
ワンルームマンションの査定とは?
不動産売却の査定とは、「この価格なら売却できそう」という価格を不動産価格に算出してもらうことです。
査定価格は次の4つの要素によって決定します。
✅築年数
✅立地
✅利回り
✅需給バランス
今後3ヶ月以内で売却できるとした、いくらくらいになるのかを上記の要素を加味して算出したものが査定価格です。
一方、売却価格とは、実際に不動産を売却した際の価格です。
基本的に不動産の売却価格は、査定価格をもとに売出価格を設定し、売出価格から一定の値引きがなされたものが売却価格です。
そのため、査定価格=売却価格となるとは限らず、一般的には売却価格は査定価格よりも低くなると理解しておきましょう。
相場価格と査定価格はなぜズレる?
相場価格と査定価格にはズレが生じることが一般的です。
査定価格は将来的に売りに出した場合の値下げも考慮しなければならないので、実際の売価よりも高めに設定されることがあります。
また、売主は、自分の物件の売価の相場を不動産売却サイトなどで確認することが一般的です。
しかし、不動産売却サイトなどに掲載されている売出価格は値引きを勘案した価格なので、実際の売価は、不動産情報サイトなどに掲載されている価格よりも安くなります。
そのため、売主が「適正」と考えた価格は、実際の売却相場から見ると高値となっていることがあります。
売主が適正と考える価格は、不動産情報サイトなどの売出価格なので、実際の売価よりも高値に設定されがちです。
しかし、査定額は成約事例ベースで算出されるので、売出価格から値引きされた価格で決定されるのが一般的です。
また、査定額は買主目線で「妥当」と判断される価格になるので、売主の希望額と査定価格にはズレが生じることが多くなります。
査定額はご自身が「このくらいだろう」と思っている価格と異なりますし、さらに売出価格は査定額と異なり、売出価格は成約額とは異なる点を理解しておきましょう。
ワンルーム査定でよくある誤解と失敗例
ワンルーム査定で誤解や失敗の事例として、よくあるケースは次の4つです。
✅大手だからといって高く売れるとは限らない
✅購入した会社に売却できないと言われても諦めなくて大丈夫
✅「とりあえず一番高い査定額に任せる」は危ない?
✅査定額だけで業者を決めた結果、売れ残るパターン
大手の不動産会社や、ワンルームマンションを購入した不動産会社、また査定額が高い業者と契約しておけばいいというのは大きな間違いです。
不動産の査定の場面で、失敗するケースはどのようなパターンなのか、詳しく解説していきます。
大手だからといって高く売れるとは限らない
大手の不動産会社だからと言って高く売れるとは限りません。
不動産会社によって得意な分野や地域や物件は分かれるためです。
例えば、地方都市であれば、その地域に根ざした町の不動産屋さんの方が販路を多く持っているので、高値で売却できるということも珍しくありません。
また、一軒家や古民家の売買を得意としている会社が、ワンルームマンションの売買まで得意だとは限りません。
このように、不動産会社によって得意分野は大きく異なります。
そのため、大手と地域の不動産会社の双方から同時に査定を取っておいた方が高値で売却できる可能性が高くなります。
大手ありきて売却活用をしないように注意してください。
購入した会社に売却できないと言われても諦めなくて大丈夫
不動産を購入した会社に不動産売却を相談すると「不動産を売却できない」と言われることがあります。
だからと言って売却を諦める必要は全くありません。
ワンルームマンションの販売会社は、不動産を売却されてしまうとサブリースや管理委託が外れてしまい利益を失うことになるため、できれば売却してほしくないと考えている可能性があるためです。
また、不動産を購入した会社が仲介を得意としている可能性は低いので、やはり売却時には購入した会社ではなく、仲介を得意としている会社へ相談すべきでしょう。
「とりあえず一番高い査定額に任せる」は危ない?
