円安による不動産投資への影響と区分マンション売却のタイミング
- 1998年に147円台に乗って以降、1ドル80円~120円を推移していた円ドル相場が、2022年に入ってから1ドル140円前後という円安の状況が続いています。
- 今後しばらく円安が続くどころか、加速することさえ予想される状況において、所有する投資用の区分マンションを売却するかどうか迷っている方もいるかもしれません。
- 結論からお伝えすると、もし迷っているのであれば早めに売却することをおすすめします。
- その理由は大きく分けて2つ。 1つは、現在日本の投資用不動産を積極的に購入している海外投資家が、今後日本の不動産への投資の手を緩める可能性があるため。
- そしてもう1つは、一般消費者が不動産価格の安い郊外に流出しているためです。
円安が起こっている理由
日本の投資用不動産への円安の影響を考える前に、そもそも現在の円安が引き起こされている原因を知っておく必要があります。
現在の円安の状況が引き起こされているのは、アメリカがインフレ対策として利上げをしているのに対し、日本が低金利政策を継続していることが原因の1つです。
2021年まではアメリカも金利が低い状態が続いていましたが、2022年に入ってから大幅な利上げを実行。
2022年9月12日現在において米国10年国債の金利は3.3%台で推移しており、これまで日本の株式に投資を行っていた投資家が、米国債を求めて円を売る動きが強まった結果、現在のような円安が引き起こされています。
さらに2022年8月26日に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、インフレの状態が落ち着くまで金利を高い水準で維持する可能性について言及しています。
つまり、今後も利上げの状態が続く、もしくはさらなる利上げが実行される可能性も考えられるのです。
その一方で日銀の黒田総裁は、日本の10年国債の利率が0.25%以上に上がらないようにする低金利政策を継続しています。
利上げの流れのあるアメリカと、低金利政策を継続する日本の金利差が今以上に開くことがあれば、円安がさらに加速する可能性も否定できません。
円安の加速により投資用マンションが受ける影響
では、今後さらに円安が進んだ場合に、日本における投資用不動産にはどのような影響があるのでしょうか。
海外投資家からの需要が下がる・売却の動きが加速する
1つ目に考えられるのは、海外投資家による日本の投資用不動産への需要が下がるということです。
2021年まではアメリカを含む全世界が低金利状態にあったため、運用難に陥った海外投資家が、比較的利率が高く、コロナウイルスの影響が比較的低かった日本の投資用不動産を購入する動きが強くありました。
2022年9月現在においても、米国債の金利こそ上昇しているものの、依然日本での不動産投資のほうが利回りがいいということもあり、海外投資家による投資用不動産の購入の動きは弱まっていません。
しかし、先ほど言及したとおり、アメリカは今後もさらなる利上げを行う可能性を示唆しています。
利上げにより日本での不動産投資と同水準の利回りになった場合、わざわざ為替リスクをとってまで日本の不動産に投資をする理由もなくなります。
その結果、日本の投資用物件を売却・撤退することも否定できないのです。
そうなると投資用不動産への需要が低くなり、いざ売却しようとしても買い手が見つからなくなってしまいます。
日本人の一般消費者にも売れなくなる
海外投資家が不動産を売却するということは、大都市や主要都市に投資用不動産が多く流通することになるため、一見すると不動産価格が下がるように感じられるかもしれません。
しかし、多くの投資用不動産が売却されたとしても、不動産の価格自体はあまり下がらないということが予測されます。
なぜなら、円安により建築価格が高騰している一方で、日本人の給与水準はなかなか上がらないためです。
日本で使用している建築資材の大半は、海外からの輸入に頼っています。
円安が進むということは、海外から輸入する建築資材の価格も高騰するということ。
現在すでに新型コロナウイルスの影響により建築資材が高騰していますが、そこに円安も加わることで、新築マンションの相場は高いまま推移する可能性が高いと言えます。
その一方で、日本人の給与水準はかれこれ約30年間にわたりほとんど変化していません。
不動産価格が上昇しているのに収入が上がらないともなれば、たとえ主要都市で区分マンションの流通量が増えたとしても、一般の消費者は安い価格帯の住居を求めて、郊外に流れ続けることになります。
つまり、海外投資家が投資用不動産を売却しても、日本人からの需要が大幅に高まることは考えにくく、いざ売却しようとしてもなかなか買い手が見つからない・見つかっても安く買いたたかれることが予想されるのです。
また、円安の煽りを受けるのは、区分所有マンションの売却金額だけではありません。
投資用不動産を運用していくためには、入居率維持のためのリフォーム費用・メンテナンス費用・修繕費用も必要です。
これらの価格も今後さらに上昇し、投資用不動産の利回りが低下する可能性もあるのです。
投資用不動産を売却するなら今がチャンス
不動産を売却するタイミングを見計らうのは難しいもので、誰もが「もう少し待てばもっと高く売れるタイミングが来るかも」と考えます。
しかし本記事で解説した通り、円安が進行している今の状況においては、希望通りの価格で売却することは今後さらに難しくなる可能性が高いと言えます。
一般的に不動産の売却を検討し始めてから売却が決まるまでには、平均で3ヶ月~6ヶ月程度かかると言われています。
不動産市場が大きく動き出してから査定などを行うのでは手遅れになる可能性も否定できないため、所有している区分マンションの売却を検討している場合は、今がチャンスだと思って早めに動き出すことをおすすめします。
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このコラムを書いている人
新田 知也
2015年 株式会社FGH入社 静岡県出身 不動産仲介営業、マーケティング戦略、DX戦略、当社独自サービス「投資スケルトン」開発の経験を経て、2021年にマーケティング部を立ち上げ。 2022年4月 同社執行役員に就任。 リアルとデジタルの融合をテーマに様々なコンテンツの企画、プロデュース、ディレクションを担当。お客様に「驚き」と「感動」をお届けいたします。
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