【ワンルームマンション売却】失敗しないための税金対策【徹底解説】

公開日2024/10/25
更新日2024/10/25

【ワンルームマンション売却】失敗しないための税金対策【徹底解説】ワンルームマンションを売却する際にはさまざまな税金が発生します。
保有年数等によって税金の額が大きく増減するものもあるため、税金の知識を身につけて節税を行えば、売却を有利に進めることができます。
今回は、そんなワンルームマンション売却における税金対策について解説します。

ワンルームマンション売却にかかる税金

ワンルームマンションの売却には以下のように複数の税金が生じます。

①譲渡所得税
②印紙税
③登録免許税
④消費税(※事業目的での不動産売却で発生)
 

譲渡所得税

譲渡所得税とは、マンション売却における利益(譲渡所得)にかかる税金です。そのため、利益が発生しない場合は課税されません。
譲渡所得税は、通常の所得税と違って課税方法が異なるので注意しましょう。不動産売却における譲渡所得は、ほかの所得と損益通算することができず、個別に税額を計算する分離課税が採用されています。
また、マンションの所有期間によって税率が大きく異なります。

所有期間 税率
5年以内 39.63%(復興特別所得税0.63%を含む)
5年以上 20.315%(復興特別所得税0.315%を含む)

※復興特別所得税は東日本大震災の復興財源に充てるため、2037年まで徴収されます。
 
マンションの売却益(譲渡所得)の計算方法は以下の通りです。

譲渡所得=譲渡収入金額-(取得価格+譲渡費用)-特別控除

譲渡所得税がワンルームマンション売却において最も重要な節税対策になるため、その仕組みについて後ほど詳しく解説します。
 

印紙税

印紙税とは、契約書や領収書等の文書を作成した際にかかる税金のことをいい、印紙税法によって定められた文書に課税されます。
ワンルームマンションの売却では、売買契約書や領収書が対象になります。
印紙税は契約金額によって異なり、平成26年4月から令和9年3月31日の期間に作成されるものについては軽減税率が適用されます。税額は以下の通りです。

売買契約書に記載された金額 印紙の金額
50万円以下のもの 200円
50万を超え100万円以下のもの 500円
100万を超え500万円以下のもの 1,000円
500万を超え1,000万円以下のもの 5,000円
1,000万を超え5,000万円以下のもの 10,000円
5,000万を超え1億円以下のもの 30,000円

※参考:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁 (nta.go.jp)
 

登録免許税

登録免許税とは、法務局に対し登記申請を行う際にかかる税金です。
ワンルームマンション売却で売主が負担するものはおもに「抵当権抹消」「所有権登記名義人表示変更」になります。

「抵当権抹消」とは、ローンを組んでマンションを取得した際に設定された抵当権を抹消するものです。
「所有権登記名義人表示変更」とは、売主の氏名や住所が登記上と異なる場合に行うものです。

登録免許税の金額は、不動産1つにつき1,000円になります。
 

消費税

消費税はマンションを事業目的で売却する場合にかかります。そのため、マイホームやセカンドハウス等の事業目的でないマンションの売却の場合は非課税になります。
しかし、個人であっても賃貸マンション等を売却する際は消費税の課税対象になります。

また、それとは別に前々年度の売り上げが1,000万円以下の事業者は「免税事業者」に該当します。その場合は事業目的の売却であっても納税義務はありません。

ワンルームマンション売却における節税対策

①税率が下がる5年以上の所有期間を考慮して売却する

上記で記述したようにワンルームマンション売却における譲渡所得の税率は所有期間によって大きく異なります。5年以内と5年以上では約19%も税率が下がるため、売却を考える際は必ず意識しましょう。
この際、所有期間とは「売却した年の1月1日時点での所有期間」になるため注意しましょう。
 

②譲渡所得の額を可能な限り小さくする

ワンルームマンション売却では、利益(譲渡所得)の部分に対して税金が発生します。そのため、適切な取得価格の計算や費用計上により、利益と見なされる金額を小さくすることで節税効果が期待できます。譲渡所得については、マンション売却における節税対策において重要になるため、以下の4つの項目で詳しく解説します。
 

