【2025年最新】不動産投資で自己破産?失敗例と対策を徹底解説!

更新日2025/10/28

不動産投資で自己破産?失敗例と対策を徹底解説!
不動産投資は安定した収益が期待できる一方、投資計画の甘さやリスク管理の不備により、自己破産にまで至るケースも存在します。本記事では、不動産投資で失敗する原因や自己破産に至るプロセスを具体例とともに解説し、リスクを避けるための対策を紹介します。

実際に不動産投資で破綻してしまう人の破産率は高くはないとされていますが、約1.3%ほどの投資家が自己破産に陥っているというデータもあります。
投資を始める前に正しい知識や情報を得ておくことで、こうしたリスクを早めに察知し対策を行うことが可能です。

不動産投資を成功へ導くためには、物件選定やローン計画、空室リスクや管理費用など多角的な視点が必要です。
本記事を通じて、自己破産に陥る背景や避け方を学び、安全かつ堅実な不動産投資を実現するためのヒントをつかんでいただければ幸いです。

不動産投資における自己破産とは?

不動産投資での自己破産は、物件のローン返済や維持費などの支払いが重なり、最終的に返済不能となってしまう状態を指します。

不動産投資は物件から得られる家賃収入をもとにローンを返済していく仕組みが多く、購入の際には高額な融資を組むことが一般的です。しかし景気の変動や金利上昇、空室発生などの要因が重なると、家賃収入だけではローンを返済しきれず、多額の債務を抱えるリスクが発生します。その結果、返済の目処が立たずに借金の返済を滞納し続けると、最終的に裁判所によって自己破産手続きが進められます。

裁判所を通じた手続きでは、破産申し立てから財産の調査・清算までが行われ、最終的には借金を免除または整理する形になります。しかし免責が下りないケースもあり、投資の動機や利用状況に問題があると認定されると借金が残ったままになることがあるため注意が必要です。

不動産投資における自己破産率はどのくらい?

不動産投資における自己破産率は他の投資手法と比べても高くはないものの、油断はできません。

主な金融機関は、「リスク管理債権比率」や「延滞率」という数字を公表しています。
これらは基本的に「返済が延滞されている貸出金の、全債権における割合」を意味するものです。
つまり「貸しているお金のうち、どれくらい返済に延滞が出ているか」を示します。

2025年3月期決算における国内の主な104銀行における平均的な「リスク管理債権比率」は、1.14%でした。
要するに、100人に1人はローン返済が滞っているとわかります。

この数字だけを見ると、それほど高い確率ではないように感じる人もいるかもしれません。しかし一旦深刻な返済困難に陥ると、競売や裁判所での手続きを回避できなくなる恐れがあります。

また不動産投資は一度失敗すると、多額の債務を抱えやすい特徴があります。株式や投資信託などに比べて投下資本が大きい分、リスク管理を怠ると一気に破綻へと向かう可能性もあるため、慎重な計画と対策が大切です。

失敗したらどうなる? 不動産投資で自己破産した具体例

実際に不動産投資で破産に至ったケースでは、ローン返済や空室に伴うキャッシュフローの悪化、購入の方法が大きな原因となっていることが多いです。

とあるサラリーマン投資家「A氏」は、東京都内の賃貸マンションを購入しました。
営業担当者が提示した金額は、不動産そのものが2,500万円。
そこにリフォームや客づけ費用が重なり、初期費用のトータルは3,000万円ほどになりました。
 
その後マンションの入居者を募りますが、思うように借り手がつきません。
やむをえず家賃を下げて貸し出しましたが、家賃を下げても入居者はつかず、とうとうローン返済が遅延するようになります。
 
のちに不動産を査定し直したところ、そもそも不動産価格自体が相場外れでした。
A氏は相場1,900万円の不動産を、2,500万円で購入させられていたのです。
さらに、リフォームや客づけがおこなわれた形跡は、ほとんどありませんでした。
簡単なハウスクリーニングと、いいかげんなWEB広告が掲載されていたわけです。
 
つまり、不動産と諸費用双方で、不当に過剰な費用を支払わされていたのだと発覚します。
 
結局「売却しても多額のローン返済が残り、支払える見込みはない」という状況に陥ります。
 
最終的に、A氏は自己破産を選択。
自己破産では、99万円以上の資産はすべて没収(換価処分)されます。
A氏は、持ち家や車など、あらゆる資産を失うこととなりました。

なぜ不動産投資で、自己破産まで至るのか?

