【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!③

公開日2020/03/02
更新日2024/01/11

 

2020.3.2
代表取締役会長 渡邊 勢月矢

 

資料 資料

 

購入目的は4年間の減価償却

私が購入した「Section 8(セクションエイト)」の物件は1戸100㎡以上あります。
 
301、306、607号のDタイプです。合計267,000ドル、約3000万円です。3ベットタイプで日本の間取りでいえば3LDKです。
 
H社のTさんからは「このタイプは人気があっていいですよ!」と太鼓判を押されて、売るときには強みになると判断したのですが、売却時に買ったときと同じH社から「いや、1ベッドのほうが小ぶりで売れやすいです」とひっくり返されて、これには驚きました。
 
購入の主な目的は法人の節税用です。
 
ご存じの通り、アメリカ不動産は建物の価値が大きく3000万円に対しての80%=2400万円を4年で償却できます。
 
年間600万円、月50万円の減価償却ができるので買いました。
 
最悪、「Section 8」の不動産投資で失敗しても、減価償却の節税の下駄をはいていますから、トントンになるだろうという目論見で買ったのです。
 
これはあくまで当時の状況で、実際には2020年度の税制改正大綱に所得税法の見直しがあり、21年分以降は日本国内での損益通算には使えなくなります。
 
この件については、また改めて書こうと思います。
 
さて、アメリカ不動産投資では管理会社が必須です。
 
Tさんはセミナーで「管理会社が良くないとダメですよ」と言っていました。
 
たしかにTさんから紹介いただいた会社は、悪くはない管理会社だと思いました。
 
売るときは最悪でしたが、保有中にとくに問題はありませんでした。
 
何が良かったのかといえば、他のテキサス不動産を買った人にも話を聞いたのですが、毎月の修繕した明細のレシートを添付してくれます。
 
事前に修繕がすごく高いと聞いており、たしかに高額ではありますが、その明細がしっかり添付されていました。
 
物件管理費用は家賃の総金額に対しての11%です。
 
内訳でいうと、物件管理が6%で会計5%です。
 
会計というのは月次PL、損益計算書だけ試算表を送ってくれます。これを合わせて11%です。
 
アメリカに限らず、海外不動産は管理手数料が高めです。
 
また日本なら管理会社に不満があれば乗り換えられますが、アメリカではそうはいきません。
 
よほどの語学力がない限り交渉は難しいように感じます。
 
クレーム1つ訴えるにも苦労するでしょう。
 
私はたまたま管理会社に恵まれましたが、そうでないケースでは大変だろうと察します。
 
これも海外不動産投資のリスクではないでしょうか。
 
●税務担当から届いた節税の明細
 
税務担当から届いた節税の明細

 

【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!
【第1回】アメリカ不動産投資との出会い
【第2回】私が行ったSection 8(セクションエイト)とはどんな投資か?
【第3回】購入目的は4年間の減価償却
【第4回】運用実績(2016年~2018年)
【第5回】生活保護スキームの崩壊から売却を決意
【第6回】なぜ? 家賃滞納にテキサス州からの支払い停止
【第7回】アメリカ不動産では、仲介手数料は売主が全額払う
【第8回】不可解な精算書……売却直前で空室を修繕
【第9回】アメリカ不動産の売却は、基本的に売主に不利!?
【第10回】セラーファイナンスのリスク
【第11回】「米国源泉徴収制度」(FIRPTA)を知っていますか?
【第12回】令和2年度税制改正による海外不動産投資への影響と、私がアメリカ不動産投資で失敗して感じたこと

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算10000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

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