関西ルールの『保証金・敷引き』について
こんにちは、大阪支店小松です。
さてみなさん、保証金・敷引きってご存知でしょうか?
関西(と博多)の賃貸借契約において、今はほとんど使われていませんが、関西独自の『保証金・敷引き』というルールが多く使われていました。
ただ、京都に関してはまたルールが異なり、『敷金・礼金』方式が広く使われている外、更新料のかかる物件もあるそうです。
保証金・敷引き?なにそれ?
関西ではその昔、部屋を借りるのに保証金として家賃の7カ月~10カ月分とられることがあったそうです。
『保証金』とは敷金とほぼ同じ意味で、最初に貸主へ預けるお金になります。
『敷引き』も関西独自のルールで、家賃滞納の保険金や原状回復費として、退去時に保証金から引かれるお金のことで、敷金とは違い返金されないお金になります。
例えば・・
保証金5カ月分(家賃10万円なら50万円)、敷引きを2カ月(家賃10万円なら20万円)とした場合、敷引きを差し引いた残り30万円 (50万-20万)が返金されます。
消費者契約法って?
『保証金・敷引き』方式は長らく関西ルールとして浸透していましたが、2001年に消費者契約法が改正され「賃貸人は賃貸借が終了したとき、または法に則って賃借権を譲り渡した際には敷金を返還しなければならない」となりました。
敷引き制度については、その違反性が裁判によって度々争われており、裁判所の判断は意見が分かれています。
2011年には最高裁での判決で「敷引きは有効」となりましたが、高額過ぎる場合や契約書に記載のない場合などは、消費者契約法10条により無効となる可能性もあります。
そのような経緯もあり、現在ではほとんどの物件が『敷金・礼金』方式を取り入れるようになりました。
近頃は敷金が当初より減額されている傾向にあるだけでなく、敷金0円物件も増えています。
その背景には、以下のポイントが影響しています。
・家賃保証会社の利用増加
・原状回復ガイドラインの浸透
・物件の供給過多
・インターネットの普及
まとめ
今後、新規に賃貸オーナーとなり賃貸借契約を結ぶ際、『保証金・敷引き』か『敷金・礼金』のどちらが良いか?これからであれば『敷金・礼金』方式が無難かと思われます。
原状回復ガイドラインでは経過年数が考慮されていますが、『敷引き』は経過年数を考慮していないため、「原状回復ガイドラインに沿ったものではない」と主張された場合、トラブルになってしまう場合があります。
オーナーチェンジなどの場合には『敷金・礼金』方式に切り替えていったほうがトラブルの抑止にはなるかもしれませんね。
このコラムを書いている人
小松 麻弓
株式会社FGH大阪支店 大阪府出身 好きな食べ物はメロン。美味しいものが大好きです。おおきに! 保有資格:賃貸不動産経営管理士
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