出産費用の家計に掛かる負担
少子高齢化があたりまえのように感じられるようになって久しい日本ですが、平成28年に出生数が100万人を下回ったあとも着実に出生数は下降の一途をたどっています。
出生数の増加は日本社会においても重要課題の1つとなっており、国は社会保険制度や育児休暇制度など対策を打ち出しては修正を繰り返し、実生活に沿った制度作りを行っています。
出産育児一時金とは
出産に向けて費用面でハードルを下げる対策の一つが、社会保険から支払われる「出産育児一時金」です。
産科医療保障制度に加入している病院等で1児出産した際に、出産育児一時金として42万円の出産育児一時金が支払われます。
しかしながら、近年の出産費用は毎年増額しており、出産育児一時金では賄えない事態になっているのが現状です。
出産費用全国平均額の推移
公益社団法人 国民健康保険中央会が出している出産費用の全国平均は、以下の通りです。
平成24年度 48万6734円
平成25年度 49万1425円
平成26年度 49万9550円
平成27年度 49万9615円
平成28年度 50万5759円
こうしてみると、着実に出産費用が増えているのが分かります。また平成28年度の出産費用平均額を都道府県別にフォーカスしてみると、東京都が一番高く62万1814円、逆に一番低い都道府県は鳥取県で39万6331円となりました。
東京で出産すると出産育児一時金で賄うには20万円足らないため、家計に大きな負担となることが分かります。
これは、出産に備えて田舎に帰るケースが多い理由の一つになっているのではないでしょうか?
民間医療保険の支給条件
「出産育児一時金が足りない分は、民間の医療保険で賄えるのでは?」と考えている方が多いかもしれません。
しかし、民間の医療保険では「異常妊娠」「異常分娩」に対する給付に留まり、「正常分娩」に対する給付はなされていないようです。あくまで医療費の範疇に留まるということなのでしょう。
出産育児一時金増額!!
2022年6月15日に岸田総理が出産育児一時金の増額について表明し、それを受けた松野官房長官は、2023年度(来年度)から実施したいと述べていました。
これから制度について詰めていくと思われますが、全国平均でも8万円もの差がある出産費用をどのように捻出するのか注目していきたいと思います。
まとめ
たまたま食事をしながら出産一時金増額のニュースを見ていた私にとって「出産」とは自分の世界の外にある情報でした。
しかし、広く見れば他人事ではない内容です。誰でも歳を重ねれば体の不自由を感じ、色々な機会で支えてもらう必要がでてきます。
将来の日本を明るいものにするためにも、官民一体となってこの状況からの脱却を目指していきたいものです。
このコラムを書いている人
相馬將志
千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級
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