ワンルームマンションの需要はどうなる?市場動向から将来性まで徹底解説

ワンルームマンションの需要は、少子高齢化や単身世帯の増加などで今後どう変化していくでしょうか。
立地条件や築年数によって需要が大きく変化するため、不動産投資家は市場動向を把握し、将来性を見極めることが重要です。
本記事では、ワンルームマンション需要の現状から需要を左右する要因、供給に関する事情、地域特性を踏まえたエリア選びのポイント、さらにはリスクや新築・中古物件の特徴まで幅広く解説します。今後のワンルームマンション市場を理解するための知識を整理し、投資や住まい選びの参考にしてみてください。
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ワンルームマンション需要と供給の現状
現在のワンルームマンション市場の基本的な需要動向を押さえることで、投資や居住の選択に役立つ視点が得られます。
ワンルームマンションは、単身者を中心に需要が高く、都市部をはじめ全国で一定のニーズが存在します。一方で、老朽化が進んだ物件や交通アクセスが悪いエリアの物件は入居者の確保が難しくなるため、物件選定では立地や建物の管理状況を慎重に見極めることが必要です。
近年は地価の高騰や建築資材の高騰の影響もあり、都心部の供給量や建築数が抑えられる一方で、企業や大学が集中する都市への人口流入は続いています。そのため需要と供給のバランスが崩れやすく、都心部では価格や家賃が比較的高値を維持する状況が見られます。
2025年現在のワンルームマンションの供給戸数は?
首都圏の投資用ワンルームマンション(1988年以降築の物件を集計)の供給戸数を見てみましょう。
※本グラフは、国立社会保障・人口問題研究所 将来推計人口・世帯数 日本の地域別将来推計人口 令和5(2023)年推計よりFGHが作成したものです。
2006年には約9.6万戸の分譲数でしたが、長引く低金利政策や金融緩和の影響、さらに都心部の住宅需要の高まりなどが追い風となり、ここ20年で倍以上の分譲数に伸びています。
個人投資家を中心に投資用ワンルームマンションへの関心が急速に高まり、販売スキームが確立されたことも要因の一つです。
2024年の供給地区の傾向としては東京都心周辺エリアの分譲が目立ちました。
順位 | 地域 | 新規分譲戸数 |
---|---|---|
第1位 | 江東区 | 435戸 |
第2位 | 大田区 | 325戸 |
第3位 | 墨田区 | 324戸 |
第4位 | 葛飾区 | 324戸 |
第5位 | 台東区 | 268戸 |
需要の高まりに合わせて新規のワンルームマンション建設が進むものの、都心部では用地確保や建築規制が厳しく、供給が限られがちです。
特に東京都の一部の区では、ワンルームマンション条例により、ファミリー住戸を一定の割合で設置することが求められたりといったハードルがあります。
都市部の開発に難しさを感じているデベロッパーは、比較的土地の取得がしやすい郊外や地方都市に開発をシフトする動きがあります。
ちなみに2025年上期では、その傾向はさらに顕著になり、葛飾区、埼玉県川口市、横浜市鶴見区などのエリアが新築供給のシェアトップになっています。
ワンルーム投資では「生産年齢人口」で単身世帯数をみるべき
少子高齢化の進展や晩婚化などの影響で単身世帯は増え続け、ワンルームマンションの需要を支える大きな要因となっています。
近隣にコンビニやスーパーなどの商業施設がある環境や、駅に近い立地は生活利便性が高く、特に単身者が重視するポイントです。
長引く経済情勢の変化や働き方の多様化によって、狭くてもアクセスが良く管理の行き届いた物件を選ぶ傾向が強まっています。
この結果、都市部を中心にワンルームマンションの需要が底堅くなるといえます。
一方で、純粋に単身世帯数だけでワンルームの賃貸需要を推し量ることは危険です。実際には今後増えていく単身世帯数の約半数は高齢者世帯となっていきます。
高齢者になれば持ち家比率も高くなり、元々親が住んでいた住居に住んだり施設に入居したりするケースが増えます。
