不動産投資のキャッシュフロー計算法!事例と注意点を紹介します
【目次】

不動産投資の明暗を分けるキャッシュフロー
不動産投資で失敗しないためには、キャッシュフローについて理解を深める必要があります。
キャッシュフローの計算方法や仕組みが十分に理解できていないと、不動産投資で失敗するリスクが高くなります。
キャッシュフローとは、簡単にいえば「お金の流れ」です。
不動産投資に挑戦するのであれば、キャッシュフローをあらかじめシュミレーションしておくのは当然のことかもしれません。
しかし、キャッシュフローと帳簿上の利益には、どうしても差が出てしまいます。
今回は、不動産投資のキャッシュフローの計算方法と帳簿上の利益の違いについて説明していきます。
不動産投資でキャッシュフローのシミュレーションはなぜ必要?
投資物件を選ぶ際、まずよく使われるのが「表面利回り」です。これは、満室を前提にした収益性を示す指標で、候補物件を比較・絞り込むときには有効です。
しかし、最終的な判断においては表面利回りだけでは十分ではありません。
例えば、同じ7%台の表面利回りでも、購入者の資金調達条件や金利、物件の稼働率、築年数や構造による減価償却費の違いなどにより、実際のキャッシュフローや税引き後の手取り額は大きく変わってきます。
さらに、現在のように不動産市場が複雑化している状況では、将来の資産価値の見通しも一様ではありません。そのため、最適な投資判断を下すには、投資家自身の状況(個人か法人か、資金状況など)に応じて、多角的に物件を分析する必要があります。
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投資物件購入前の簡単キャッシュフロー計算法
まずは、不動産投資をはじめる前にキャッシュフローを計算する方法についてご紹介します。
不動産投資のキャッシュフローは、総収入額から運営費用とローンの年間の返済額と税金を差し引きして計算します。
不動産投資のキャッシュフロー計算式
(不動産投資で得た総収入額)−(運営費用)+(ローンの年間の返済額)+(税金)=キャッシュフロー
●総収入額
総収入額は、部屋の賃料収入以外に、コインランドリーや駐車場などの収益不動産から獲得できる付帯サービスの収入も含まれます。
●運営費用
運営費用は、不動産管理会社に支払う修繕積立金や管理費、固定資産税や集金代行手数料などのランニングコストです。
●ローンの年間の返済額
ローンの年間の返済額は、投資物件を買う時に利用したローンの返済額です。
●税金
キャッシュフローの計算式に入れる税金としては、住民税と所得税があります。
帳簿上の利益が大きくなるほど、税金の金額も大きくなります。
キャッシュフローを簡単にシュミレーション
次は、キャッシュフローのシュミレーションをしていきましょう。
- (例)Bさんの場合
- ・年間の賃料収入:400万円
- ・年間の運営費用:100万円
- ・ローンの年間の返済額:200万円
- ・年間の税金:40万円
上記を(不動産投資で得た総収入額)−(運営費用)+(ローンの年間の返済額)+(税金)=キャッシュフローの計算式に当てはめてみます。
この場合のキャッシュフローは(400万円)−(100万円)+(200万円)+(40万円)=60万円となります。
キャッシュフローを正確にシミュレーションするためのポイント
不動産投資のために購入する不動産は、一般的にある程度の長期間所有するものです。
そのため、購入した後に獲得できる賃料収入から、諸経費の税金、管理費、残債の返済などを差し引きした後にどの程度の利益が獲得できるか、世の中の市況をふまえながら試算をきちんと行う必要があります。
所有期間中に築年数が経つことよる空室率のリスク、賃料の減少などを考慮して、不動産投資シミュレーションをする必要があります。
長期間所有していると、いろいろなことが発生するため、購入する前に全てのことを予測しましょう。
ここでは、不動産投資シミュレーションをより正確にするときにおさえるべきポイントについてご紹介します。
区分マンション投資の不動産投資シミュレーションのポイント
区分マンション投資は、物件についての情報を可能な限り入手しましょう。
・購入価格
区分マンションのときも、建物と土地の割合がありますが、共有持分に土地はなるので、非常に割合が小さいため、物件を売却するときの価格は建物のみになると考えておきましょう。
・購入にかかる諸費用
物件の価格以外に、諸経費の仲介手数料、印紙代、不動産取得税、都市計画税・固定資産税の清算金などもかかります。
・賃貸、入居している期間、間取り
現在の物件の賃貸、入居している期間、間取りを確認しましょう。
特に、現在入居している人が長期間のときは、入居している期間中に部屋のクリーニングをずっと実施していないので、退去するときに大きな出費のリフォーム費が必要になるなどがあることを考えておきましょう。
また、入居している期間が長いときは、入居する人を再度募集すれば、現在の賃料相場になるので、賃料が低下するリスクがあることも十分に考えておきましょう。
・修繕積立金、管理費
区分マンションのときは、修繕はすでに管理組合が長期修繕計画を立案している場合が多いため、そのプランを確認しましょう。
修繕積立金がある程度溜まっていないと修繕費が不足して、修繕積立金が多くなることもあります。
投資用ワンルームマンションの場合は購入時の予定にはなかった値上げの議案が突発的に立ち上がることも珍しくないので、値上げはあるものとしてシミュレーションしておいた方がよいでしょう。
・周りの賃料相場の確認
最寄り駅からほとんど距離が同じ、同じ間取りの区分マンションのときは、同じような物件が多くあるので、検索して比べる物件を見つけるようにしましょう。
注意しなければいけないのは、検索してでてくるポータルサイトに掲載されている賃料は成約前のものです。
若干高めに見積もられていることを考慮して計算しましょう。
・周りの地域での売り出し物件の価格の確認
物件の価格相場を把握しておくことが、適切な出口戦略を立てる際に役立ちます。
1年前、3年前と比較し大幅に下落したりしていないか、逆に、大幅に上昇していないかは常にチェックしておくべきです。
相場感を身につけることにより、自分の中で判断基準ができます。
ポータルサイトで売り出し価格を調べる場合は、賃料と同じく若干高めに見積もられていることを考慮して計算しましょう。
一棟マンション物件の不動産投資シミュレーションのポイント
一棟マンション物件のシミュレーションは、建物だけではなく、土地の価値も関係します。
正しくシミュレーションするためには、区分マンションとは違う視点も必要です。
・購入価格
一棟マンション物件の購入価格としては、売買価格自体だけではなく、土地・建物の内訳も掴みましょう。
土地と建物の内訳があいまいだと、元値の高い一棟物件の場合価格差が大きくなってしまい、減価償却費の計算が大幅に狂う原因にもなります。
・購入にかかる諸費用
物件を購入するときは、物件自体の価格以外に、諸経費の仲介手数料、印紙代、不動産取得税、都市計画税・固定資産税の清算金などもかかります。この金額もはっきりと掴みましょう。
・土地の特徴
一棟マンション物件のときは、建物が老朽化して評価が低下しても、必ず土地の価値はあります。
また、土地の価値はいろいろな条件によって変わるため、きちんと土地についても掴んでおきましょう。
土地の形状、隣地との境界線、接道の状況、再建築のときの制限など、可能な限り情報を細かく入手するようにしましょう。
・建物の構造と広さ
建物がコンクリートであるか、木造であるかを掴むと、規模の大きな修繕費を予測することができます。
一棟マンション物件のときは、一般的に築10年程度で規模の大きな修繕が必要になるといわれているため、きちんとこの費用も考慮しましょう。
・各部屋の間取りとレントロール、入居している期間
現在の賃料、入居している期間、部屋の間取りがわかることによって、空室率と賃料低減率が予測しやすくなります。
・周りの同じような物件の賃料相場の調査
築年数がある程度経っている物件は、賃料の動きがレントロールの履歴などでわかりますが、築浅、新築の物件は履歴が多くないため、周りの地域で同じような物件の賃料相場の調査を徹底して行いましょう。
・修繕した履歴
修繕した履歴がある物件は、そのときの修繕費用を把握すると、将来的な修繕プランが立案しやすくなります。
・固定資産税評価額の確認
減価償却費を計算するときには、固定資産税評価額が必要になるため確認しておきましょう。
一棟マンション物件を購入するときの不動産投資シミュレーションも、物件についての情報をいかに入手するかがポイントになります。
築浅や新築の物件であれば問題ありませんが、古い築年数の物件は物件についての情報が少なくなる傾向があります。

