不動産投資に失敗したくない! |敷金、礼金、管理費、共益費の定め方
投稿日2019/07/03

家を借りる際には、敷金・礼金・管理費・共益費など、さまざまな費用が発生します。
部屋探しをしている人はもちろん、オーナー側もそれぞれの費用の意味を正しく理解しておく必要があります。
近年では敷金・礼金0円の物件も増えていますが、こうした物件は本当にオーナーや入居者にとってメリットがあるのでしょうか。
また、各種費用が高額であれば、その分サービスの質も向上するのでしょうか。
この記事では、賃貸物件にかかる各種費用について詳しく解説し、オーナーが利益を最大化するための費用設定の考え方をご紹介します。
必ず目にする敷金・礼金って何?
敷金とは?
敷金とは、退去時に必要となる原状回復費用に充てるため、入居時に預けるお金です。
人が生活すれば、どんなに丁寧に使っていても部屋は少なからず汚れたり傷んだりします。
家具の設置による床のへこみや、ポスターを貼った際の壁紙の穴などは避けられません。
そのため、退去時には原状回復費用が発生します。
敷金は、こうした費用に備えるためのものであり、オーナーにとっては欠かせない資金です。
入居者の使い方が著しく悪い場合、敷金がなければオーナーが大きな損失を被る可能性もあります。
ただし、損傷の程度によっては敷金だけでは不足する場合もあります。
物件ごとの原状回復費用をあらかじめ想定し、適切な敷金額を設定することが重要です。
敷金の相場は家賃の1〜2か月分が一般的です。
礼金を0円にする代わりに、敷金を3か月分に設定するオーナーもいます。
また、敷金は家賃滞納時の補填に使われることもあります。
その点からも、敷金を0円に設定することはあまりおすすめできません。
なお、敷金を返還しない特約を結ぶことも可能ですが、
✅合理的な理由があること
✅借主が通常の原状回復義務を超える負担を理解していること
✅その内容に同意していること
この3点を満たさなければ、特約は無効となる可能性があります。
入居者にとって敷金はできれば支払いたくない費用ですが、万が一部屋を傷つけてしまった際の備えにもなります。
退去時には原状回復費用を差し引いた残額が返金されますが、実際にはほとんど戻らないケースも多く、トラブルになりやすいポイントです。
そのため、契約時に内容をしっかり確認することが、借主・貸主双方にとって重要です。
礼金とは?
礼金とは、部屋を貸してもらうことへの「お礼」として、入居者がオーナーに支払う費用です。
敷金と違い、返金されることはありません。
礼金の相場は家賃の0.5〜2か月分ですが、近年は礼金0円の物件が増えています。
住んでくれる入居者がいてこそ賃貸経営は成り立つため、「お礼をもらう」という考え方は古くなりつつあります。
入居者にとっても、返ってこない礼金はできるだけ支払いたくない費用です。
そのため、新築物件を除き、礼金は設定しない方が客付けの面では有利でしょう。
新築であれば礼金があっても選ばれやすいですが、中古物件では礼金のない物件と比較され、不利になる可能性があります。
部屋を借りる時に必ずかかるのが仲介手数料
仲介手数料とは?
仲介手数料は、入居者が仲介不動産会社に支払う手数料です。
オーナーと入居者の間に入り、契約を成立させたことへの対価として支払われます。
基本的に、オーナーが仲介手数料を支払う必要はありません。
近年では、仲介手数料を半額または無料にしている不動産会社も増えています。
部屋探しの際は、仲介手数料の条件も比較するとよいでしょう。
アパートやマンションの部屋を借りる時にかかるのが、共益費・管理費
共益費とは?
共益費は、入居者全員が利用する共有部分の維持管理に使われる費用です。
エントランス、廊下、階段、エレベーターなどの清掃費や電気代、水道代などが含まれます。
物件によっては、家賃に共益費が含まれている場合もあります。
管理費とは?
管理費は、物件全体の維持管理のために使われる費用です。
共有部分の管理や、管理人の人件費などが含まれます。
分譲マンションでは管理費が設定されていることが多く、
さらに将来の大規模修繕に備えた修繕積立金が必要になるケースもあります。
賃貸の場合、修繕積立金を支払う必要はなく、分譲所有者のみが負担します。
共益金と管理費はどう違うの?
共益費と管理費に明確な違いはありません。
そのため「管理費(共益費)」とまとめて表記されることも多く、どちらか一方のみを支払うのが一般的です。
相場は家賃の5〜10%程度で、
✅管理人の有無
✅設備の充実度
などによって金額が変わります。
エレベーター付きマンションでは7〜10%が目安となり、新築物件は比較的高めに設定される傾向があります。
なお、管理費や共益費は階数に関係なく同額です。
「1階でエレベーターを使わないから安くしてほしい」といった要望は基本的に認められません。
管理費(共益費)の値下げ交渉や前払いも場合によっては可能
管理費(共益費)の値下げや前払いを希望する入居者もいます。
応じるかどうかはオーナー次第ですが、一括前払いの場合、退去時の返金対応など管理の手間が増える点には注意が必要です。
管理が行き届いていない場合、管理費に対する不満が出やすくなります。
正当な理由なく支払いを拒否する入居者に対しては、契約解除も可能なため、必要に応じて専門家に相談しましょう。
家賃以外の費用の一部はオーナーの収入に
礼金はオーナーの直接的な収入になりますが、高く設定しすぎると入居者が集まりにくくなります。
一方、礼金0円物件は家賃を高めに設定して、長期的に収益を得るケースもあります。
管理費は管理会社の収入になることが多く、共益費はオーナーの管理用資金となります。
ただし、共益費は設備維持に充てる必要があり、自由に使えるお金ではありません。
入居者の目を引く費用設定のコツ
入居希望者は、まず家賃の金額に注目します。
そのため、
【ケース1】家賃5万円+管理費2,000円
【ケース2】家賃5万2,000円(管理費込み)
であれば、前者の方が検索結果に表示されやすくなります。
毎月の支払額は同じでも、表示方法によって大きな差が生まれるため、
家賃を抑え、管理費(共益費)を別建てにする方が集客面では有利です。
管理費(共益費)なしの物件は、メリットだけではない
管理費がない物件は魅力的に見えますが、
その分、家賃が高く設定されていたり、管理の質が低い場合もあります。
質の高い管理ができているのであれば、無理に管理費をなくす必要はありません。

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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