マンション売却後の確定申告は不要でもやった方が良い?効果的な節税方法を解説
【目次】
マンション売却後の確定申告は不要でもやった方が良い?効果的な節税方法を解説
「マンションを売却したら確定申告は必要?」
「確定申告不要でもやった方が良いって本当?」
マンション売却後に確定申告が必要なのは「譲渡所得」がプラスになった人のみですが、譲渡所得がマイナスになった場合でも確定申告すると節税メリットを享受できる場合があります。
そこでこの記事では、譲渡所得がなくても確定申告をするべきケースや、節税方法について詳しく解説します。
この記事を読めば、損をしない確定申告の方法が分かるでしょう。
マンション売却で確定申告は不要か必要か
マンション売却における確定申告が必要かどうかは、譲渡所得(= 利益)が出たかどうかによって変わります。
以下の式で計算される譲渡所得が、プラスであれば確定申告が必要、マイナスであれば不要です。
- 譲渡所得 = 譲渡収入金額 - 取得費 - 譲渡費用
譲渡所得が発生した人は、法律で確定申告をして所得を申告することが義務付けられているので、必ず確定申告を行いましょう。
「譲渡所得」がなくても確定申告をするべきケースとは
譲渡所得がなくてもマンションを5年以上所有していた場合は、大半の方が確定申告をするべきです。
なぜなら5年以上所有していたマンションの場合、譲渡所得のマイナス分(= 譲渡損失)は他の所得とあわせて損益通算し、節税ができます。
損益通算:確定申告で生じたマイナスの所得を、給与所得など他の黒字となっている所得から控除すること |
全体の課税所得が減るため、すでに給与等から天引きされている所得税が「払いすぎ」の状態になり、確定申告により還付を受けられる可能性があるのです。
取得額より安い価格でマンションを売却するケースがほとんどなので、大半の方が確定申告により還付を受けられます。
さらに譲渡損失が課税金額より大きい場合は、最長3年間の繰り越し控除を受けることが可能です。
損をしないよう、面倒でもぜひ確定申告を行いましょう。
確定申告をしないとどうなる?
もし譲渡所得が発生したのに確定申告をしないと、罰則を受けることになります。
具体的には以下の罰則があるので押さえておきましょう。
罰則の名称 | 対象 | 罰則の内容 |
延滞税 | 申告が遅れた・しなかった場合 | ・延滞期間に応じて毎月7.3~14.6%の追加課税 |
無申告加算税 | 意図せず申告しなかった場合に発生 | ・本来納付する税額に応じて15~20%の追加課税
(一定期間内の自主申告で軽減あり) |
重加算税 | 不正に所得を隠した場合に発生 | ・本来の納税額の35~40%の追加課税 |
申告が遅れたりしなかったりといった場合には、7.3~20%ほどの追加課税があると覚えておきましょう。
延滞税の場合は延滞するほど、追加課税が積み上がっていくので注意が必要です。
また不正に所得を隠して申告した場合には、重加算税として最大40%もの追加課税が発生します。
確定申告は期間内に忘れず、正しく、偽りなく行いましょう。
マンション売却の確定申告で必要な書類
マンション売却の確定申告に必要な書類とその取得場所は以下の9つです。
必要書類名 | 取得場所 |
確定申告書B様式 | 税務署・国税庁ホームページ |
分離課税の申告書第三表 | 税務署・国税庁ホームページ |
譲渡所得の内訳書 | 税務署・国税庁ホームページ |
購入時の売買契約書のコピー | 売買契約時に取得済み |
売却時の売買契約書のコピー | 売買契約時に取得済み |
媒介報酬や印紙代の明細書のコピー | 売買契約時に取得済み |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局・法務局ホームページ |
本人確認書類(e-Taxの場合は不要) | 所有している |
源泉徴収票(自営業者は不要) | 勤務先から取得 |
また特例控除を受ける場合には、
確定申告のやり方と時期
マンション売却における確定申告では、以下の3つの書類を記入していく必要があります。
- 確定申告書B様式
- 分離課税の申告書第三表
- 譲渡所得の内訳書
これらの書類を全て記入し、2月16日~3月15日までの1か月間で提出します。
提出方法は以下の2つです。
- 法務局に提出
- e-Tax
それぞれの提出方法について簡単に解説します。
法務局に提出
最もオーソドックスなのは法務局に直接確定申告書を提出する方法です。
以下の3つの方法で提出できます。
- 窓口に提出
- 時間外収受箱に投函