(ⅰ)取得価格を最大化する

まず初めに、取得価格が分かるものを必ず用意して下さい。
万が一取得価格が不明の場合、売却代金5%を取得価格として計算することになります。
その場合、取得価格が小さくなり、売主にとって大きな不利になる可能性がありますので注意しましょう。
 
取得費が分かるものについては、マンション購入時の「売買契約書」や「領収証」が代表的な書類になります。
それらの書類がない場合でも、ある程度合理的に購入価格を説明できるものがあれば認められる場合もあります。
しかし、紛失してしまうと売主にとって不利になる可能性が高いため、これらの書類は大切に保管しておきましょう。
 
取得価格はワンルームマンションを取得した時の購入代金に加え、仲介手数料や登記費用、税金等の購入に際しかかった費用全般を計上することができます。
また、所有期間中のリフォーム費等の改良費や設備費も計上できることを覚えておきましょう。取得費用を正しく把握し、計上することで節税対策になります。
 
上記以外に取得費に含まれるものは、以下の通りです。

 

(1)土地や建物を購入(贈与、相続または遺贈による取得も含みます。)したときに納めた登録免許税(登記費用も含みます。)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
なお、業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれません。

(2)借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料

(3)土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用

(4)土地の取得に際して支払った土地の測量費

(5)所有権などを確保するために要した訴訟費用
これは、例えば所有者について争いのある土地を購入した後、紛争を解決して土地を自分のものにした場合に、それまでにかかった訴訟費用のことをいいます。
なお、相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、取得費になりません。

(6)建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用

(7)土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子

(8)既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

※参考 No.3252 取得費となるもの|国税庁 (nta.go.jp)
 
取得価格に計上することができる費用を挙げましたが、購入した時の代金をそのまま計上することはできないので注意しましょう。当然ながらマンションは時間経過によって価値が下がります。
そのため、価値が低下した分の金額を取得価格から差し引かなければなりません。これを「減価償却」と呼びます。
減価償却費は必ずかかってしまうものになります。上記で記述したように可能な限り取得費を最大化することで節税対策を行いましょう。
 

(ⅱ)譲渡費用に計上できるものを加算する

譲渡費用とは、ワンルームマンションを売却した際に直接かかった費用になります。譲渡費用を正しく把握し、計上することで節税対策になります。
 
おもな譲渡費用は以下の通りです。

 

(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料

(2)印紙税で売主が負担したもの

(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料

(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額

(5)既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。

(6)借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など

※参考 No.3255 譲渡費用となるもの|国税庁 (nta.go.jp)
 

(ⅲ)特別控除を利用する

特別控除についてはマイホームの売却を前提としているものが多く、投資用のワンルームマンション売却の際に使えるものは少ないです。
投資用ワンルームマンションに使用できるものの例として「平成21年から平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」があります。
ワンルームマンション売却時の土地の部分に対して適応できる特別控除になります。利用できる例は限られますが、もし該当する場合は利用することで節税対策になります。
 

(ⅳ)マンション売却の譲渡所得同士で損益通算する

ワンルームマンション売却により発生する譲渡所得は給与所得等の他の所得とは損益通算することができません。
しかし、同じ譲渡所得同士であれば損益通算することが可能です。例として同じ年に2戸の物件を売却し、一方は利益がでているがもう一方には損失がでてしまっている場合、損益を相殺し、税額の計算をすることができます。
 

③売買契約を電子で行い、印紙税を節約する。

2022年5月施工の改正宅建業法以降、不動産取引において電子契約が可能になりました。電子契約書は印紙税の課税対象ではないため、節税対策になります。

まとめ

今回はワンルームマンション売却における税金対策について解説しました。ワンルームマンションの売却において税金は切っても切れないものです。税金に対して正しい知識を持っていなければ大きな不利を受けてしまうケースもあります。正しい知識を持ち、売却に向けての戦略を立てていきましょう。

とはいえ、ワンルームマンション売却における税金は複雑なものも多いです。その際は税理士や不動産会社に相談していただければと思います。
 

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このコラムを書いている人

持田 透摩

持田 透摩

1999年 愛知生まれ神奈川育ち。前職は証券会社で営業に従事。2024年にFGH入社。保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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