不動産投資をするなら確認すべき登記簿謄本のポイントを解説!
【目次】
不動産投資と登記簿謄本
不動産投資をするのであれば、登記簿謄本の読み方は知っておかねばならないことの一つ。
登記簿謄本には、権利に関するさまざまな重要事項が記載されています。
しかしながら、登記簿謄本は日ごろあまり見る機会がないため、内容までは詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は不動産投資で確認すべき登記簿謄本のポイントについて解説していきます。
登記簿謄本の読むべきポイントや不動産の物件概要や権利、リスクについて、不動産投資を始める前にしっかりと理解しておきましょう。
登記簿謄本とは?どのようなことが記載されているの?
登記簿謄本とは、”不動産の権利が記載されている書類”のことをいいます。
別名「不動産登記簿」と呼ばれることもありますが、正式名称は全部事項証明書となります。
登記簿謄本には、主に下記の事項について記載されています。
■表題部・・不動産の基本的な概要
■権利部甲区・・不動産を保有している人物や法人について
■権利部乙区・・所有権以外の権利について
登記簿謄本は、手数料さえ支払えば誰でも取得することができるため、必ずしも不動産所有者が取得する必要はありませんが、権利関係が明記されている重要な書類となるので、取得しておいても損はないでしょう。
登記簿謄本はどこで取得できるの?
登記簿謄本は、下記の方法で取得する事ができます。
■法務局の窓口
■郵送
■オンライン
■インターネットの情報請求
法務局の窓口
登記簿謄本の一番基本的な取得方法は、法務局の窓口で取得する方法です。
法務局にある申請書に必要事項を記入の上、600円の収入印紙を貼り付け、提出することで発行してもらうことができます。
法務局であれば、場所問わずどこでも取得できます。
取扱い可能時間は、平日の午後8時30分から午後5時15分までとなっています。
郵送
交付申請書を記入し、返信用の封筒を同封の上、法務局に郵送することで登記簿謄本を交付してもらうことができます。
この場合、支払手数料600円の他、切手代も必要となります。
オンライン
登記簿謄本は、オンラインで取得することもできます。
オンラインの場合、郵送または最寄りの登記所や法務局証明サービスセンター窓口で受領することになります。
費用は法務局の窓口で取得するよりも安く、郵送で受領する場合の手数料は500円、窓口で受領する場合の手数料は480円となっています。
手数料は、Pay-easyに対応したATMからの振込またはインターネットバンキングからの支払いとなり、収入印紙は必要ありません。
オンラインで取得する場合、取扱い可能時間は平日の8時30分から午後9時までとなっています。
法務局に取りに行くよりも、取り扱い時間が長めに設定されているため、平日は仕事があり法務局に行く時間がないという方や、法務局が遠いという方はオンラインで申請してみても良いでしょう。
インターネットでの情報請求
WEBサイト「登記情報提供サービス」から申し込みをすることで、インターネットでも登記簿謄本の情報を取得することが出来ます。
手数料は334円となっており、クレジットカードで決済が可能。
最も簡単に登記簿謄本の情報を知ることが出来るため、素早く情報を入手したいという方はインターネットで情報請求をし、登記簿謄本を取得することをおすすめします。
表題部に記載されている内容一覧
では、登記簿謄本には一体どんな内容が記載されているのでしょうか?