「最も高い査定額を出している業者と取引すればよい」という考えは非常に危険です。
不動産会社は顧客から媒介契約を締結してもらいたいと考えています。
また、売主にとっては少しでも査定額が大きい方がよいに決まっています。
そのため、不動産会社の中には、意図的に相場よりも高い査定額を提示し「ウチなら高く売却できる」と売主に思わせるように装って媒介契約の締結を求めてくる業者があります。
業者が不動産を買い取ってくれるのであれば問題ありませんが、不動産会社が行うのはあくまでも仲介です。
いくら高値の査定額が提示されても買い手が見つからなければ意味がありません。
高い査定額を提示し、媒介契約だけを締結しておき、その後の売却活動では売出価格の引き下げを提示してくる業者も存在します。
査定額が高額=よい業者というわけではない点を理解しておきましょう。
査定額だけで業者を決めた結果、売れ残るパターン
高額な査定額を提示した業者と媒介契約した結果、ワンルームマンションが売れ残ってしまうというケースもあります。
相場よりも高い価格でマンションを売り出した場合、売れ残る可能性が高くなるのが一般的です。
高値で売り出した結果、売り時を逃してしまい「最初からもう少し安値で売り出していれば、もっと高値で売却できた」ということも考えられます。
査定額だけで業者を決めると、マンションが売れ残ってしまい、結果的に売却活動が不利になってしまうことも珍しくありません。
売出価格や査定額は「相場から鑑みて適正価格」であることが最も重要です。
査定額が高値の業者と契約したくなる気持ちは分かりますが、まずはご自身で相場を調べて、相場からあまりにも逸脱していない査定価格を提示する業者と媒介契約を締結するようにしてください。
ワンルームマンション査定を高くするためにできること
ワンルームマンションの査定を高値にするためにすぐにできることとして、次の2つの方法があります。
✅賃貸中物件なら賃料アップ交渉を検討
✅空室物件ならクリーニング+簡易リフォーム
賃貸中なのか、空室なのかによって査定額を引き上げる方法は異なります。
ワンルームマンション査定を高値にするための2つの方法について詳しく解説していきます。
賃貸中物件なら賃料アップ交渉を検討
賃貸中の物件の場合、入居者に対して家賃の引き上げ交渉をおこなうことを検討しましょう。
ワンルームマンションの家賃が上がれば、利回りが高くなので、必然的に査定額は高くなります。
なお、家賃の引き上げは入居者の同意がなければおこなうことはできず、オーナーが一方的に引き上げることは不可能です。
ただし。借地借家法の第32条では、正当な理由があれば家賃の増減をおこなうことができるとされています。
借地借家法(借賃増減請求権)
第三十二条建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
借地借家法(借賃増減請求権)
第三十二条建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
引用:e-Gov法令検索|借地借家法
物価が上昇した、税負担が増加したなどの理由があれば、家賃の引き上げが可能です。
また、上記のような理由がなくても、入居者が同意すれば家賃の引き上げができます。
家賃の引き上げが交渉できるか、引き上げるための合理的な理由があるのかをよく検討し、引き上げられるのであれば、査定を受ける前に引き上げましょう。
ただし、家賃の引き上げは退去リスクも上昇することを勘案し、慎重に判断してください。
空室物件ならクリーニング+簡易リフォーム
空室物件の場合にはクリーニングや簡易的なリフォームが有効です。
部屋にはハウスクリーニングを入れて、綺麗な状態で査定を受けましょう。
また部屋の設備や内装が古い場合には、次のような簡易的なリフォームを施すことも効果的です。
✅水回り
✅壁紙や床の張り替え
✅収納や間仕切り
これらの簡易的なリフォームを施すことによって、部屋のイメージが洗練され、トレンドの内装にできるので、同築年数の物件よりも高い家賃収入が見込めて査定額が高くなります。
しかし、リフォームに内装費用をかけすぎるのは落とし穴です!
