2か月以上滞納率の重要性
賃貸経営に熱心なオーナーの中には、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、賃貸住宅の市場動向をうかがう指標の一つに「日管協短観」というものがあります。
これは日本賃貸住宅管理協会が年2回公表している景況調査となっており、その中には成約賃料や入居率などとともに滞納率も掲載されています。
今回は、日管協短観における滞納率にフォーカスしてみたいと思います。
滞納率カウントのルール
日管協短観で定義している滞納率とは、管理戸数に対して何件滞納があるかを各管理会社に確認し、その平均値を算出したものです。
筆者が「これも滞納率に該当するのか」と思ったのは、保証会社から代位弁済が行われてオーナーの手元に賃料が届いたケースも滞納率にカウントするという点。
ただし、あくまでこのルールは日管協短観の定義であり、各管理会社が独自にホームページなどで表記している滞納率は必ずしもそのルールに則ったものではありません。
そのことを踏まえたうえで、今回は日管協短観から読み取れる滞納率について見ていきましょう。
半期ごとの動向に注目すると、首都圏内では2018年下期と2019年上期を境に若干の下降をみせているものの、直近ではどの圏内においても横ばい傾向にあると考えられます。
しかし、首都圏と関西圏・その他を比較すると首都圏における滞納率がやや低くなっており、リスクが抑えられていると解釈できるでしょう。
また、2020年下期に滞納率が若干上昇しているのは、コロナにより支払いが難しくなった借主が増加したことが原因と考えられます。
2か月以上滞納率にフォーカスする理由
単月での支払い滞納の場合は、「入居者がうっかり忘れていた」もしくは「支払ったつもりでいた」といったケースも考えられますが、2か月以上連続しての滞納となると一気に状況は変わってきます。
入居者の失踪など深刻な状況も考えられるため、家賃の回収が大変難しくなり、オーナーにとっては収益減少の危機に繋がるでしょう。
これから所有物件を管理業者に任せようと考えているのであれば、管理の相談をする際に、2か月以上の滞納率を管理業者に尋ねてみてください。
もし2か月以上滞納率が高い管理業者であった場合、「入居申込者に対する審査があまい」「家賃回収の手立てが乏しい」など何かしら問題点があるかもしれません。
日管協短観では代位弁済も滞納率に含んでいるため、必ずしも“とりっぱぐれる”とは限らないのですが、判断材料としてはよい指標になると思います。
日管協短観は日本賃貸住宅管理協会のホームページで見られるため、ぜひ参考にしてみてください。
このコラムを書いている人
相馬將志
千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級
関連する記事