借地権の種類について
はじめに
マンション・戸建ての販売図面や広告で、土地に関する権利が「借地権」や「地上権」と表示されているのを目にした経験がある方も多いのではないでしょうか。
どちらもなんとなく“土地を借りている”というイメージはあるものの、違いが正直分からない方もいると思います。
今回は、借地権の特徴とメリット・デメリットについてまとめてみました。
借地権とはなにか?
借地権は、建物の所有を目的に土地を借りる権利のことを言います。
建物がなければ借地権を設定することができないため、駐車場や資材置場の利用のために土地を借りる場合は含まれません。
借地権には、大きく分けて「賃借権」と「地上権」という2つの権利があり、どちらも土地を借りる権利ですが異なる点があります。
まず地上権は、他人の所有している土地を使う権利で物権(物に対する権利)です。
基本的に土地の所有者の許諾がなくても、建物を売却したり貸したり担保の設定をしたりできるので、借りる側にとって有利な権利になっています。
一方の賃借権は、土地を借りる人が地主に対し住居を建てて住むことを請求できる権利で債権(人に対する権利)にあたります。土地の所有者の許可を得ないと、原則的には建て替え、建物の売却はできません。
地上権と違い、貸す側にとって有利な権利になっています。
地上権と賃借権どちらになるかは双方の合意で決まりますが、地上権は太陽光パネルの設置やトンネル、高速道路といった工作物を使用する場合に、賃借権は家を建てる場合に設定されることが多いです。
借地権のメリット・デメリット
メリット
①購入金額が安価
借地権は地代がかかりますが、土地を購入するのと比べて割安です。
もちろん地域ごとによって変わりますが、土地を購入せずに借りるため6~8割ほどの値段で物件を購入できることがあります。
②土地の税金がかからない
土地を所有している場合は、固定資産税などの税金を払わないといけないですが、借地の場合は土地に対する税金を払う必要がありません。
デメリット
①物件を売却する際に地主の承諾が必要
地上権であれば関係ありませんが、賃借権の場合は建て替えや売却を行う際に地主の許可が必要になります。
②金融機関からの融資を受けにくい
借地権の物件は土地を地主から借りている特性上、所有権と比べてどうしても金融機関の評価担保が低くなります。
そのため、住宅ローンの融資が通りにくいことがあります。
まとめ
今回は、借地権の特徴やメリット・デメリットなどをまとめてみました。
借地権の物件は、所有権の物件と比べると、住宅ローン融資・売却・建替え・存続期間などさまざまな注意点がありますが、その一方で取得費用を低く抑えられる点は、大きなメリットです。
借地権・所有権どちらにもメリットがあるので、物件を購入する際には状況と土地の活用方法に応じて見極めましょう。
このコラムを書いている人
柏井 優輝
東京都出身 2015年新卒入社 FGHフットサル部キャプテン 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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