賃貸経営のコスト削減で収益アップ!固定費と変動費をコントロール

公開日2020/06/12
更新日2022/12/23

賃貸経営において削減すべきコスト

リスクコントロール
賃貸経営を行う誰しもが、収益を最大化させたいと考えています。
 
収益を最大化させるための方法として、空室率の改善や家賃の値上げ、リフォームなどを行う大家は多いですが、コスト削減に力を入れている大家は少ないでしょう。
 
「コストは経費として計上できるから削減しなくても…」と考える人もいますが、家賃収入と比較して経費がかかりすぎていると、赤字になってしまいます。
 
つまり、コスト管理は賃貸経営の収益に直結しているのです。
 
しかし、コストを削減することに力を入れすぎて管理が疎かになってしまえば、退去者が出て空室率が高くなってしまい、身も蓋もありません。
 
そのため、コストは収支バランスを見た上で、削減する必要があるのです。
 
コストを削減することは大切ですが、削減する経費を間違うと逆に損をしてしまう可能性も。
 
そこで今回は、成功する賃貸運用のため、各コストについて削減のポイントをご紹介します。

賃貸経営における固定費と変動費

不動産投資イメージ
まず、賃貸経営におけるコストは、大きく分けて固定費と変動費の2種類に分類できます。
 
固定費=清掃費など毎月もしくは毎年かかる建物管理費用
 
変動費=設備修繕費や建物修繕費など必要に応じてかかる費用
 

賃貸経営における固定費

管理委託費

賃貸経営を行う上で、70%以上の大家が物件の管理を不動産管理会社に任せています。
 
管理委託費は、不動産管理会社に委託の報酬を毎月支払う費用のことです。
 
管理委託費は不動産会社により設定額が異なり、賃料の3〜8%が委託費の平均だと言われています。
 
相場より高い場合や少しでも固定費を抑えたい場合は、管理会社の変更を検討してみましょう。
 
ただし、管理費だけで業者を選ぶのはNG。
 
管理費が安いとその分、代行してもらえる業務の幅が狭くなる可能性もあります。
 
また、別途出張費などの名目で、毎月の管理費+αの支払いが必要なことも。
 
そのため、管理内容の確認と価格が、見合っているかどうか確認しましょう。
 

自主管理で管理委託費を0円に

管理委託費は自主管理を行うと、支払う必要がなくなります。
 
全て自分で管理を行うことになりますが、戸建て数棟の管理やアパート1棟程度の管理であれば、自主管理も不可能ではありません。
 
しかし、自主管理を行う上で多くの大家を悩ませるのが、クレーム対応と家賃滞納者への家賃徴収です。
 
そのため、自分で管理を行うことが難しい部分だけ、管理を依頼している大家も存在します。
 
全委託よりも一部委託の方が管理費は抑えられるので、うまくいけばコスト削減に繋がるでしょう。
 

ローン返済費

不動産を購入する際にローンを組んだ場合、毎月のローン返済費も固定費にあたります。
毎月のローン返済の負担が大きいと、家賃収入も減ってしまいます。
 
ローンの返済は利回りにも影響してくれるので、ローンはできるだけ低金利で早く返すべきでしょう。
 
そこでおすすめなのが、ローンの借り換えを行うことです。
 
ローンを組む際、不動産から金融機関の斡旋を受けた大家も多いはず。
 
その場合、借り換えを行うことで利率が下がり、毎月の返済額を減らすことができるかもしれません。
 
借り換えは、多くの金融機関で相談を受け付けています。
 
どれだけ利率が下がるかは、借入額や利用した金融機関などによって異なってくるので、まずは相談してみましょう。
 
金銭的に余裕のある場合は繰上げ返済をしてもいいでしょう。
 
繰上げ返済を行うと毎月のローン返済額を減額でき、返済期間も短くなります。
 
早くローンを完済することができれば、次の物件の購入に繋げることもでき資産拡大も早くなります。
 

修繕積立費

マンションの区分所有では毎月管理組合に、管理費等の支払いを行わなければいけません。
 
区分マンション投資の場合、管理組合に支払う管理費の中に修繕費も含まれていることがほとんどです。
 
外観や他のマンション住民との共有スペースに関しては、この管理費の中から修繕費を支出してくれます。
 
しかし、自身が所有するマンションの部屋の修繕費は、自分で支払う必要があります。
 
マンション・アパートの1棟所有では、各部屋の修繕費と外観・内観の修繕費は、全て大家の自己負担です。
 
時には大規模な補修も必要になってくるため、将来的な大規模修繕に備え、毎月の家賃収入の中から少しずつ修繕費を貯めておく必要があります。
 
修繕費の積み立てを行っておかなければ、大規模修繕費が支払えないという事態になりかねません。
 
大規模修繕費の目安は、1戸あたり100万円
 
つまり8戸のアパートでは800万円、40戸8階建ての場合4,000万円になります。
 
高額な費用を支払うことになるので、毎月の積立がとても大切です。
 
大規模修繕は10〜15年に1度、入居者募集のためや安全性の兼ね合いなどから、どうしても行わなければいけません。
 
しかし、この大規模修繕費も、工夫次第で抑えられます。
 
複数のリフォーム業者に修繕の見積もりを取ると、さまざまな金額を提示されるでしょう。
 
中には、やる必要のない修繕が含まれているかもしれません。
 
