投資マンション売りたいのはどんなとき?高く早く売却するポイントを解説

公開日2025/05/27
更新日2025/05/27

投資マンション売りたいのはどんなとき?高く早く売却するポイントを解説
「賃料が下がってきた」「空室が増えている」「管理が面倒」「不動産価格が高騰している」というきっかけから、売却を意識し始めるオーナー様が多くいらっしゃいます。
ここでは、「売りたい」と思ったときに知っておくべき情報を詳しく解説していきます。

投資マンションを「売りたい」と思うきっかけとは?

投資マンションを「売りたい」と不動産オーナーが考えるきっかけとしてよくあるのは次の2点です。
 
✅売却を検討するオーナーの状況変化
✅不動産価格の高騰
 
オーナー側の事情で売却するケースと、不動産価格が高騰したことによって売却をするケースがあります。
それぞれ、具体的にどのような状況なのか、詳しく解説していきます。
 

売却を検討するオーナーの主な背景

オーナー側の状況変化によって不動産を売却する背景には具体的に次のようなものがあります。

状況の変化 売却する具体的な理由
利回りの低下 家賃が下がって利回りが低下し、収益性が悪くなった
ローン返済と収支の逆転 家賃収入が下がりローン返済額を下回ってしまった
相続 親が所有する不動産を相続した相続人が売却するケース
ライフプランの変化 結婚・マイホームの購入・収入減などで投資用不動産を持ち続けるのが難しくなった
将来の不安 物件の老朽化によって修繕費の増加や入居者の確保などに不安を感じた

物件の家賃が低下するなど、物件そのものが抱える問題を理由として売却を検討するケースや、相続や転居などの事情によって売却を検討するケースもあります。
 
また、不動産は築年数が経過すると、家賃収入が下がり修繕費などのコストが増大するため、老朽化する前に売り抜けてしまおうと考えるケースも珍しくありません。
 

不動産価格高騰で増えている売却パターンは?

不動産価格が高騰していることを原因として売却を検討するオーナーも多数存在します。
 
実際に、国土交通省の「不動産価格指数」という資料によると、2025年1月時点のマンション(区分所有)の価格指数は210.7です。この指数は2010年の平均を100としているため、2010年当時よりもマンションの価格は2.1倍に上昇していることがわかります。
不動産価格指数

※本グラフは、国土交通省|不動産価格指数より株式会社FGHが作成したものです。

単純にこの指数に当てはめると2010年当時にマンションを購入した人は、今売却すれば倍の値段で売却できる可能性が高いということですので、まさにマンションは今が売り時だといえるでしょう。
 
このような価格高騰時にさらにお得に売却するには、次のようなタイミングでの売却がおすすめです。
 
✅大規模修繕実施後か、修繕の議案が出る前のタイミング
✅所有期間が5年超になったタイミング
✅減価償却が終了するタイミング
 

大規模修繕実施後

大規模修繕を実施した直後ということは、今後10年程度は大規模な修繕の予定はないと考えられます。
そのため、修繕積立金不足で一時金のような費用を取られることはしばらくないと投資家からも判断されます。
 
また、次回の大規模修繕時に積立金不足が予想される場合は、修繕2-3年ほど前に一時金の徴収や修繕金の値上げが決定される可能性があります。
一時金は大きな負担となりますし、修繕金の値上げは売却額下落に直結するため、そのような議案が出る前の売却がおすすめです。
 

所有期間が5年超になったタイミング

不動産は所有期間によって譲渡所得税の税率等が変化します。
所有期間が5年超になると短期期譲渡所得となるので、所得税・住民税が大きく下がります。
 
不動産価格高騰時には譲渡所得が発生する可能性が高いので、所有期間が5年超になるまでは不動産を保有した方がよいでしょう。
 

減価償却が終了するタイミング

ワンルームマンションでは、土地を除いた建物部分の価値を毎年少しずつ経費として計上し、所得税や住民税を圧縮することができます。
何年間節税できるかは建物の法定耐用年数の残存期間によりますが、節税できる期間を過ぎたら税金対策としてはあまり効果がないものとなってしまいます。
たとえば年収1,000万円の人なら、年間50万円の減価償却で約17万円分の節税効果が期待できるため、このタイミングで物件の入れ替えを検討される方もいらっしゃいます。

tetori_shortcord

投資マンションの「売り時」はいつ?今が注目される理由

投資用のマンションの売り時は「今」と言われています。
なぜ、今が売り時だと注目されるのか、金利や物価、需要の影響などについて詳しく解説していきます。
 

2025年現在の市況

投資用のマンションの市況は次の3つの事情が影響すると言われています。
 
✅金利
✅物価
✅インバウンド需要
 
現在の不動産市場において、売却のタイミングを見極めるうえで「金利」と「物価動向」は重要な要素です。
 
まず、金利が低い時期は買い手にとって住宅ローンを組みやすく、融資を受けやすい環境にあります。
金融機関からの融資が活発になることで、物件を購入できる投資家の数が増え、結果として売却先を見つけやすくなる傾向があります。
 