そのため、単身世帯数の増加=賃貸需要の増加とはならないのです。
東京都の人口推移をみてみると、総人口は2040年まで増加しますが、生産年齢人口(15歳~65歳)に絞ると、2030年には減少に転じていきます。
※本グラフは、株式会社不動産経済研究所 首都圏投資用マンション市場動向よりFGHが作成したものです。
若年人口の流入が続く東京都では2030年が転換点となりますが、東京都以外でワンルームマンション供給が多い大阪府・神奈川県・福岡県などは生産年齢人口の減少が始まっています。
しかし、同じ都市部でも人気エリアとそうでないエリアの需給バランスには差が生じます。
需要予測と物件のスペックを見極め、投資リスクを抑えるためにもエリアリサーチは欠かせません。
東京・大阪の中だけでも、周辺地域より少子高齢化が顕著で生産年齢人口が減り始めている地域が相当数あります。
そういった地域では競合が過多になるため、より「選ばれる」物件を目指していくことが不動産投資成功の鍵となります。
エリアごとの人口動態やワンルームマンションの特徴をみてみる
需要を左右する代表的な要因
ワンルームマンションの需要は物件の特性や周辺環境など多様な条件によって大きく変動します。
ワンルームマンションは建物の築年数や管理状態、駅からの距離、周辺の商業施設や大学の近さなど、細かな要素で大きく需要が変わる点が特徴です。一度需要が落ち込むと入居者の確保に苦労するため、物件の適切なメンテナンスや設備更新は投資家にとって重要な施策です。
また、地域によっては再開発や観光整備計画などが進行しており、将来的な需要を見込んで早期に目を付けておくことで高い利回りを期待しやすくなります。ただし、再開発の成果が限定的だったり、工事期間中に賃貸需要に影響が出たりする場合もあるため、計画の進捗状況を含めた情報収集が重要です。
築年数と設備の違い
築年数が浅いほど新しい設備が整っており、家賃を高めに設定しても入居者を得やすいというメリットがあります。特に防犯設備やインターネット環境など、現代の生活ニーズに合った設備が充実していることがアピールポイントとなります。
一方、築古のマンションでも管理状態が良く定期的にメンテナンスされていれば、比較的安価な家賃設定で堅実な入居付けが期待できます。築年数だけにとらわれず、本質的な価値や修繕履歴をチェックすることが需要確保には欠かせません。
立地条件と周辺環境
駅から徒歩圏内であるか、治安が良いか、商業施設や学校が近くにあるかといった立地条件は、ワンルームマンションの人気を左右する大きな要素です。実際に住む人の視点で快適に暮らせるかを想像しながら物件を選ぶことで、需要を確保しやすくなります。
さらに、単身者が重視するコンビニや飲食店などの利便性に加え、近隣の病院や行政サービスの充実度も入居者にとって大切なポイントです。こうした周辺環境の情報を的確に把握し、効果的にマーケティングを行うことで空室リスクを低減できます。
再開発による話題性
再開発エリアにある物件は、将来的に街全体の資産価値が上がる傾向があり、需要にプラスの効果をもたらします。地価上昇の恩恵を受けることで、賃料アップや売却時の価格上昇も見込める場合があります。
例えば、昨今の大阪の不動産価格の高騰は梅田周辺の再開発の余波を受けています。
さらには再開発エリアの家賃高騰を受けて、少し遅れて周辺の区へとその影響は広がっていく傾向があります。
ただし、再開発に伴う工期の長期化や計画が変更されるリスクもあるため、情報を随時チェックすることが重要です。短期的な需要変動だけでなく、中長期的に物件価値が維持・向上できるかを考慮して投資判断を行いましょう。
地域特性から見る狙い目エリアの特徴
地域ごとに異なる人口動態や開発計画を把握し、投資に適したエリアを見極めることが重要です。
ワンルームマンションへの投資はメインとなるターゲットが単身者であるため、大学や企業が集まる地域は需要が強くなりやすいことが知られています。さらに、都市部では再開発などに伴う地価上昇が期待でき、家賃にもプラスの影響が及びやすいでしょう。