まずは、登記簿謄本の一番上に記載されている「表題部」について、解説していきます。
記載されている内容は、以下の通りです。
■表題部(土地)
■表題部(建物)
表題部(土地)
「表題部(土地)」には、基本的な土地の情報が記載されています。
最初に記載されているのは「所在」で、不動産が存在している地番の事をいいます。
住所と混合されやすいですが、所在は地番であり、住所ではありません。
地番とは、土地につけられていた番号のことを表し、かつて利用されていた住所のことをいいます。
次に記載されているのが、「地目」です。
地目とは土地の種類の事を表しており、「宅地・山林・田・畑」など、その土地が何に使われているかを示したものとなります。
地目の横には、「地積」が記載されています。
地積とは土地の面積の事を表しており、㎡で記載されています。
購入時の物件の広さと異なっていた場合は、必ず売主側に確認しましょう。
表題部(建物)
「表題部(建物)」には、基本的な建物の情報が記載されています。
土地と同じように所在が記載されており、すぐ下に「家屋番号」が記載されています。
家屋番号は家がある所在の事で、原則として土地の所在と一致します。
家屋番号の下には、「種類」という欄に居宅・店舗・事務所など家の種類が記載されています。
「構造」は、建物がどのような材料で建てられているか、屋根材の種類や階数が記載されています。
「床面積」には、階ごとの床の面積が㎡で記載されています。
例えば2階建ての場合、1階の㎡数と2階の㎡がそれぞれ記載されています。
「原因及びその日付」には、建物を新築した場合や取り壊しした場合など、建物の登記の変化があった原因と日付が記載されています。
表題部のチェックポイント
表題部のチェックポイントは建物の築年数・構造・附属建物の3つです。
建物の築年数と構造については、ホームページやチラシに掲載されている構造と、登記簿謄本の構造が異なるケースがまれにあります。
もし、表記と異なる場合、必ず売主に確認しておきましょう。
附属建物は、居宅の表題部の下に新たに表題部(附属建物の表示)として記載されており、「物置」「倉庫」など居宅のおまけとしてついてくる建物のことをいいます。
物置や倉庫付の物件を購入した場合、床面積や構造が説明と異なっていないか、附属建物が登記されているかを確認しましょう。
権利部に記載されている内容一覧
次に、表題部の下に記載されている、「権利部」について解説していきます。
記載されている内容は以下の通りです。
■権利部(甲区)
■権利部(乙区)
権利部(甲区)
「権利部(甲区)」には、所有権に関すること、つまり”登記簿謄本に記載されている不動産は誰のものなのか”ということが記載されています。
現在の不動産の権利者はもちろんのこと、過去にいつ・だれが所有していたかもすべてわかります。
最初に「順位番号」の記載があります。
1番には新築時の所有者のことが記載されており、下に連れて新しい日付になっていきます。
すなわち、現在の所有者については最後の順位番号に記載されているということです。
そのため、順位番号が多ければ多いほど、売買が頻繁に繰り返された物件ということになります。
順位番号の横には「登記の目的」が記載されています。
登記の目的には、所有権が移転した理由について書かれています。
例えば、「所有権保存」と記載されていた場合、新築で建物を建てたことになります。
「所有権移転」の場合、物件が他の人に売却・譲渡されたことを意味します。
「差押」の場合、住宅ローンや不動産投資ローンが払えなくなり、金融機関が物件を差し押さえたということです。
「所有権移転仮登記」の場合、登記の手続きが遅れているが、実質的に物件の所有権は移転しているということになります。
次に記載されているのは「受付年月日・受付番号」です。
受付年月日・受付番号には、登記が受付された日付・及び登記の通し番号が記載されています。
このように、権利部(甲区)には、所有権に関する権利事項が記載されています。
現在だけではなく、過去の履歴も確認できるということを覚えておきましょう。
権利部(乙区)
「権利部(乙区)」には、所有権以外の権利が全て明記されています。
つまり、現在登記簿謄本に記載されている不動産に対して、”誰がどのような権利を保有しているのか”が確認できるということです。
権利部(甲区)と項目は同じで、「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」が記載されています。
中でも最も重要な項目は、登記の目的です。
特に、抵当権設定については、必ずチェックしなければなりません。
