アパート経営で外国人入居者を受け入れるメリット・リスクと対策
投稿日2020/05/18

人口減少や賃貸需要の変化で空室対策が難しくなるなか、「外国人入居可」にすることで募集間口を広げる動きが広がっています。
一方で、保証人・言語・生活文化の違いなど独自のリスクもあり、受け入れには事前準備と運用ルールが欠かせません。
本記事では、外国人入居者の市場ニーズと見通しを整理したうえで、メリット・デメリットを具体化し、トラブルを減らす考え方と対策の方向性を解説します。
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外国人入居者の市場ニーズと今後の見通し
外国人入居者の受け入れ可否を判断するには、需要が増える背景と、今後の増減見通しを押さえることが重要です。
外国人入居の需要は、たまたま一時的に増えているというより、留学生や就労者など「一定期間、日本で生活する前提の人」が継続的に存在することから生まれています。職場や学校が決まっているのに住まいが見つからないケースも多く、住居の確保は当事者にとって切実です。
一方で供給側は、言語対応や審査の考え方が整っていないことから、受け入れを避ける物件がまだ目立ちます。その結果、外国人が申し込みできる物件が相対的に不足し、受け入れる側に応募が集まりやすい構造になっています。
国や自治体、業界団体によるガイドラインや書式の整備も進み、以前よりも受け入れのハードルは下がりつつあります。今後も人手不足を背景に外国人材の就労が続くと見込まれるため、オーナー側が運用を標準化できれば、空室対策として現実的な選択肢になりやすいです。
外国人向け賃貸が増える背景
在留外国人、留学生、外国人労働者には一定以上の居住需要があります。特に就学・就労で住む場所が必要なのに、入居できる物件が限られるため、条件が合えば申し込みが集中しやすいのが特徴です。
入居先探しが難しくなる理由は、言語対応ができない、賃貸の慣習を説明できない、オーナーがトラブルを過度に懸念する、といった要因が重なりやすいことです。そのため、受け入れ可の物件は見つけた時点で候補になりやすく、募集上の強みになります。
近年は行政や業界が、外国人の円滑入居に向けたガイドラインや多言語資料を用意しています。受け入れの可否を感覚で決めるのではなく、書式とルールで運用に落とし込める環境が整い始めている点は、長期的な追い風です。
外国人入居者を受け入れるメリット
外国人入居者を受け入れる最大の狙いは、募集の母数を増やして稼働率と収益のブレを抑えることにあります。
メリットは「外国人だから特別」というより、入居できる物件が少ない市場構造を利用して、空室期間を短くしやすいことです。募集条件を大きく変えずに反響を増やせるため、家賃を下げ続ける消耗戦を避ける手段になり得ます。
✅入居率が安定する
✅紹介で入居者が見つかりやすい
✅築年数や設備の弱点が影響しにくい
✅家賃設定の選択肢が広がる
入居率が安定する
外国人入居可の物件が少ない地域ほど、募集の競争環境が変わります。条件が極端に良くなくても「申し込みできる」こと自体が価値になり、空室期間の短縮につながりやすいです。
空室が減ると、家賃収入が安定し、毎月の返済や固定費の支払いに余裕が出ます。特に自己資金を厚くしていない経営では、空室が続くことが最大のストレス要因なので、稼働率の底上げは精神面でも効果があります。
ただし安定は「受け入れれば自動的に満室」という意味ではありません。審査基準、契約書類、生活ルールを整備し、トラブルの芽を先に潰すほど、安定の確度が上がります。
紹介で入居者が見つかりやすい
外国人コミュニティでは、住まい情報が口コミで広がりやすい傾向があります。いったん入居者が満足すると、退去予定や空室の情報が知人に共有され、次の入居者候補が出てくることがあります。
このとき重要なのは、最初の入居者選定です。最初の入居者がルールを守り、支払いも安定していると、同じ勤務先や学校、同じ生活水準の知人が紹介されやすくなり、客付けの質が連鎖しやすくなります。