自己破産に至る背景には、物件契約の不利さやキャッシュフロー管理の甘さなど、複数の要因が複雑に絡んでいます。
不動産投資は大きなレバレッジをかけられる点が魅力ですが、その反面、資金繰りが安定しないと返済負担が一気に増大し、破産に至りやすいという側面があります。特に初心者のうちは投資プランやリスク管理の知識が不足しがちで、甘い見通しのまま契約を進めてしまうことが失敗の第一歩になりかねません。
 
また中古物件では管理や修繕のコストが思った以上にかかるケースが多く、新築物件でも空室リスクはゼロにはなりません。最悪の場合、フルローンで変動金利を利用していると、経済状況の変化に応じた金利上昇によって返済計画が大きく狂ってしまうのです。
 

そもそも不利な契約をしている

不動産投資に参入する際、物件価格やローン条件が投資家に著しく不利な契約を結んでしまうケースがあります。
例えば、販売会社が提示する想定家賃や運用シミュレーションが楽観的すぎる場合、実際の収益とのズレが大きくなる恐れがあります。
 
こういった契約を結んでしまうと、当然ながら不動産投資はうまく行きません。
しかし販売担当者は、さも「素晴らしい投資物件である」という体裁で勧めてきます。
その話を信じ込んでしまい、「いい話が転がってきた」と思って、むしろ不利な契約を結んでしまうというわけです。
  
こういったケースでは、「不動産を手放して離脱する」というのも難しくなります。
なぜなら「不動産を売却しても、ローン残債が完済できないから」。
  
よって、売却する前に、自己破産を選択するというケースが多々あるわけです。
 

ランニングコストに対する見通しが甘い

修繕費や管理費、固定資産税など、物件を所有する限り継続的に発生するコストに対する見通しが甘いと、長期的な運用で収支が悪化します。
 
特に築年数が古い物件の場合は、補修や設備交換など高額な修繕費が一度にかかることが珍しくありません。
設備費や修繕費は、いくらかかるか不透明なもの。
不透明なはずの費用について「まあ大丈夫だろう」などと考えていると、後々で計算が狂うわけです。
 
こうした出費が続くと、家賃収入が積み上がらない時期に負担が増え、キャッシュフローを圧迫します。結果的に融資返済だけでなく維持コストの補てんもままならなくなり、資金繰りが行き詰まることにつながります。
 

空室リスクに対する見通しが甘い

不動産投資で大きな影響を及ぼすのが空室リスクです。空室が続けば家賃収入は激減し、ローン返済や管理費用に充てる資金がなくなってしまいます。入居者が見つからない期間のキャッシュフローを見込んだ十分な資金計画を立てないまま投資を始めると、想定を超える早さで資金が底をつく可能性があります。
 
さらに、一時的な空室を乗り越えるための運営計画や広報戦略を用意していないと、ただ待つだけで状況が悪化してしまうケースが多いです。空室が重なれば重なるほど返済負担が増すため、あらかじめ空室リスクに備える仕組みづくりが必要です。
 

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フルローンを利用している

自己資金をほとんど用意せず、物件価格の全額を融資でまかなうフルローンは、レバレッジ効果が大きい一方でリスクも高くなります。
資金が潤沢にある投資家なら、予備資金で金利上昇や空室に備えられますが、自己資金が足りない状態でフルローンを利用すると、返済余力が乏しい状態からスタートすることになります。
 
景気や金利、入居状況などが順調に推移する間はうまくいくかもしれませんが、ひとたび想定外の出費や金利上昇、空室が重なると一気に返済が回らなくなるリスクが高まります。

金利が高くなり一気に赤字化

変動金利でフルローンを組んだ場合、金利がわずかでも上昇すると毎月の返済額が増え、キャッシュフローを大きく圧迫します。不動産投資では長期的に物件を保有することが多いため、金利の変化に耐えられる資金的余裕がないと危険です。
さらに、金利が高くなるタイミングで空室や修繕費用が重なると、短期間のうちに出費が急増してしまいます。こうした複数の要因が重なった結果、返済不能に陥り破産手続きを検討せざるを得ない状況になるケースが後を絶ちません。

不動産投資での自己破産を避けるには?

