インフレ時の資産運用について
11月に読んだ新聞記事のなかで、“10月の企業物価指数が前年同月比で8.0%上昇し、約40年ぶりの伸び率を記録した” “1970年代と似た事象が増えている”というトピックスが印象に残っています。
今回はこの2点を軸にして、インフレ時の資産運用について過去の事例をもとに分析してみました。
まず、企業物価指数が約40年ぶりの伸び率を記録したという点にフォーカスしていくと、今後、企業努力で上昇分を抑えきれなくなった場合、販売価格に反映されていずれ私たちが手にするモノの値段が上昇することが予想されます。
日本では2%の消費者物価指数上昇を目標としていますが、生鮮食品及びエネルギーを除く総合では、マイナスが続いているのが現状です。
一方、アメリカの10月の消費者物価指数は30年ぶりに高い伸び率となっています。
このような状況ではどのような資産運用をしていったらよいのでしょうか。
インフレとは
インフレとはインフレーションの略で、世の中のモノやサービスの値段が上がり続ける状態のこと。
一般的には、好況でモノやサービスに対する需要が増え、共有を上回ることで発生します。
10%のインフレが起きた場合、今まで20万円だった生活費が22万円になります。
インフレが起こると、モノの価値が上がって同じ金額で買えるものが少なくなるため、お金の価値が下がってしまい、賃金も同様に増えなければ家計にとってはマイナスとなってしまいます。
インフレに関連する言葉として、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Iinflation)」を組み合わせた合成語のスタグフレーションがあり、景気が後退していく中でインフレが同時進行する現象のことをいいます。
賃金が上がらないにもかかわらず物価が上昇するという状況は、生活をしていくうえでとても厳しい状況といえます。日本では、1970年代のオイルショック後にこの状態となっていました。
デフレとは
デフレとはデフレーションの略で、世の中のモノやサービスの値段が下がり続ける状態のことをいいます。
一般的には、不況でモノやサービスに対する需要が減少し、供給を下回ることで発生します。
同じ金額で買えるものが多くなるため、モノに対して、お金の価値が上がることになります。
1970年代との類似点
現在と1970年代が似ていると指摘する新聞記事では、以下の2点をはじめとした類似点いくつか挙げられていました。
1970年代 | 現在(2020年代) | |
2つのショックとインフレ | ブレトンウッズ体制の崩落と石油危機、
インフレ高進 |
コロナ禍、
脱炭素による供給制約でインフレ懸念 |
環境問題に世界的な関心 | ローマクラブの「成長の限界」、
排ガス規制・公害対策進む |
気候変動など地球環境問題に関心 |
1970年代に起きたスタグフレーション時には、米国の株や国債による運用は苦戦し、当時の物価変動調整後の資産別騰落率は、金と不動産がプラスになった反面、株や国債はマイナスでした。
当時のようなスタグフレーションの場合では、不動産や商品などの物価上昇への耐性が強い資産を保有した方が運用の安定性は高まると話す専門家もいるそうです。
20代~30代は運用期間が長いため、株式の運用でもインフレに対応できると考えられますが年齢が上がれば不動産投資やREITに資金を振り向けることで分散効果が期待できるかもしれません。
これは、自分の年齢によって投資商品を変化させ、インフレやデフレに備えてバランスよく資産を保有する必要があるとも解釈できるのではないでしょうか。
このコラムを書いている人
yamahiro
茨城県生まれ 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
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