そのため、大規模修繕を行う前に複数の不動産会社で見積もりを比較し、抑えられる費用は抑えて修繕を依頼しましょう。
 

税金

毎年支払う税金も、固定費の1つ。
 
賃貸物件には、基本的に固定資産税がかかります。
 
固定資産税は評価額によって異なりますが、区分マンションの固定資産税の相場は7〜8万円
 
所得の大きさにより、所得税・住民税もかかります。
 
所得税は累進課税のため、収入が多ければ多いほど、より高い割合の税金を支払う必要があるのです。
 
賃貸経営が副業で他に本業を持っている場合は、本業の給料に不動産所得が合算され、税金を支払うこと必要があります。
 
しかし、これらの税金は賃貸運用にかかるコストを経費として計上することで、税額を極力抑える事ができます。
 
収入よりコストが上回り赤字になっている場合も申告可能で、経費は所得税・住民税・ローンの元金以外、ほとんど計上できます。
 

変動費

変動費は不規則的に発生するコストのため、見通しを立てることが難しいもの。
 
変動費は計画的に積み立てを行い、支払うようにしましょう。
 

媒介費

媒介費は、入居者募集を依頼した不動産会社が入居者を見つけてくれた場合、賃料の1ヶ月分を目安に支払います。
 
逆にいうと媒介費は入居者を見つけてもらった時に支払う費用のため、もし自分で入居者を見つけた場合、支払う必要はありません。
 
大家の中には入居者に知り合いを紹介してくれたら、紹介者と新規入居者のそれぞれに商品券1万円を渡すなどし、自身の物件をPRしている人もいます。
 
チラシを作り近隣にポスティングしたり、HPを作成して積極的に入居者を募集してもいいでしょう。
 

設備修繕費・内装工事費

設備修繕費は、設備が故障した際にかかる費用。
 
内装工事費は、入居者が退去した際のリフォームやルームクリーニング代としてかかる費用です。
 
設備修繕費も内装工事費も、複数の業者に見積もりを出してもらい、比較・検討することで費用を最低限にとどめられます。
 

点検費

賃貸経営を行う上で、物件の法定検査は必須です。
 
アパートやマンションの1棟経営では、年2回の消防設備点検が義務化されています。
 
これは自分ではできないため、専門業者に点検を依頼するしかありません。
 
点検費は業者によって費用の差が大きく、仮に1戸につき1万円の点検費だった場合、8戸では8万円必要、年2回行うと、年間16万円の支出になります。
 
しかし、1戸につき5,000円の点検費の業者を見つけることができれば、年間で8万円の費用削減に繋がります。
 
管理会社を通して点検業者を手配する場合や、自分で見つける場合は、なるべく安い業者を探すようにしましょう。

コスト削減時の注意点

不動産投資イメージ
できるだけ削減したいコストですが、絶対にやってはいけない削減法もあります。
 
間違いがないよう、注意点として覚えておきましょう。
 

嘘の経費を計上しない

せっかく稼いだ家賃収入から引かれる税金を、わずらわしく思う人も多いことでしょう。
 
賃貸経営による年収が1,800万円を超えると、40%も税金として引かれてしまいます。
 
努力して1,800万円も手にしたのに、半分近くが税金として徴収されてしまうのです。
 
そんな時、年収が高くならないよう、できるだけ経費で落とそうと思うのはもはや当たり前のこと。
 
しかし、嘘の経費を計上するのは絶対にNG!
 
脱税と判断されると、重いペナルティを背負うことになります。
 
最悪の場合、物件を手放さなければいけなくなる可能性もあるので注意しましょう。
 

修繕費をローンの返済に回さない

ローンはできるだけ早く完済した方が、収益が向上します。
 
しかし、「ローンを早く返したいから」といって積立分を返済に回してしまえば、修繕が必要になった場合に修繕費が足りなくなってしまったりと、後々トラブルに繋がるかもしれません。
 

物件の管理をほぼしない

管理費を浮かせるために自主管理に変更したものの、管理が面倒で家賃の徴収以外はほぼしないということもあります。
 
ある程度の期間は清掃を全くしていなくても、綺麗さは保たれますし、すぐに人が住めなくなるほど汚れるということもありません。
 
しかし時間が経つにつれ、だんだんと汚くなり入居者からクレームが入ることも。
 
入居者が不信感を抱くようになれば退去に繋がりますし、管理が行き届いてないままでは次の入居者も確保しづらくなります。
 
コスト自体は削減できたかもしれませんが、収入が減ってしまえば本末転倒。
 
コスト削減を考えるには、物件の価値を維持しつつ、費用は減らすという考えを持つことが一番です。

賃貸経営のコスト削減方法まとめ

不動産査定
賃貸経営には、固定費・変動費共に多くのコストがかかっていることを、ご理解いただけましたか?
 
しかし、コストは減らせばいいというものではありません。
 
コストを削減したことにより、管理の質が下がってしまえば入居者に迷惑がかかってしまったり、退去に繋がることもあります。
 
コスト対策を行いながら、入居者のニーズにも応えていく必要があります。
 
そのため必要経費は惜しまず、不要な経費は削減し、収益の最大化を図っていきましょう。

このコラムを書いている人

マンション経営ラボ 編集者

マンション経営ラボ 編集者

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