一方で、金利が上昇するとローンの負担が重くなり、購入を見送る層が増えるため、売却が難しくなる可能性もあります。
住宅金融支援機構の賃貸住宅融資金利によると2025年5月の繰上返済制限制度有の35年固定ローンの金利は1.95%です。
フラット35・国債金利推移

※本グラフは、住宅金融支援機構 賃貸住宅融資金利より株式会社FGHが作成したものです。

また、インフレ局面では物価と連動して不動産価格も上昇しやすくなります。
特に、デフレ期に購入した物件であれば、インフレによって売却価格が購入価格を上回る可能性もあり、利益を得られるチャンスです。
 
また近年では、円安の進行や日本の不動産市場の安定性を背景に、外国人投資家による日本のワンルームマンション購入が増加しています。
これにより、売却先の幅が広がり、より高値での売却が期待できるケースもあります。
それぞれの状況を確認していきます。
 

売却のタイミングを見極める3つのチェックポイント

投資用不動産の売却のタイミングは金利やインバウンドなどの外部要因だけではありません。
 
次のような不動産そのものの内部的な要因によっても売り時は決められます。
 
✅築年数
✅家賃相場の変化
✅管理状況・修繕履歴
 
マンションは築年数が10年~20年の物件が最も売却しやすいと言われています。
築25年を超えると売却価格の下落幅が大きくなるためです。
また、家賃相場が下がると利回りが下がるので有利には売却できなくなります。
周辺の家賃相場を見極め、「下がってくるかも」と考えられるタイミングで売却を検討しましょう。
 
また、管理状況とは、マンションの共用部、付属設備等の維持管理状態、修繕計画の綿密性などを指します。
当然ですが、管理状況が良い物件の方が売却しやすくなりますし、管理組合が機能しているかどうかも重要です。
また、大規模修繕が終了した後の方が売却しやすくなります。
特に大規模修繕終了直後は売却に適したタイミングの1つなので、大規模修繕終了後は売却活動をスタートする1つの目安とするとよいでしょう。

高く・早く売るためのコツ

投資用マンションを少しでも高く、早く売却したいのであれば、次のポイントを抑えて売却活動をおこないましょう。
 
✅査定は1社だけで決めない
✅ターゲットを意識した販売戦略を練る
✅書類や管理情報を整理しておく
 
複数社から査定を取って、ターゲットに適した販売方法を検討することが重要です。
また、売却の際に必要になる資料や情報はあらかじめ準備しておきましょう。
投資用マンションを高く早く売却するための3つのポイントについて詳しく解説していきます。
 

査定は1社だけで決めない

査定は1社だけで決めるのではなく、複数社から取得するようにしましょう。
査定結果は業者によって異なり、高く見積もる業者もあれば低く見積もる業者も存在します。
そして、高ければいいというわけでもなく、相場程度の価格の業者がベストです。
相場感を把握するためにも、複数社から査定を取り、実際の売買相場に近い価格を提示する業者を選択すべきでしょう。
また、査定の中で不動産会社の担当者とコミュニケーションをとり、相性のよい担当者がいる不動産会社はどこなのかを把握することも重要です。
 
なお、インターネット上には1回不動産の情報を入力すると、複数社から査定が届く一括査定という方法があります。一括査定を利用すれば簡単に複数社から査定を得られるので便利です。
一方、専門の不動産業者に依頼すると詳細に物件の状態を確認した上で査定をおこなってくれるので、一括査定よりも実態に近い査定を得られます。
時間があるので、複数の専門業者から査定をとった方がよいでしょう。
 

ターゲットを意識した販売戦略が重要

「誰に販売したいのか」というターゲットを意識した販売戦略を立てましょう。
 
実際に居住する人向け(実需向け)に販売するのであれば、スーパーや学校までに徒歩何分などと、生活者目線で強みをアピールしていく必要があります。
 
一方、投資家向けの戦略であれば、利回りや資産価値を高めた状態で売却することが重要です。空き部屋を無くす、家賃の引き上げをおこなうなどして、利回りの高さをアピールしましょう。
 

書類や管理情報を整理しておく

不動産を売却する際に必要になる書類や管理情報をあらかじめ整理しておきましょう。
 
売却に必要な資料には次のようなものがあります。
 
✅レントロール
✅契約書
✅重要事項説明書など
 
このほか、購入時のパンフレットなど、できる限り多くの資料を用意しておいた方がよいでしょう。
 
スピーディーに売却活用を進めるためにも、あらかじめ不動産売却に必要な書類や資料や情報等を整理しておきましょう。

失敗しないための注意点と落とし穴

投資用マンション売却に失敗しないために、次のような注意点を理解しておきましょう。
 
✅売却益と税金(譲渡所得税・住民税)
✅ローンが残っている場合の対応
✅仲介手数料・修繕積立金・管理費清算の注意点
✅サブリース契約がついている場合の注意点
 
売却時の注意点をよくあるトラブルの事例とともに解説していきます。
 

売却益と税金(譲渡所得税・住民税)