実際の利益と帳簿上の利益には差がある
キャッシュフローの計算方法はそう難しくありませんが、帳簿上の利益の差を理解しておくことも大切です。
帳簿上は利益が出ていても、キャッシュフローがマイナスになるケースも存在するほか、黒字倒産になる可能性もあります。
※黒字倒産(くろじとうさん)=損益計算書上では黒字の状態であるにもかかわらず、資金繰りの関係で倒産してしまうこと
帳簿上の利益を計算する際、経費として現金支出がなくても計上する場合やその逆のパターンがあるため、キャッシュフローと帳簿上の利益が違ってきてしまうのです。
キャッシュフローの金額と帳簿上の利益が違う要因としては、減価償却費とローンの支払利息があります。
減価償却費は現金を支出しない経費
不動産投資における減価償却費は、投資用物件を購入した年にすべてを費用として計上せず、利用できるそれぞれの年にわけて費用として計上することをいいます。
その結果、利益について課せられる税金の金額が少なくなるので、キャッシュフローにとってはプラスの要因になります。
なお、減価償却は不動産の土地はできません。あくまで投資用物件を購入した場合のみ有効です。
ローンの支払利息分は経費として計上できる
毎月のローン返済額は、支払利息分と元金返済分にわけられます。
この中で、支払利息分だけは経費として計上できます。
支払利息分も元金返済分も現金を実際に支出しますが、経費として元金返済分は計上することができません。
そのため、キャッシュフローにとってはマイナス要因になる可能性が高いのです。
キャッシュフローの悪化はどのようなときにおきる?
キャッシュフローは、帳簿上の利益に減価償却費をプラスして、ローンの元金返済額を差し引きしたものです。
※帳簿上の利益=総収入額から運営費用と減価償却費とローンの支払利息と住民税・所得税を差し引きしたもの
ほとんどの場合、一定年数が経つと減価償却費の額が少なくなるため、税金の負担が重くなってキャッシュフローは悪化します。
このように、減価償却費をローンの元金返済額が上回った場合、いわゆる「デッドクロス」状態となります。
※デッドクロス=危険領域に不動産経営が入ること
「デッドクロス」は売りどきのサイン?
デットクロスは、物件価値が下落傾向になるかもしれない、いわゆる「売りサイン」のひとつとして考えられます。
キャッシュフローが悪化してデットクロスになった場合でも、絶対に利益が下がるとは言い切れませんが、見直しが必要であることは確かです。
このように、キャッシュフローは投資物件を購入する前のシュミレーションとしてだけでなく、利益を計算する指標のひとつになります。
「不動産投資におけるキャッシュフローについてもっと詳しく知りたい」「購入前にシュミレーションしてみたい」と思った方は、ぜひFGHにご相談ください。
\ FGHにおまかせ /

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者
最新の不動産投資情報や株式、投資信託、為替など幅広い投資コンテンツを掲載。 オーナー様自身で最適な不動産の購入・売却・運用の判断材料になる情報をタイムリーに提供いたします。
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