抵当権とは、住宅ローンや不動産投資ローンを借りるときに、金融機関が土地と建物に設定する権利のこと。
万が一、借主がローンを返済できなくなった場合、金融機関は土地と建物を差し押さえて、競売にかけることができます。
そのため、不動産を購入する際には必ず、抵当権を外しておかなければなりません。
抵当権を外したときは、登記の目的の欄に「〇番抵当権抹消」と記載されます。
また、抹消された抵当権については、登記の目的の「抵当権設定」のところに下線がひかれます。
そのため、わざわざ抵当権抹消の欄を探す必要なく、一目でわかるようになっています。
また、「受付年月日・受付番号」の次に記載されている「権利者その他の事項」も非常に重要な項目です。
登記の目的に記載されている権利の内容について、詳細が記載されています。
抵当権の場合、記載される項目は以下の通りです。
■債権額・・銀行が物件所有者に対して融資した金額
■利息・・融資した金額に対しての利息
■損害金・・融資の支払いが遅れたときの利息
■債務者・・お金を借りている人の住所と氏名
■抵当権者・・お金を融資している銀行名と住所
このように、権利部(乙区)には非常に重要な項目が明記されているため、しっかり確認しておきましょう。
権利部のチェックポイント
権利部のチェックポイントは、権利部(乙区)抵当権の「権利者その他の事項」の欄に記載されている「債権額」と、「利息」です。
「その物件がどのくらいの金額で取引されていたか」や、「金融機関がその物件に対して、どのくらいの評価をしているか」の予想をつけることができます。
また、現在の販売金額は妥当なのか、自分がその物件を購入した場合、融資の条件はどのようになるのかの目安をつけることができます。
購入を考えている物件については、事前に登記簿謄本を取得し、物件の金額と融資条件を確認しておくことをおすすめします。
上記が、不動産の登記簿謄本の基本的な説明となります。
登記簿謄本には権利に関する様々な事項が記載されているため、しっかり読み解くことによって、物件を安く購入できるケースもあります。
具体的に、物件を安く購入するための手法については、次の章で解説していきます。
登記簿謄本を読めれば物件を安く購入できることも
登記簿謄本をしっかり読むことで、物件を安く購入できる可能性があります。
具体的には、下記の物件を狙うことをおすすめします。
■一般の人が売却している物件を探す
■相続物件を探す
一般の人が売却している物件を探す
不動産投資を行っていない一般の人は、物件相場に詳しくない傾向があるといえます。
そのため、一般の人が売却している物件は、不動産投資家や不動産会社を介すよりも安値で購入できる可能性があります。
登記簿謄本で見ておくべきポイントは、権利部(甲区)の最終の所有権移転日と回数です。
最終の所有権移転日が近年のもので回数が多ければ、売主は不動産投資家のケースが多いため、価格交渉に成功しにくく、安価な価格帯で物件を購入するのは難しいかもしれません。
一方で、最終の所有権移転日から20年以上経過しており、なおかつ回数が少ない物件の場合、売主が一般の人である可能性が高いと言えるでしょう。
相続物件を探す
相続物件の場合、相続が発生した日から起算して10カ月以内に相続税を納税しなければならないため、税金対策などで売主が早期の売却を希望しているケースが多いです。
そのため、価格交渉がしやすく、物件を安く購入しやすいという傾向にあります。
相続については、権利部(甲区)の「権利者その他の事項」の欄に「相続」と記載されています。
登記簿謄本のポイントまとめ
今回は、不動産投資で確認すべき登記簿謄本のポイントについて解説してきました。
ポイントは下記の6つです。
■登記簿謄本とは権利関係が明記されている書類のこと
■法務局、郵送、オンライン、インターネットで情報を取得できる
■表題部には物件の基本情報が記載されている
■権利部(甲区)には物件の所有権に関する事項が明記されている
■権利部(乙区)には抵当権など所有権以外の権利が明記されている
■うまく活用することで、物件を安く購入できる可能性がある
登記簿謄本は難しい言葉が並んでいるため、ベテランの不動産投資家でもしっかり理解している人は多くはありません。
しかしながら、内容をしっかり理解しておけば、物件を安く購入できる可能も高くなります。
ぜひ本記事を参考に登記簿謄本の知識を増やして、不動産投資にぜひ活用してみてください。
このコラムを書いている人
マンション経営ラボ 編集者
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