マンションを売却して利益が出ると、その利益に対して、譲渡所得税や税金がかかります。
この税金は所有期間が5年以内か5年超過によって次のように税金が異なります。

所得税 住民税 復興特別
所得税
合計
短期
譲渡所得
30.0% 9.0% 0.63% 39.63%
長期
譲渡所得
15.0% 5.0% 0.315% 20.315%

税率が低い長期譲渡所得となるよう、所有期間が5年を経過してから売却した方がよいでしょう。
 

ローンが残っている場合の対応

ローンが残っている場合には、当該ローンを完済しない限り抵当権が解除されないので、マンションの売却ができません。
売価>ローン残高の状態をオーバーローンと言います。
オーバーローンになってしまった場合には、次のいずれかで不足分を返済したうえで売却を進める必要があります。
 
✅自己資金が返済する
✅別途ローンを組んで返済する
✅買い替えローンなどを利用する
 
自己資金がある方は自己資金で返済してしまえば問題ありません。
しかし自己資金がない方は、別途ローンを組んで不足分を返済するか、別の物件を購入する方は買い替えローンを利用する方法もあります。
買い替えローンとは、新たに購入する物件に必要な金額+売却する物件のローンの残債を併せて借り入れる方法です。
 
いずれの方法でもローンを返済できますが、大切なことは、オーバーローンの場合は残債分をどのように返済するかを検討しなければならないという点です。
 
売却活動を進める際に、ローン残債についても頭に入れた上で手続きを進めましょう。

仲介手数料・修繕積立金・管理費清算の注意点

仲介手数料は売却額によって以下のように上限が決まっています。
不動産売買価格(税抜) 仲介手数料の上限の計算式
400万円超 不動産売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税
200万円~400万円以下 不動産売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税
200万円以下 不動産売買価格(税抜)×5%+消費税

不動産売買価格(税抜) 仲介手数料の上限の計算式
400万円超 不動産売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税
200万円~400万円以下 不動産売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税
200万円以下 不動産売買価格(税抜)×5%+消費税

また、修繕積立金について、払いすぎた分は買主から返金されます。
例えば、前払いで1年分の修繕積立金を支払い、5ヶ月経過後に売却した場合、残りの7ヶ月分は買主から返金されます。固定資産税についても同様です。
管理費についても前納分については返金されることが多いので、これらの点を買主と詳細に取り決めた上で売却活動を進めましょう。
 

サブリース契約がついている場合の注意点

サブリース契約とは、マンションを業者に貸し付けて、業者が借主に転貸することです。
サブリース契約を締結することで、入居者がいなくても大家は安定した家賃収入を得られるメリットがあります。
しかし、サブリース契約には解約禁止期間があるので、急な売却によって違約金が発生するリスクがあります。
サブリース契約がついている不動産を売却する場合には、事前に業者に「オーナーチェンジは認められるのか」「中途解約の違約金は発生するのか」「契約が切れるのはいつか」などということをあらかじめ確認しておきましょう。
 
サブリース契約がついた物件の売却については以下の記事をご覧ください。
 

こちらもおすすめ

 

よくあるトラブル事例

マンション売却でよくあるトラブルは次のようなものです。

よくあるトラブル 詳しい内容
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任) 売却後に説明をしていない、建物の不備や設備の故障が見つかった
申告漏れ 売却で所得が出たor赤字が出たのに確定申告をおこなわなかった
不動産会社による囲い込み 買い手からも売り手からも仲介手数料を取るために、自社の顧客以外には情報を出さない
管理規約や重要事項調査報告書の説明不足 買い手に管理規約や重要事項調査報告書についての説明を怠ったため売却後にトラブルになった

契約不適合責任や囲い込みや手数料のトラブルなどは、しっかりとした不動産会社と契約することで防ぐことが可能です。
複数社から査定を取って安全な業者と媒介契約を締結しましょう。

売却で後悔しないために専門業者を活用しよう

投資用不動産売却で後悔しないためには、投資用不動産に関する知識や経験が豊富な専門業者に依頼することが大切です。
売却時に起きるトラブルの多くは、業者の知識不足や経験の少なさが原因で起こっています。
 
不動産会社には「得意分野」があり、居住用の不動産を得意とする業者、投資用不動産の売買を得意とする業者、ワンルームマンションに特化した業者などが存在します。
 
ご自身がどの物件を誰にどんな用途で売りたいのかを明確にし、その物件を得意分野としている不動産会社へ査定を依頼するようにしてください。

山丸 慎太郎
コラム監修 山丸 慎太郎
資格

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー

プロフィール

代表取締役社長

代表取締役社長

2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。

中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。

   

これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。

このコラムを書いている人

Sayuri Takahashi

Sayuri Takahashi

マーケティング部 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャルプランニング技能士/インテリアコーディネーター

関連する記事