後を絶たない「サブリースの餌食」
【目次】
後を絶たない「サブリースの餌食」
投資物件をご自身で賃貸管理をされている方もおりますが、賃貸管理会社に管理をお願いしてる方のほうが多いのではないでしょうか。
その中でも、管理形態の一つとしてサブリース契約で任せておられる方も少なくありません。
物件を購入する際に、当たり前の様にサブリースを勧められてご契約されていらっしゃることが多いと伺います。
また、サブリース契約をされているが故に、経営が難しくなってしまった方も実際にいらっしゃいました。
オーナーを苦しませる事になった「名文句」
今は、あまりテレビやラジオで聞く事は少なくなりましたが、【●●年一括借り上げ】という所有者を安心させる定番文句が以前は、よく聞かれました。
家賃収入を重要視している所有者にとっては、家賃収入がなくなるリスクは一番に挙げられる不安要素でしょうから、この「名文句」は多くの所有者の心に刺さるものだったでしょう。
しかし、ここに大きな落とし穴がありました。
多くのオーナーがはまった落とし穴とは
オーナー目線で見ると、サブリース契約は空室に困らず、空室時の対応や募集などの手間が省け、サブリース賃料が保証されるというメリットが目をひきます。
サブリースは、オーナーにとってメリットが大きく移ってしまい、それはデメリットが霞んで見えてしまうほどです。
契約締結前の重説の中で、デメリットになる説明は印象に残らない程度にされるか、はなから説明されていないという方もいらっしゃいます。
説明不十分でサブリース契約をしてしまった場合、どのようなデメリットがあるのか。
サブリース賃料が値下げされる(解約される)
┗期間内の値下げは無いと言いながら、減額請求を求められ、値下げに応じない場合は一方的に解約されてしまうことも。
解約に応じてもらえない
┗売却の為、サブリース解約を申請しても、入居者の立場である管理会社は、借地借家法により拒んでくることも。
この2点がサブリース2大リスクになっています。
不動産はまるで”生鮮食品”!?
不動産は生鮮食品と同じで、時間が経つにつれて「価値」が下がります。
それによって、周辺の他物件の相場を鑑みて、割に合わないと見るや、賃料を下げる交渉ができるのです。
スタート時の家賃収入を見込んで収支を考えていた所有者からすると寝耳に水の話です。
借主である「不動産業者」は、解約の申し入れができる。
原則としては、期間の定めのある賃貸借契約では、期間中の中途解約は認められないのですが、特約により解約できる旨を定める事ができます。
更に、貸主は解約日の6か月前までに正当な理由において解約できるのに対し、借主は期間の制限も正当な理由の有無も必要ありません。
その為、特約に1か月前までに解約申し入れをする事と書かれていれば、成り立ってしまうのです。
「えっ!【●●年一括借り上げ】って約束したよね?」と言ったとしても、「当時と状況がかわりまして・・・。」と言われば、それまでです。
サブリース新法は味方をしてくれるのか
昨年の12月15日にサブリース新法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の一部)が施行されました。
誇大広告の禁止、不当な勧誘の禁止、重要事項説明の3つの側面から規制強化がされましたが、私の個人的な所感では、サブリース二大リスクを防ぎきれないのではないかと思っています。
例えば、新法で施行されたひとつに、サブリース契約締結前に、重要事項を書面に記載し、内容の説明が義務化されましたが、、、
サブリース賃料変動の可能性を説明をするといっても、「上がるかもしれないし、下がるかもしれません」という、なんとも曖昧な表現でサラッと説明されてしまうのではないかと懸念しております。
反対に「今後、賃料は下がっていきます!それでもサブリースでいいんですね!」というようなネガティブな要素の説明をハッキリしてくれるサブリース会社は、信頼できるかもしれません(笑)。
結局、法改正によって規制が入ったとしても、オーナー側が正しくリスクについて把握することの重要性は変わらないのではないでしょうか。
サブリース契約を締結する際は、提供されたリスクの情報を充分に理解すること、把握することが一番の予防策です。
説得された判断より納得の判断
基本的に営業マンは、成約前にネガティブな要素を言いたがりませんし、自社にとって都合が良いように説明されるケースがほとんどでしょう。
説得の場合▼
オーナー「空室とか賃料の値下がりが心配なんですけどぉ・・」
営業「サブリースの方が、空室時でも賃料は入ってきますし、10年の契約ですよ!空室時の対応や募集活動はこちらですべて行います。
もちろん途中でサブリースを解約できる場合もありますのでご安心ください!」
⇒このままサブリースで契約締結。
※極端ではありますがデメリット面の説明はほぼありません。
納得の場合▼
オーナー「サブリース賃料は変動しますか?」
営業マン「相場にあわせて変動する可能性があります」
オーナー「築年数ごとに下落率を考慮した具体的なシミュレーションはありますか?」
サブリースで後悔しないために
上記のように内容をご自身でしっかり確認し納得しながら進めること、契約期間内にサブリース賃料の減額があるのか、解約はどんな理由でも出来るのか、解約金はいくらなのか、不安要素はすべてつぶしておくのがベストです。
事前の準備や調査をしてから管理会社とすり合わせをする事で、トラブルを未然に防げることでしょう。
「サブリース契約で管理が解約できない為に希望金額で売れない。」というご相談を頂くケースが増えています。
サブリース会社の特色によっては解約できる場合もありますし、サブリース会社によっては解約しなくても売却に至れる事もございます。
そういったノウハウをもっているプロに相談をするのがてっとり早いかも知れません。
このコラムを書いている人
渡邉 幸也
1990年 秋田県鹿角市生まれ 東京都日野市育ち 2013年 株式会社FGH入社。不動産業界歴10年のノウハウを生かし収益不動産のプロフェッショナルとして、数多くの不動産を仲介する。 現在は、投資用不動産の売却・販売など幅広く担当している。 保有資格:宅地建物取引士
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