定期建物賃貸者契約なのか普通建物賃貸借契約なのか

公開日2021/08/09
更新日2021/08/14

賃貸借契約には、「定期建物賃貸者契約」と「普通建物賃貸借契約」の二種類の契約形態がありますが、投資用マンションにおいてどちらの契約の方が良いのか、皆さんお考えになったことはございませんか?

 

ふた昔前には「賃貸は人に貸したら戻ってこない」と言われるくらい借地借家法にて借家人の居住権が強く、余程のことでないと貸主に物件が戻ってきませんでした。

 

その結果、

「修繕建替えが自由に出来ない…」

「立退料を支払わなければならない…」

「継続家賃は低いまま…」

「値上げは期待できない…」

と、貸主にダメージが大きいことばかりです。

 

 

定期借家契約が施行されたのは20年も前の話し

1995年12月に行政改革委員会規制緩和小委員会にて、「借地借家法による正当事由の必要性が良好な借地・借家の供給促進の制約要因になっている」との提言に起因し、新たな制度の立法化の機運が高まり、1999年12月に良好な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法が成立し、2000年3月1日施行により定期借家契約が生まれました。

 

導入の背景には、上記デメリットにより貸主は回転率の低いファミリー向け物件の供給を抑制し、回転率の高いワンルーム物件に資金を集中させることや、中長期運用で予想外の支出(立退料等)が発生するなら初期費用や家賃設定を高くしようとすることで、専有面積の大きいファミリー向け物件の供給不足が起きるということもあったようです。

 

 

なかなか浸透しない定期借家契約

一見、貸主にとってはメリットばかりに思える定期建物賃貸借契約は、施行から随分経ちましたが浸透具合はどうでしょう?

 

賃貸戸建ては約25%、賃貸マンションは約3%程度です。

 

「転勤中の貸出しや、相続したけど老朽化により建替えを検討中」等の理由が想像できる賃貸戸建ての浸透率に比べ、賃貸マンションの浸透率の低さは何なのでしょう?

 

○ 普通建物賃貸借契約に比べ定期建物賃貸者契約の賃料設定が低い。(借主にはメリット)

○ 80%以上の貸主が業務委託していると言われる管理会社が業務の煩雑さを嫌う。

○ 賃貸仲介業者が説明の煩雑さを嫌い借受予定者にそもそも紹介しない。

 

とはいえ、ファンド化されている新築や築浅マンションは、ほとんど定期建物賃貸借契約になっています。

 

賃料の値下げリスクを排除でき、事業計画が立てやすいのでしょう。

 

都心の賃貸マンションの内訳を見れば、単身用ワンルームマンションは更に低いですが、60㎡~80㎡未満のファミリー向けマンションの特に「新宿区」「港区」は約24%、80㎡以上では約64%という研究結果があるほど、都心二区は異常に高くなっています。

 

このことから、当初の目論見どおり、ファミリー向け物件の供給不足は一定の解消が見込まれていると言えそうです。

 

最後に、個人的な意見としては、単身用ワンルームはまだまだ「普通建物賃貸借契約」で、都心のファミリー向けマンションは「定期建物賃貸借契約」が良いのかなと思います。

このコラムを書いている人

北岡 貴夫

北岡 貴夫

1975年 高知県生まれ 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士 2012年株式会社FGH入社。不動産業界19年、売買賃貸数千件の業務を取り扱ってきた。常に公正かつ客観的な立場から誠実な取引を心掛けている。

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