賃貸管理とインボイス制度
2023年10月からインボイス制度が始まることになり、テレビ・ラジオ・ユーチューブなどあらゆる場面で広告を見聞きすることが増えました。インボイス制度に必要な適格請求書発行事業者登録も増加しているという話題も上がっています。今回は、そんなインボイス制度と賃貸管理の関係についてまとめてみました。
インボイス制度とは
いまさらではありますが、まずはインボイス制度がどのような制度なのかを改めて確認しましょう。
従来の取引では、売った時に受け取った消費税と買った時に支払った消費税の差額を納付するにあたり、厳しい条件はありませんでした。
相手が免税事業者であっても、支払った消費税はちゃんと支払消費税として認められていましたが「今後そうはいきませんよ」というのがこのインボイス制度です。
今後も同じような会計処理をするためには、発行側は適格請求書発行事業者登録を事前におこない、定められたルールに基づいた適格請求書を相手方に発行しなければなりません。また受領側も相手が適格請求書発行事業者かどうかを確認し、その帳票に基づき帳簿をつけなければ、今までのように“差額のみ納付する”という行為が認められない可能性があります。
一例をあげると、税別10万円の商品を買い(仕入)、税別12万円で売った場合、10万円の消費税1万円と12万円の消費税1万2千円の差額2千円を納付すればよかったところが、ルールを満たさないと買った時の支払消費税が認められず、1万2千円を納付しなければならなくなるかもしれないということです。言い方を変えれば認められない場合、二重で支出するはめになるかもしれないのです。
キーワードは「消費税」
インボイス制度は、消費税がかからない商品・売買には原則影響がありません。
ここで、賃貸管理に置き換えて考えてみましょう。賃貸契約するうえで入居者が負担する必要な初期費用は一般的に礼金・敷金・前家賃あとは家財保険料などの付随費用です。すでにピンときている方も多いとは思いますが、住居用として賃貸した場合、礼金・敷金・前家賃のいずれも消費税はかかりません。そのため、これだけをフォーカスすると気にしなくてよいように見えます。実際、弊社の法人オーナーの中にも、上記の理由から適格請求書発行事業者登録の必要がないという返答をされたところがありました。
しかし、一般的に契約の2年後には更新があり更新手数料を受領する契約になっている場合、消費税が発生する場合があります。また所有物件が事務所使用可の物件だった場合、事務所として使用した場合、家賃に消費税が加わります。その時に登録を済ませていないと消費税に関してトラブルを招く可能性があるため、こういったトラブルを防ぐためにも早めの対策をすることをおすすめします。
このコラムを書いている人
相馬將志
千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級
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