逆に、初期対応が曖昧でトラブルが起きると、コミュニティ内で悪い評判が広がることもあります。紹介を味方にするには、入居時の説明とフォローを丁寧に行い、困ったときに相談できる窓口を明確にしておくことが土台です。
築年数や設備の弱点が影響しにくい
築年数や駅距離、多少の使用感など、日本人が強く気にする条件が、外国人では相対的にネックになりにくいケースがあります。住環境の価値観が違うため、必要条件が満たされれば細部にこだわらない人も一定数います。
その結果、全面リフォームをしなくても決まりやすいことがあり、投資回収が難しい過剰な改装を避けられます。空室が続く部屋ほど、まずは募集間口を広げて稼働させ、必要な修繕を計画的に行う方が経営として合理的です。
ただしDIYや模様替えの感覚は国によって差があり、善意で手を加えてしまうこともあります。改造を避けたい場合は、禁止事項と原状回復の範囲を契約と入居時説明で明確にし、写真付きで合意を取ると揉めにくくなります。
家賃設定の選択肢が広がる
家賃を下げるだけが成約手段ではありません。フリーレント、家具付き、決済方法の工夫などで初期負担や手続き負担を下げると、同じ家賃でも選ばれやすくなります。
ポイントは「家賃の名目」を崩さずに「実質負担」を調整することです。家賃を下げると相場の下落に巻き込まれやすい一方、フリーレントやキャンペーンは期間限定で設計でき、次の募集条件を戻しやすい利点があります。
また、海外では家具付きが一般的な地域もあり、最低限の寝具・テーブル程度でも評価されることがあります。物件特性とターゲット(留学生、就労単身、家族)に合わせて、コストをかけ過ぎない形で差別化するのが現実的です。
外国人入居者を受け入れるデメリット
外国人入居者の受け入れでは、契約・生活・回収の各フェーズで特有のつまずきが起こり得るため、想定リスクを先に把握し対策を用意することが要点です。
デメリットの多くは前提知識のズレから生まれます。日本の賃貸は書類と慣習が多く、説明不足のまま契約すると、本人に悪意がなくてもルール違反や支払い遅れにつながりやすくなります。
重要なのは、受け入れをゼロか100かで考えないことです。まずは問題が起きやすい点を洗い出してルールを整備する段階導入にすると、経営への衝撃を小さくしながらノウハウを蓄積できます。
✅連帯保証人が見つかりにくい
✅コミュニケーションが難しい
✅生活文化の違いによるトラブル
✅家賃滞納・失踪のリスク
連帯保証人が見つかりにくい
外国人にとって連帯保証人はなじみが薄く、制度を理解しても、実際に引き受けてくれる人を確保しにくいことがあります。候補者がいても、その人自身の在留の安定性や支払い余力が読みづらく、オーナー側が不安を抱えやすい点も課題です。
現実的な対策は保証会社の活用です。保証会社を前提条件にすれば、保証人探しで申込が止まるのを避けられ、滞納時の実務も一定程度標準化できます。外国人向けの審査に慣れた保証商品があるか、管理会社に確認しておくとよいです。
審査は感覚で厳しくするより、確認項目を整理したほうが公平で強い運用になります。在留資格の種類と期限、勤務先と雇用形態、収入、緊急連絡先、必要に応じて預金残高など、支払い能力と居住の継続性を言語化して判断するとブレが減ります。
コミュニケーションが難しい
言語の壁があると、契約内容の理解不足や、注意喚起が伝わらないことから対応が後手になりやすいです。特に重要事項説明や解約・原状回復などは、日本人でも難しいため、母語での補助がないと誤解が起きやすくなります。
対策として、多言語の契約書類や生活マニュアルを用意し、伝える内容を減らさずに簡単な表現へ置き換えることが有効です。国や業界が提供するひな形やガイドラインを使うと、ゼロから作るより漏れが減り、説明の一貫性も保てます。
また、契約時だけ通訳を手配する、あるいは日本語が堪能な同席者を立てるだけでもトラブル率は下がります。入居後の最初の数週間は質問が出やすいので、問い合わせ窓口と連絡手段を一本化し、返信の目安時間を決めておくと運用が荒れにくいです。
生活文化の違いによるトラブル
文化の違いでよくあるトラブル
✅ゴミ出しルールが守られず汚されてしまう
✅毎晩パーティでドンチャン騒ぎ
✅無断で又貸し
✅独特のにおいが部屋についてしまう
