マスターリースとサブリース
みなさんの中には、『マスターリース』と『サブリース』の違いについてあまりよく分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
不動産業者との会話でもわざわざ使い分けて話されることは少ないので、しかたがないことかもしれません。
そこで、今回はマスターリースとサブリースの違いについて解説していきます。
契約から見た違い
マスターリースは、物件所有者と不動産業者の間で交わされる賃貸借契約です。
不動産業者が借主の立場となり、物件所有者に賃料を支払います。
サブリースはこの不動産業者が今度は貸主となり、個人消費者・法人・同業者にさらに貸します。
賃貸借契約と区別するため、これを転貸借契約と言います。
契約書ではマスターリースもサブリースも「賃貸借契約書」という文言で作成するため、この点も区別しにくい原因かもしれません。
立場から見た違い
マスターリースにおいて、不動産業者は「借主」となります。
そして日本の法律では借主の立場が強いように作られています。
例えば、借主の解約申し出については厳しいルールが設けられていません。
契約書に記載された期間に従って解約の申し入れを所有者におこなえば解約が可能です。
そのため、不動産業者は借りた物件の価値が下がると家賃減額を所有者に申し出て、断られれば解約するという行為をおこなう場合があります。
これはよく聞く「家賃保証」を実現する理由のひとつであり、あくまで家賃保証は物件にそれだけの価値がある場合にだけ可能となります。
一方、サブリースでは不動産業者は「貸主」になります。
貸主から解約する場合は、6か月前の申し出と正当な事由が必要になります。
よく知らない人からすると「不動産業者も厳しい立場なのね。」と思うかもしれませんが、不動産業者は又貸しにより賃料を得ることを目的としているため、入居者がいる限り、解約する理由は基本的に存在しないのです。
入居者が滞納者だと少し困りますが、契約時に保証会社の加入を促している業者は多く、未然にリスクを抑えています。
まとめ
不動産業者は、マスターリースの借主の立場とサブリースの貸主の立場をうまく活用しています。
こんな風に言うとあまりいい捉え方をされないかもしれませんが、卑怯なことをしているわけではありません。
2021年6月の法改正により、マスターリースにおいて不動産業者は契約前に賃料ならびに将来的な減額の可能性を含めた説明等を、所有者に重要事項説明としておこなう義務があります。
つまり、あらかじめリスクについて共有して双方納得の上で契約されるため、今後マスターリース契約の際は、不動産業者の説明の様子や書面の中身についてよく熟読した上でお考えください。
このコラムを書いている人
相馬將志
千葉県出身 お風呂での鼻歌がいつの間にか熱唱にギアチェンします。 保有資格:宅地建物取引士/管理業務主任者/賃貸不動産経営管理士/マンション管理士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/簿記2級
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