としての考え方は【月給であろうが賞与・ボーナスであろうが同じ】という考えから、賞与にも社会保険料がかかるようになりました。これを“総報酬制”と言います。
総報酬制が導入された背景として「(悪質な)社会保険料逃れ」対策があります。総報酬制が導入される以前は「月給を安くして賞与の支給額を多めする」ことで、従業員も事業主も社会保険料を節約できたのです。
当時合法的な節税方法ではあったのですが、「月給を少なめ・賞与を多め」に支給することで保険料負担を免れる現象を回避する目的や、賞与制度のない会社との不公平感、月収にかかる保険料負担を軽減することなどを理由に、月給も賞与もひっくるめた“収入額”に対して社会保険料がかかる“総報酬制”が導入されました。
総報酬制の導入により厚生年金の保険料率は、17.35%から13.58%へと軽減されました。
控除されている項目って?
賞与から引かれているものとして下記のものがあります。
・健康保険
・介護保険料(40歳以上65歳未満の方のみ)
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
毎月の給与と違う部分として、住民税のみ控除対象外となります。
住民税は前年度に支払われた実績をもとに、その年に支払う金額が確定します。
つまり今回支払われる賞与の金額については、翌年の住民税を計算する際に反映されるため控除対象外となるのです。
ボーナスの手取りを少しでも多く残すには
控除対象が分かったところで、手取りを少しでも多く残すための対策を紹介します。
・ボーナス前月の残業を抑える
ボーナス前月の給与額を抑えることで、源泉所得税の税率が低くなり控除額が下がります。
結果的に残業するよりも支給額が増える可能性があります。
また、4~6月の平均給与が社会保険料の金額に反映されるため、該当期間の給与を抑えることで社会保険料の削減に繋がります。
・iDeCoを活用し節税する
別の方法としてボーナスにかかる所得税を、個人型確定拠出年金(iDeCo)の所得控除で節税することです。
掛金は全額所得控除の対象となるので、その年の所得税と翌年の住民税を節税できます。
さらに運用によって得た利益も非課税というメリットもあります。
・NISAを活用し節税する
NISAは、特定口座と呼ばれる投資口座を開設し、株式や投資信託などの金融商品を取引することができます。
NISA口座に投資した資金は、一定期間(通常は5年間)非課税となり、配当や売却益も非課税となるメリットがあります。
証券会社に口座をお持ちの方はもちろん、新たに開設する人も増え、多くの方がNISA口座で運用されています。
【2024年、NISA制度が新しくなる】
2024年に登場の「新NISA」は「一般NISA」の進化版といえます。
「つみたてNISA」はこれまで通り年間40万円の非課税枠で20年間、投資信託等で継続運用できます。期間延長以外に変更点はありません。
「ジュニアNISA」は、2023年をもって終了します。
一般NISAから進化する「新NISA」は、まず上限20万円の枠内で「つみたてNISA」の対象商品から運用、上限102万円の枠を使って株式等で運用をする合体版です。
非課税枠は合計122万円になり、一般NISAから移管(ロールオーバー)できます。
元々期間限定のNISA制度ですが、これまでがそうだったように2028年期間満了時には、延長や変更など、再度継続措置があるかもしれません。
自分に合った運用を
今年は、ESG(環境・社会・企業統治)関連の銘柄が、投資信託設定商品が増えるなど人気を集めています。
みせかけ批判もあるようですが、個人投資家の関心が高いSDGs(持続可能な開発目標)と深く繋がることから注目されています。
残念ながら弊社ではSDGsへの取り組みを公表していませんが、様々な業種・分野の企業ホームページで目にするようになりました。
ですが、話題や人気で飛びついてしまうのは注意が必要です。
そもそもNISA口座で最大のメリットは「非課税」であることで、肝心の資産価値が減ってしまえばその恩恵は半減以下。
更にNISA口座で実損がでると、損益通算や繰越控除が受けられず泣きっ面に蜂ということも。
プロが運用する投資信託でさえノーリスクではありません、納豆精神の粘り強い商品・銘柄選びで自分に合った選択を。
最後に
毎月の給与やボーナスから引かれている税金の中には年末調整で戻ってくるケースや、反対に追加徴収されるケースもありますので計画的に使い道を考えたいですね。
投資は自己責任でリスクを伴いますが、現状うまく利用すれば大きな節税になる制度を知らないのはもったいない、タンスのような豊富な引き出しで情報を集めておきましょう。
余談ですが、私は幼少時代SMAPの【夜空ノムコウ】という曲の「♪夜空の向こうには もう明日が待っている」という歌詞を、「♪夜空の向こうには ボーナスが待っている」だと思っていました。
夜空の向こうにボーナスが待っている世界…素敵ですね。
このコラムを書いている人
石倉 直樹
1973年大阪生まれ 好きなキャラクターはねり丸、エルちゃんカルちゃん、昨年94年の歴史に幕を閉じたとしまえん、たくさんの思い出をありがとう。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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