- 郵送
開庁時間は窓口に提出できるほか、時間外でも投函できる「時間外収受箱」が用意されています。
法務局に行けない人は、「信書」として郵送での提出も可能です。
e-Tax
最近主流になりつつあるのが、「e-Tax」を使って電子申請する方法です。
(参考:国税庁「e-Tax」)
確定申告書の作成から提出まで、すべてがPC上で完結できます。
ただしe-Taxの利用にはマイナンバーカードが必須です。
マイナンバーカードの発行には2~4週間程度の時間がかかるので、持っていない場合は早めに申請しておきましょう。
マンション売却での節税方法
マンション売却には主に以下の3種類の節税方法が用意されています。
- 3,000万円の特別控除の特例
- 軽減税率の特例
- 特定居住用財産の買換え特例
譲渡所得が大きく課税金額が大きくなる方は、これらの特例を使って節税しましょう。
また勘違いする方がたまにいますが、この特例を受けるためには申請が必要です。
「控除を使えば課税所得が0になるから確定申告をしなくていい」というわけではなく、申請と確定申告を行うことで課税所得が0になるので、確定申告は必ず行いましょう。
それぞれ詳しく解説します。
3,000万円の特別控除の特例
居住用のマンションを売却した場合は、3,000万円分の特別控除が受けられます。
つまり住んでいたマンションであれば、3,000万円までは譲渡所得が発生しないので、税金も発生しないということです。
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」)
以下の条件に当てはまらなければ、ほとんどのケースでこの特例が使えます。
- 売手と買手の関係が家族や親戚ではない
- 投資用のマンションではない
- 別荘として使っているマンションではない
ほとんどの方が使える特例で、大半の方がこの特例の使用で譲渡所得が0になります。
忘れずに申請し、しっかり節税しましょう。
軽減税率の特例
マンションを10年以上所有していた場合は、課税所得額に応じた軽減税率の特例が受けられます。
この特例を使えば本来であれば所有期間5年以上なら約20%、5年未満なら約40%ほどかかる所得税・住民税が以下のように軽減されます。
課税所得額 | 所得税率 | 住民税率 |
6,000万円以下の部分 | 10.210% | 4% |
6,000万円超の部分 | 15.315% | 5% |
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」)
3,000万円の特別控除の特例が使えない投資用マンションなどは、軽減税率の特例で節税しましょう。
特定居住用財産の買換え特例
10年以上居住したマンションを売却し、新しいマンションに買い替える場合には、特定居住用財産の買換え特例が使えます。
これは、譲渡所得を将来の売却時に繰り越せる特例です。
例えば今回の売却時に1,000万円の利益が出て、将来買い替えた新しいマンションの売却時に2,000万円の利益が出た場合には、合計3,000万円が課税されることになります。
一時的に負担は軽くなりますが、あくまで課税の先延ばし制度なので注意が必要です。
(参考:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」)
将来の資金計画を立てながら、特例を使うか決めましょう。
まとめ
確定申告が必須となるのは売却で譲渡所得が発生した方のみです。
2月16日から3月15日の1か月間で必ず行ってください。
譲渡所得を軽減するための特例も用意されているので、使えるものがあれば忘れずに申請しましょう。
また譲渡所得が発生せずマイナスになった方でも、確定申請することで大きく節税ができます。
面倒だと思わずにぜひ確定申告して、上手に節税してみてください。
メタ
マンション売却で「譲渡所得」がプラスになった人は確定申告が必須ですが、譲渡所得がマイナスになった場合でも確定申告すると節税できる場合があります。不要でも確定申告をするべきケースや、節税方法について詳しく解説します。
このコラムを書いている人
新田 知也
2015年 株式会社FGH入社 静岡県出身 不動産仲介営業、マーケティング戦略、DX戦略、当社独自サービス「投資スケルトン」開発の経験を経て、2021年にマーケティング部を立ち上げ。 2022年4月 同社執行役員に就任。 リアルとデジタルの融合をテーマに様々なコンテンツの企画、プロデュース、ディレクションを担当。お客様に「驚き」と「感動」をお届けいたします。