【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!⑥

公開日2020/04/02
更新日2024/01/11

2020.4.2
代表取締役会長 渡邊 勢月矢

 
大量の1万円札

なぜ? 家賃滞納にテキサス州からの支払い停止

前回、売却を決意したところまでお伝えしました。
 
ここで売却前の運用実績をご紹介しましょう。
 
2018年の運用実績には満足していましたが、2019年は散々な結果となりました。
 
まず、2019年の運用実績をご覧ください。
 
【2019年1月~7月】家賃収入$13,641 支出$16,907 純利益▲$3,266 

 
2019年の1月から7月の家賃収入が13,641ドルです。これは発生ベースです。
 
2018年は12カ月間で33,320ドルでした。ところが2019年は7カ月で家賃収入が13,641ドルは大きく下がっています。
 
発生ベースで家賃収入が低いのに、そのうち未収家賃が2,673ドル(約30万円)です。
 
これに支出が16,907ドルありますから、純利益がマイナス3,266ドル(約34万円)です。
 
どうしてこういうことが起こってしまったのかといえば、物件の売却情報を入居者が知ったのが原因かと思われます。
 
私は3月に売却依頼をしたのですが、どうやらH社の提携である管理会社を通じて「オーナーが売却する」という情報が入居者に伝わったらしいのです。
 
売却情報が入居者に漏れると、家賃を支払わなくなるといいます。
 
その神経が理解できないのですが、入居者からすれば、「オーナーが代わるらしいよ。それじゃ家賃を払わなくてもいいね!」という了見だそうです。
 
そのため、普通なら売却を決めてから契約決済を急いでするのです。
 
しかし、私は物件を法人名義で購入しており、決算の関係から8月に売却をしたいという希望がありました。
 
その結果、4.5.6.7月がほとんど家賃が入らなかったのです。
 
そもそもオーナーチェンジすることを、3月時点で管理会社から入居者に伝える理由がよくわかりません。
 
慣習的にオーナーの不利益になるのであれば、伝えるタイミングを考慮すればよいのでは?と思います。
 
ルールとして伝えなくてはならないなら、「入居者に伝えた段階で家賃が未払いになる可能性が高い」ということを、私に伝えるべきではないでしょうか。
 
さらには、これもよく分かりませんが、セクション8の生活保護の肩代わりする家賃を、いきなり州が払わなくなりました。
 
その理由は、「インスペクション(建物の診断)ができていない」という理由です。
 
これも不可解な話で、インスペクションについてはそのような話はこれまで一切聞いていません。
 
なぜ急に言い出したのかは不明ですし、「それなら今までどうして払っていたのか?」という疑問がわきます。
 
例えば、インスペクションが行われておらず、行わなくてはいけない義務を拒否した結果、やむなく支払いをストップする……という話であれば、理解できますが管理会社からは何も報告を受けていません。
 
会話としてはこのような感じです。
 
「どうしてテキサス州からの家賃が払われていないのですか?」
「インスペクションで引っかかったらしいです。もうこの家には払えないと州が言っています」
「それは、事前にわからないものですか?」
「わかりません」
 
入居者は家賃を払わない、州からの生活保護家賃も支払われない、そうなれば当然のごとく、入金は0です。
 
それどころか支出ばかり増えていきます。
 
これには私も困ってしまいました。
 
支出については次回のコラムでお伝えします。
 
●2019年1~7月の明細

損益計算書

 

【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!
【第1回】アメリカ不動産投資との出会い
【第2回】私が行ったSection 8(セクションエイト)とはどんな投資か?
【第3回】購入目的は4年間の減価償却
【第4回】運用実績(2016年~2018年)
【第5回】生活保護スキームの崩壊から売却を決意
【第6回】なぜ? 家賃滞納にテキサス州からの支払い停止
【第7回】アメリカ不動産では、仲介手数料は売主が全額払う
【第8回】不可解な精算書……売却直前で空室を修繕
【第9回】アメリカ不動産の売却は、基本的に売主に不利!?
【第10回】セラーファイナンスのリスク
【第11回】「米国源泉徴収制度」(FIRPTA)を知っていますか?
【第12回】令和2年度税制改正による海外不動産投資への影響と、私がアメリカ不動産投資で失敗して感じたこと

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算8000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

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