不動産投資界隈で浸透した「FIRE」について深堀りたい
こんにちは、或いはこんばんは。
2021年もいよいよ終わりを迎え、また新しい一年が始まろうとしています。
皆さまにとって良い一年であったことを願います。
年末には備忘録的にブログを書いてきたので今年も書きたくなってしまいました。
もう丸12年、投資用不動産の売買に携わらせていただき、毎年1つか2つ程度、何かしらのモヤモヤを感じることがあったりします。
2021年に感じていた”モヤモヤ”ですが・・
「FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的に自立して早期退職する)」という略語がびっくりするほど浸透しています。
ひと昔前(3年前くらい?)には「FIREムーブメント」という呼称だったと思います。
当時は真面目に働いて得た収入を貯蓄、投資運用しその期待利回り(4%程度)以下の生活費に抑えて「お金の為に働くこと」からアガること。
を指していたイメージがあります。(私の誤認でしたらごめんなさい)
何と言いますか「時間的自由を獲得した倹約家」のようなつつましい印象でした。
資本主義経済の闘争の輪から半身程の距離をとると言いますか、そんな感じです。
セミリタイアから置き換わったFIRE
当時は不動産投資界隈では「セミリタイア」と呼ばれていたのですが、いつの間にかFIREに置き換わっていました。
セミリタイアは響きがイケてなかったのでしょうか・・?
アルファベットの方が字面が良くてカッコイイのかもしれません。
恐らくですが、認識を共有したい年齢層の変化ではないか?と思っています。
セミリタイアというと40~50代を対象とするイメージですが、FIREというと20~30代もターゲットに加わる印象です。
そして、不動産投資界隈で見聞きする「FIRE」は、しばしば経済的大成者という印象を受けることがあります。
不動産資産7億円でFIRE!ですとか
年間キャッシュフロー2500万円でFIRE!のような(あんまり具体的に言うと営業妨害になりそうなので抽象的でスミマセン)鼻息荒い感じです。
ゴールとして描いている絵も不動産資産100億円!といったダイナミックなクラスへ昇華(?)していたり、海外(大体タイやマレーシア、たまにインドネシア)でのスローライフを謳歌していたりします。
不動産FIRE系ブログの共通点
自分の中のモヤモヤを解消したいというのが目的でしたが折角読むなら結実を残したい性格です。
不動産FIRE系のブログや記事を読み比べして、何かしら共通点がないか探してみました。
※粗探しのように見えてしまいそうなので先に弁明しますが、有用な情報を発信していると思われるものもありますので、あくまで私の目についてモヤっとしたものです。
1.サラリーマン時代の評価に不満!不動産投資では才能が開花した(少し誇張してます)
2.不動産投資以外の投資はリスクが高すぎる!不動産のリスクは読める(少し誇張してます)
3.自由な時間サイコー!サラリーマンのままじゃこんなに楽しめない(少し・・)
分かりやすく目についたのはこの3点です。
この3点にも悲しい共通点があり、いずれも「否定してからの対比」で表現されています。
これは大勢の人の共感を得るためにはとても有効なストーリーラインでして・・劣勢からの逆転・・
野球のことは詳しくありませんが9回裏逆転ホームラン!というとチームや選手のレジュメに残ったりしますよね?逆転劇はドラマチックでみんな大好きなんです。
人は不満(やマイナスの面)に共感しやすく、共感できた人の後を追う傾向があります。
SNSなんかでも何かに対する不満や不安ってバズッたりしますよね。
一度共感できた人のいう事を信じたくなるのは、心のシステムがそう出来ているので簡単には抗えません。
で、いろいろと読み進めていくとその先には書籍やセミナーの広告や、何やら個人情報の入力を求められる会員(メルマガ)登録へ動線が引いてあります。
「あ、広告としてFIREは使いやすいストーリーラインなんだな」と個人的には腹落ちしました。
不満と成功のコントラストがはっきりしている記事には注意
今では殆どの人がインターネットに繋がっている、私が子供の頃に攻殻機動隊(士郎正宗大好きです)なんかのSF作品で描かれていたような世界です。
様々な情報へ簡単にアクセスできる本当に便利な世の中になったと思います。
誰もが「簡単に発信」することも出来る反面、情報は無尽蔵で正しいモノばかりではなかったりします。
不満と成功のコントラストがはっきりとしたドラマチックなストーリーラインのブログや記事は若干斜に構えて読むのが良いかもしれませんね。
目につきやすいウェブページなのであればそれなりにお金や労力を投入して作成したはずですし、
簡単なスキームで真似を出来てしまうのであれば、競合を増やしてしまうだけですから。
ただ記事を読んで知識を共有し、共感してもらう事が目的でないのは確定的に明らかです。
このコラムを書いている人
高松 大樹
営業三部部長・執行役員 1986年生まれ 埼玉県育ち 2010年2月よりフォースグループで投資用不動産仲介の第一線でキャリアを積む。中古ワンルームを中心に800件に迫る成約実績。 イレギュラー案件の交通整理も得意。実体験からモアベターな選択を提案致します。 保有資格:宅地建物取引士
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