リフォームしてその分高く売れるかどうかは見込める家賃の上昇幅に左右されます。
例えばリフォームに50万円かけたとすると、利回り5%の物件では月の家賃が約2,200円以上あがらなければ赤字となってしまいます。
(※収益還元法で単純計算した場合の数値です。)
ワンルーム売却成功のための査定後アクション
査定を受けた後にワンルームマンション売却を成功させるためには次のような視点を持つことや行動をおこすことが大切になります。
✅査定結果をどう読み解くか
✅査定額を参考に、戦略的な売り出し価格を設定する
✅複数査定をどう比較・活用するか
査定結果の読み取り方や、売出価格の設定方法等について詳しく解説していきます。
査定結果をどう読み解くか
査定結果をどのように読み解くのかは、ワンルームマンション売却を成功させる上でとても重要なポイントです。
マンション売却の査定額と希望額の間には乖離があります。
そして、業者によっては、媒介契約を締結する目的で、査定額を意図的に高く見積もっているケースもあります。
このような事情を勘案した際に、不動産会社が算出した査定額をそのまま鵜呑みにするのは危険です。
まずは、実際の不動産売買の相場を理解して、査定額が相場から見て妥当なのか、高いのか安いのかと言う点を把握しましょう。
査定額を参考に、戦略的な売り出し価格を設定する
次に査定額を基準として、戦略的な売り出し価格を設定しましょう。
まずは早く売るのか、時間をかけて売るのかを考慮した上で、査定額を基準として、売出価格のレンジを決定します。
売出価格のレンジを決めるということは、上限価格と下限価格を決定し、その範囲内で売出価格を決定するということです。
さらに、市場価格や需要の状況などを勘案し、適切な売出価格を決定することで、戦略的に価格を決めることができます。
複数査定をどう比較・活用するか
複数の不動産会社から査定をとった場合、複数社の査定を比較し、売出価格を決める際に活用しましょう。
複数社の査定を得ることで、現在の景気動向や需給状況を加味した相場感を知ることができます。
実際の不動産売買のデータは確かに成約価格を知ることはできますが、タイムリーに現在の需給状況を把握しているわけではありません。
複数社から査定を得ることによって、需給状況の現状などを加味した相場感を把握できるので、現在進行形の不動産売却相場を把握するのに役立ちます。
また、査定を取ることで不動産会社と直接やり取りできる点は実は非常に重要です。
不動産という高額な資産を売却する際には不動産会社の担当者との相性や担当者の能力が非常に重要になるためです。
査定を取る手続きの中で、不動産会社の担当者との相性などを確認できるので、自分に合った不動産会社か、または担当者かどうかという点もかならず確認するようにしてください。
ワンルーム査定で失敗しないために
ワンルームマンションの査定で失敗しないためには、査定をスタートにする考えが非常に重要です。
売却を検討しているオーナーであれば、誰もが不動産の査定額を高くしたいと考えます。
しかし、査定額はあくまでも不動産会社が検討した「売却できるかもしれない」という見込みの価格なので、実際に査定額で売却できるわけではありません。
大切なことはあらかじめ自分で相場感を持ち、所有するワンルームマンションがいくらで売れるのかについて主観や希望を排除した正しい見込みを持つことです。
相場感を持つことで、複数の査定を利用した適切な売却戦略を立てられます。
自分で契約実績を把握する、複数社から査定を得るなどの方法で相場感を持ち、有利に売却活動を進めましょう。
株式会社FGHは全国のワンルームマンション売却に特化した収益不動産の仲介業者です。
過去10,000件以上の取引実績、最新の取引事例、今後の経済情勢も踏まえ、お客様の様々な状況にあったオンリーワンプラン型のコンサルティングをさせて頂きます。

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 2級ファイナンシャルプランニング技能士 / インテリアコーディネーター
株式会社FGH マーケティング部
新卒以来、不動産業界・建設業界に一貫して従事し、投資用ワンルームマンションの売買・管理・活用に関する豊富な実務経験を積む。
専門知識を活かしつつ、初心者の方にもわかりやすく情報を届けることをモットーに、コラム執筆や監修にも携る。
プライベートでは2児の母。家庭でも「お金の大切さ」を子どもと一緒に学びながら、楽しく金融教育に取り組んでいる。