ライフサイクルコストを考えたことはありますか?
ライフサイクルコストって何?
建物の企画設計から建設、運営・維持管理及び解体に至るまでの建物の一生を建物のライフサイクルと呼びます。
ライフサイクルコストとは、建物のライフサイクルに要する総費用です。
別名、生涯費用ともよばれ、英語の頭文字からLCCと略されることもあります。
一般的に、建物にかかるライフサイクルコストは大きく2つに分けることができます。
- 設計・建設などのイニシャルコスト(初期投資額)
- 運営・維持管理などのランニングコスト(運用管理費)
不動産投資においては、イニシャルコスト(初期投資額)を重視してしまう投資家の人も多くいるかもしれませんが、建築物は寿命が長いので、イニシャルコストよりも建設後にかかるランニングコスト(運用管理費)の方が大きくなります。
建築物のライフサイクルコストの構成を見てみると、高額であるはずの建設費などのイニシャルコストは氷山の一角で意外と少ないのです。
建物を60年運用する場合、ランニングコストはライフサイクルコストの約8割を占めるともいわれています。
ランニングコストの内訳は、エネルギー費、保全費、税金、保険など、その内容は非常に多岐にわたり、建物によって異なりますが、そのうち約3割は建築・設備の修繕費と更新費といわれています。
マンションの場合のランニングコストについて
マンションの場合ですと、ランニングコストに管理費や修繕積立金なども加わります。
修繕積立金については、長期修繕計画も大きく関わってくるのではないでしょうか。
国土交通省の調査によると、長期修繕計画を作成している管理組合の割合は全体の約80%となっています。
そのうち、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定している管理組合の割合は全体の約45%だそうです。
そして、驚くべきことに、約35%の管理組合で修繕積立金が不足していることが明らかになっています。
そのような場合は、修繕を行うために、急な修繕積立金の値上げやまとまった金額の徴収が実施される可能性もあります。
国土交通省のガイドラインでは、長期修繕計画については5年ごとの見直しが推奨されており、定期的に見直しをすることによって適正なライフサイクルコストの算出にも繋がります。
「マンションは管理を買え」は出口戦略にも優位!?
管理組合総会で、修繕積立金の改定や取り崩しについて話し合われる機会もありますので、管理組合総会での議決内容を確認することで、マンションの管理状態を把握することもできるのではないでしょうか。
※マンション経営ラボ 管理組合総会での議決権行使、していますか?
建物を資産として適正に守っていくためには、企画設計の段階から将来を見据えた計画と、適正な維持管理が欠かせないものとなっています。
また、定期的に建物の修繕を行って資産価値を保つことで、売却の際に出口が見つかりやすくなるなど、有利に働くことも考えられます。
不動産投資をする際にライフサイクルコストを考えることも出口戦略の一つといえるのではないでしょうか。
このコラムを書いている人
sakamoto
1985年 愛媛県今治市生まれ 保有資格:不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/管理業務主任者/マンション管理士/賃貸住宅メンテナンス主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級
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