ただし、地方や郊外でも人口が増加している地域や観光客が見込めるエリアなど、周辺状況によっては魅力的な投資チャンスが潜んでいます。需給バランスを把握したうえで、価格と利回りのバランスがよい物件を選ぶのが得策です。
都心部の再開発と需要の高まり
都心部で大規模な再開発が行われると、オフィス需要や商業施設が拡充され、人の流れがさらに活発になります。そのためワンルームマンションの賃貸需要は安定し、空室リスクも低めに抑えることが可能です。
一方で、再開発エリアは物件価格も高騰しやすく、投資回収の期間が長期化することがあります。景気や金利の変動に左右されないよう、長期的な運用視点を持つことが肝要です。
地方・郊外型でのニーズと投資判断
地方や郊外では、大都市と比べるとワンルームマンションの競合が少ないエリアもあり、適切な条件が整えば高い稼働率を期待できます。大学周辺や工業団地など、特定の需要が集中する地域が狙い目となります。
ただし、将来的に人口が減少する見込みのエリアでは、供給過多に陥って空室率が上がるリスクも否めません。行政の開発計画や周辺施設の動向を細かくリサーチし、今後の需要をしっかり見極めてから投資判断をすることが大切です。
将来性を左右するリスクと注意点
ワンルームマンション投資にはさまざまなリスクが存在するため、適切なリスク管理と対策が求められます。
コンクリート造のマンションであっても、経年劣化による修繕コストや築年数に伴う供給過多のリスクは常に意識しておく必要があります。
周囲に新築マンションが増えると競合が激化し、家賃や入居率への影響が出やすいです。
さらに、金利情勢や家賃保証制度、法改正など幅広い観点でリスクを検討することが重要です。将来的に貼り付くリスク要素を先読みして、ローンや管理契約の条件を見直すなど柔軟な対応を心掛けましょう。
資産価値の下落リスク
築年数が経過するとともに建物の評価は下がりやすく、エリアの需要自体が落ち込むと資産価値も減少する可能性があります。特に人口の減少が予測される地域では先々の需要見通しが不透明となり、売却を含めた出口戦略に影響が及ぶでしょう。
ただし、都市部や再開発エリアなど需要の底堅い場所では価格が下がりにくく、長期的に安定した資産価値を保てる場合もあります。マクロの動きを踏まえた投資計画が欠かせません。
家賃保証やサブリースリスク
不動産会社が提供する家賃保証やサブリース契約は、空室リスクを軽減する手段として注目されています。
空室リスクをおさえ管理の手間が省ける一方、購入時にあまり内容を把握しないままサブリース契約を結んでしまったというオーナー様もいらっしゃるようです。
サブリース契約の場合、更新のタイミングで保証賃料が引き下げられるケースも存在し、思わぬ収益ダウンにつながる可能性があります。
更新条件や解除リスク、解約時の違約金の額などを事前にしっかりと確認しましょう。
容易に解約できるという認識でいたのに、実は解約に応じてもらえないサブリース業者だった、と売却時に判明することもあります。
金利上昇リスク
ローンを組んでワンルームマンションを購入する場合、金利が上昇すると返済額が増え、利回りを圧迫してしまいます。特に金利が低水準の時期に変動金利で融資を受けると、将来的な金利変動リスクを抱えやすい点に留意が必要です。
複数の金利シミュレーションを行うほか、固定金利の商品を検討するなど、金融状況に合わせた適切な資金計画を立てることが、安定した投資運用の鍵となります。
新築と中古で異なる需要の傾向
ワンルームマンションの投資手法として、新築を狙うか中古を狙うかでリスクやリターンが変わります。
新築か中古かで大きな違いが現れる要素には、購入価格や減価償却の面があります。どちらにもメリットとデメリットがあるため、投資目的や資金計画に沿って選択することが望ましいでしょう。
地域の需要や将来の資産価値も踏まえ、総合的に判断できるよう情報収集を徹底することが重要です。建物評価や修繕履歴で比較検討しながら、それぞれの選択肢の利点を生かす投資戦略を確立しましょう。
新築ワンルームマンション投資のメリットは?
