【不動産投資 一棟編⑯】全期間利回り(IRR:Internal Rate of Return)について

公開日2022/02/07
更新日2022/02/03

前回は、「負債比率(LTV:Loan To Value)ローントゥーバリュー」についてお伝えしました。

前回のコラムはこちらになります。

今回は、「全期間利回り(IRR:Internal Rate of Return)」についてお話したいと思います。

 

・全期間利回り(IRR:Internal Rate of Return)とは?

 

全期間利回りとは、購入から売却までの全期間におけるインカム収支とキャピタル収支を

トータルで計測した利回りになります。

賃貸経営も事業ですので、購入して、運用して、売却するまでが事業といえます

運用時点では良い利回りでも、予想を超えた価格で売却できたり、予想よりも安価でしか売却できない場合もあると思います。

トータル的な視点での利回りになるのでかなり重要な指標となります。

正式な名称は、内部収益率といいます。

以下の計算式で算出します。

 

はい、わかりますよ。この計算式の時点で戦意喪失しますよね。

分かりやすく例題で解説していきます。

 

  • 以下の例題でIRR(全期間利回り)を計算してみましょう。

年収1000万円のサラリーマンの方が以下の一棟アパートの購入を検討しております。

 

<融資条件>自己資金10%、金利1.9%、期間30年

・価 格:5800万円

・家 賃:450万円/年

・運営費:90万円/年

・返 済:228.3万円/年

・手 取:131.7万円/年

※運営費は、修繕費、管理料、固定資産税・都市計画税を指します。

家賃の20%を運営費として見込んでいます。

 

IRRは購入時、保有時、売却時の3つの数値を基に算出します。

そのため、IRRは売却して利益が確定しないと出せません。

 

そのため、仮に本物件が長期譲渡を迎える5年後に5,500万円で

売却したと想定します。また現実的には年度によって空室が

出たり出なかったり、修繕があったりなかったりするため、

現実的に手取収入は年によって異なります。今回は簡略化するために

手取は毎年131.7万円に統一します。

 

購入時:自己資金580万円+諸経費400万円(約7%計算)=980万円…①

保有時:1年目~5年目:年間131.7万円…②

売却時:5,500万円-4,542万円(5年後残債)=958万円…③

 

①~③の数字を図解すると以下のとおりとなります。

購入時 -9,800,000円
保有時 1年目 1,317,000円
2年目 1,317,000円
3年目 1,317,000円
4年目 1,317,000円
5年目 1,317,000円
売却時 9,580,000円

 

この数字が揃えば、IRR(全期間利回り)を求めることが可能です。

戦意喪失した前述の数式でしたが、実はエクセルのIRR関数で簡単に求められます。

マイクロソフトが該当関数を入れているのは感動しますね。CPM理論がアメリカ発

だからですかね。自力計算も出来ますが、ここはExcelの力を使いましょう。

 

答えは11.5%です。

 

今回の物件自体は、450万円÷5,800万円=表面利回り7.75%ですが

売却によって全期間利回りは11.5%となります。勿論上記の投資

パフォーマンスが出せればですが、実際にこれくらいのIRRを

出されている方はいらっしゃいます。

 

このIRRの最大のポイントは「時間」です。

例えば、投資した100万円が3年間で200万円になるのと

5年間で200万円になるのではIRRは変わります。

 

3年間で100万円増やすのと5年間で100万円増やすのでは

時間効率が全く違います。

そのため、このケースのIRRは3年間の場合、26%、

5年間の場合、15%となり収益率に差が出ます。

まさに「時は金なり」ですね。

せっかちな方で「早く投資金を回収して増やすべきだ!」という考え方は

IRRの考え方と似ています。私もそうですが(笑)

 

先程の例題も保有期間や売却金額によってIRRは変わります。

保有期間・売却時のキャッシュフローを最大化することで、IRRも

上がって行きますので、やはり空室を埋める、売却のタイミングを

見極めることが重要だと実感しますね。

 

今回は以上となります。

次回は、総収益率(FCR:Free and Clear Return)をお伝えしようと思います。

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役会長 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算8000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。

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