不動産投資での破綻を避けるためには、投資の仕組みやリスク要因をしっかり押さえておくことが重要です。
不動産投資には魅力的な面が多い一方で、融資返済や空室リスク、金利変動など複数のリスクが存在します。これらを見越した上で、必要な知識を身につけ実行力を伴う対策を講じることが成功のカギとなります。
また、投資対象の物件評価を的確に行い、借り入れ額が過剰にならないようにコントロールするなど、長期にわたって安定したキャッシュフローを維持できる仕組みづくりが不可欠です。
 

不動産投資前に知識を身に着ける

初めての投資では、不動産市場の動向やローンの仕組み、物件を管理するための基本知識をしっかり学ぶ必要があります。
独学だけではなく、専門家のセミナーや書籍、また公的機関や金融機関からの情報を活用することで、より現実的な知見が得られます。
初めてのセミナーなどでそのまま購入を決断するのはお勧めしません。知識がきちんと身につくまで、何社でも話を聞いてみることがよいでしょう。

知識が十分でないまま物件を購入すると、後から収益計画に誤差が生じたり、予想外の支出に対応できずに焦りもちになったりする可能性が高まります。時間をかけて正しい知識と情報を収集し、リスクを理解することが大切です。
 

不動産を適切に評価する

・提示されている価格は適切か
・将来的に家賃はどのように変動するか
・リフォームや修繕にはどの程度の費用が必要か
・入居者がつくかetc…

など、不動産購入の際に良し悪しを見極めるべきポイントはさまざま存在し、高い判断力を問われます。

物件の価値を見極めるには、立地条件や将来的な需要予測、周辺相場の家賃や売買価格などを細かく調べることが欠かせません。
また建物の耐用年数や修繕履歴、管理状態などを事前に確認し、維持費用がどの程度かかるか把握することも重要です。

さらに、取得時の評価だけではなく、出口戦略を考えて将来的に売却やリノベーションをする場合のシミュレーションも行うと、持続的な収益を見通しやすくなります。物件の総合評価は投資成否に直結するため、慎重な調査と分析が求められます。
 

適切な借り入れ額を検討する

ローンを利用して不動産投資を行う際は、購入時だけでなく、長期的に返済が可能な範囲で借り入れ額を設定することが原則です。
将来の金利上昇や空室、修繕費などを踏まえたキャッシュフロー計算を行い、月々の収支がマイナスに転じないように計画を組む必要があります。
 
無理のあるレバレッジをかけると、思わぬトラブルが重なった時にすぐ支払い不能に陥ってしまいます。自己資金を増やしたり諸費用を見込んだりするなど、余裕を持った借り入れで着実な投資運用を目指すことが大切です。

不動産投資における自己破産まとめ

不動産投資で自己破産に至るケースは少なくないですが、正しい知識と準備があればリスクを大幅に軽減できます。
 
投資物件選びや資金計画、そして空室や修繕に対する長期的な視点が欠かせません。特にフルローンや変動金利を利用する場合は、金利上昇時の試算を行い、常に備えておく必要があります。自己破産に至った事例を見ると、総じて楽観的な計画や不十分なリスク管理が原因となっていることが多いのです。
 
不動産投資は収益性が魅力的な半面、負債も大きくなり得ることを肝に銘じ、慎重なリサーチと試算を怠らないようにすることが求められます。しっかりと事前準備を行い、予想外の事態にも柔軟に対応できるようにしてこそ、不動産投資を安全かつ長期的に成功へ導くことができます。

山丸 慎太郎
コラム監修 山丸 慎太郎
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー

プロフィール

代表取締役社長

代表取締役社長

2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。

中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。

   

これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。

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