✅新築プレミアム価格で貸し出すことができる
✅手入れがしやすく耐久性が高い設備が備えられている
最新設備を備えた新築ワンルームマンションは、入居者にとって魅力的であり、初期の空室リスクを抑えやすい点が特徴です。
防犯対策やデザイン性に優れた物件なら、家賃を高めに設定しても需要を確保できる可能性があります。
加えて、減価償却など税制優遇を受けられるケースも多く、長期的な資産形成を考えるうえで高いメリットをもたらします。
ただし、物件価格が高めに設定されていることが一般的で、投資回収には一定の時間がかかる点を理解しておきましょう。
新築ワンルームマンション投資のデメリットは?
✅管理状態の良し悪しが判断しにくい
✅新築プレミアムが終わった後は賃料が下がりやすい
新築は人気が高い反面、購入価格が比較的高くなるため、初期費用が膨らみがちです。ローンを組む場合は返済総額が大きくなり、金利上昇局面では収益が圧迫される可能性があります。
また、建物評価が下がる初期段階での資産価値の減少リスクがある点も留意すべきです。売却を考える際に想定よりも値がつかないケースもあるため、長期保有を前提に慎重な投資判断をすることが求められます。
新築ワンルームマンションは、販売時に不動産業者の利益分が大きく所有からほどなくして手離す場合は手出しが発生する可能性が高くなります。
中古ワンルームマンション投資のメリットは?
✅取得価格を抑えることができる
✅成約実績や入居実績の事例が多い
✅管理状態の良し悪しを判断しやすい
中古物件は新築に比べて購入価格が抑えやすく、投資資金が少なくても始められる点が魅力です。立地や築年数次第では比較的高い利回りを期待できる場合もあり、短期間でキャッシュフローを生みやすい特徴があります。
さらに、実際の入居率や管理状況など客観的なデータを確認しやすい点も強みです。投資判断で重要になる空室リスクや修繕履歴を把握しやすく、運用シミュレーションを具体的に行えます。
中古ワンルームマンション投資のデメリットは?
✅修繕積立金の値上げリスクをはらんでいる
✅設備の交換のタイミングにあたる可能性が高い
築年数に応じて配管や設備などが老朽化している恐れがあるため、将来的な修繕費がかさむ可能性があります。物件によっては管理体制や修繕計画が十分でないケースもあり、思わぬコストを負担することになるかもしれません。
また、新築に比べると高級感や設備面でのアピールに劣る場合があり、家賃設定を高めにするのが難しいこともあります。競合物件の多いエリアでは入居者に選ばれるための差別化戦略が不可欠です。
ワンルームマンションの欠点としては、入居需要がなくなってきた際にスラム化しやすいことです。
ファミリータイプであれば、賃料を多少下げて借りてもらうことも可能かもしれませんが、ワンルームマンションの場合は賃料の値下げにも限界があります。棟内の空室が目立つようになってきたら要注意です。
まとめ・総括
本記事で解説したポイントを踏まえ、ワンルームマンションの今後の需要と投資リスクについて全体像を振り返ります。
ワンルームマンションの需要は、少子高齢化や単身世帯の増加、都市部への人口集中などによって今後も一定の強さを保つと考えられます。
再開発やインフラ整備が進むエリアは特に注目度が高いため、物件選びの際は周辺環境や将来性をしっかりと調査することが重要です。
一方で、供給バランスの変動や築年数に伴う資産価値の減少、金利上昇リスクなど、考慮すべき注意点も多岐にわたります。
新築や中古の特徴を踏まえ、投資方針や資金計画と照らし合わせながら慎重に検討することで、ワンルームマンション投資を安定的に成功へ導きやすくなるでしょう。
\ FGHにおまかせ /

宅地建物取引士 / 賃貸不動産経営管理士 / 住宅ローンアドバイザー
株式会社FGH 代表取締役社長
株式会社アーバンフォース 代表取締役社長
2007年2月フォースグループ創業以来、投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。
中古ワンルームマンションはもちろん、不動産全般に関する多岐にわたる経験と知識でお客様からの信頼も厚い。
これまで400名以上のお客様の資産形成のお手伝いをしている。
このコラムを書いている人

Sayuri Takahashi
マーケティング部 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/2級ファイナンシャルプランニング技能士/インテリアコーディネーター
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