トラブルになりやすいのは、ゴミ出し、騒音、ニオイ、共用部の使い方、土足、ペット、無断DIYなどです。ただし多くは「故意」ではなく、「日本のルールを知らない」「集合住宅の暗黙ルールが違う」ことが原因です。
予防の基本は、ルールを可視化して、現場で具体的に説明することです。入居時にゴミ置き場を一緒に見て出し方を示す、掲示物を多言語化する、写真やイラストで禁止事項を示すなど、文字だけに頼らない工夫が効きます。
さらに、定期周知が重要です。最初は理解していても、生活が忙しくなると守れなくなることがあります。管理会社から全戸へ同じ案内を配布し、個別注意になり過ぎない形で周知すると、本人の面子を潰さず改善につながりやすいです。
家賃滞納・失踪のリスク
家賃滞納は国籍に限らず起こり得ますが、外国人の場合は保証人不在や無断帰国の懸念から、回収の難しさが強く意識されがちです。リスクを下げるには、発生確率を下げる施策と、発生後の回収性を上げる施策を分けて考えるのが実務的です。
回収性を上げるなら、保証会社の加入に加え、クレジットカード払いなど決済面の仕組み化が有効です。支払い方法が安定すると督促業務が減り、入居者側も支払い忘れを防ぎやすくなります。
発生後の対応は、契約前にフローを共有しておくと揉めにくいです。いつ連絡するか、どの時点で保証会社へ引き継ぐか、何か月で法的手続きに進むかなどを、契約条項と運用ルールの両方で整備しておくと、感情的な交渉になりにくく、結果的に回収と明渡しのスピードが上がります。
外国人受け入れ時の注意点
外国の方に気持ちよく住んでもらい、お互いメリットを享受するためには注意しなければいけないポイントがあります。
礼金・更新料は日本独自のルール
日本で賃貸物件を借りる際には、礼金を支払うことが一般的ですが、諸外国には礼金というシステムがほとんどありません。
礼金はいわゆる”大家さんに対するお礼のお金”ですが、保証金や敷金を支払って更にお礼まで払わなければいけないことに、戸惑う外国人も多いのです。
礼金のシステムは、戦前に定められた「地代家賃統制令」が由来になっており、家賃の値上げが難しくなった代わりにお礼として先にお金を渡すことが始まりなんだそう。
外国人入居者に礼金に関する説明しないと、トラブルになってしまう可能性が高いので注意しましょう。
礼金と同じように更新料も日本独自のルールです。
「契約が長くなることは大家にとってもメリットなのに、どうして契約を更新すると費用を支払わなくてはいけないのか」と理解できない外国人も多いそう。
外国の場合、”契約が更新されると、お礼に家賃を1ヶ月無料にする”というケースが一般的です。
更新料のシステムも最初からきちんと説明を行い、理解させた上で契約しないと、後々トラブルに発展しかねません。
外国人入居者に慣れた賃貸管理会社を利用する
外国人向けに賃貸物件を貸し出す場合は、外国人入居者への対応経験が豊富な賃貸管理会社や不動産仲介会社を選ぶことが重要です。
日本独自の賃貸ルールや生活マナーは、海外では一般的ではないケースも多く、契約内容やゴミ出しルール、近隣への配慮などを丁寧に説明できる体制が求められます。
そのため、外国語対応が可能なスタッフや、外国人対応に慣れた担当者が在籍している会社へ依頼することで、入居者との認識違いによるトラブルを未然に防ぎやすくなります。
また、外国人が住みやすい設備や条件、好まれるエリア傾向などを理解している不動産会社であれば、ターゲットに合った募集活動ができ、結果として入居率向上にもつながります。
さらに、対応が必要になるのは入居募集時だけではありません。
入居後も設備不具合や生活ルールに関する問い合わせなど、細かなコミュニケーションが発生する場面があります。こうした対応をスムーズに行うためにも、多言語対応が可能で、外国人入居者のサポート実績が豊富な管理会社を選ぶことが大切です。
\ FGHにおまかせ /
宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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