【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!⑦

公開日2020/04/16
更新日2021/07/31

 

2020.4.20
代表取締役社長 渡邊 勢月矢

【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!

 

アメリカ不動産では、仲介手数料は売主が全額払う

2019年3月にテキサス不動産の売却を決意したのですが、その後は困難を極めました。ここまでの経緯から売却までを時系列をまとめると、次のような流れとなります。

■3月1日

T氏より「管理体制の変更について」メールがくる
①周辺治安悪化 ②生活保護の厳格化 ③2018年ハリケーン修繕悪化
上記理由により減価償却4年を待たずにバルク売却パッケージを提案される

 

■3月26日

売却依頼 媒介契約 手数料6%→5.5%に減額してくれた

 

■5月16日

3ユニット$240,000(@80,000)で売買契約
セラーズファイナンス75%$180,000 2年 金利5%

 

■8月1日

売却引渡し(決済)

箇条書きにしてみると順調に売却できたようにも見えますが、実際は不可解なことだらけでした。そもそも、不動産の売買には仲介といって、買主と売主をとりもつ不動産業者がいます。不動産業者は契約書を作ったり不動産の調査を行ったりと、土地建物売買のサポートを行い、その報酬として仲介手数料をいただきます。

国内不動産の売買仲介の手数料は、次の式で算出します。

売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税(400万円を超える物件)

売主、買主それぞれから仲介手数料をもらえるため、最高で売買代金に対して6%が報酬の基準となります(売主、買主の仲介業者が違う場合は、それぞれ3%)。

これがアメリカの不動産は購入時に手数料がかかりません。アメリカでは売主が仲介手数料6%を負担して、買主は仲介手数料を支払うことはないのが一般的です。ところが私は購入時に手数料を5%支払っていました。これはテキサスのH社に対してではなくて、H社の日本法人に対しての支払いです。

結局、国内不動産であれば、購入時、売却時ともに3%のところ、私のテキサス不動産投資では、購入時が5%で売却時に6%という、倍近くの高い金額を請求されました。しかし、H社は事情を考慮してくれて売却時の仲介手数料を5.5%に減額してくれました。

これだけでもおかしな話ですが、さらに続きます。とにかく何の連絡に対してもレスポンスが遅く、しっかりした説明がありません。購入当時は日本法人に5%の手数料を支払ったおかげなのか、対面説明などあり丁寧に進めてくれましたが、売却においては、現地法人へのみ手数料が発生するためか、日本法人からのフォローは一切ありません。

基本的に対面説明は一切なくてすべてメールで済ませようとします。それも私宛への説明という形ではなくて、売買の不動産会社(H社)、管理会社(H社のグループ会社)、エスクロー会社(第三者機関で日本でいえば司法書士のような役割)など関係者共有メールでやり取りを英語で行います。翻訳は依頼しなければ行われないシステムです。

また、個別に質問があっても、管理と会計と売買業者の連携が全く取れていないため要領を得ません。メール共有しているだけで「担当の仕事以外は関係ない」といったスタンスです。これが米国流のやり方で一般的なスタイルなのかもしれませんが、日本で売買仲介から管理までを請け負う不動産会社を経営する私からすると、あまりにもサービスのクオリティが低いように感じます。これは「良い・悪い」ではなくて、これがアメリカ不動産の常識なのだと認識するのが正しいのでしょう。

売却に向けての話はまだ続きます。困難はここからなのです。

●売却時の見積

 

【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!
【第1回】アメリカ不動産投資との出会い
【第2回】私が行ったSection 8(セクションエイト)とはどんな投資か?
【第3回】購入目的は4年間の減価償却
【第4回】運用実績(2016年~2018年)
【第5回】生活保護スキームの崩壊から売却を決意
【第6回】なぜ? 家賃滞納にテキサス州からの支払い停止
【第7回】アメリカ不動産では、仲介手数料は売主が全額払う
【第8回】不可解な精算書……売却直前で空室を修繕
【第9回】アメリカ不動産の売却は、基本的に売主に不利!?
【第10回】セラーファイナンスのリスク
【第11回】「米国源泉徴収制度」(FIRPTA)を知っていますか?
【第12回】令和2年度税制改正による海外不動産投資への影響と、私がアメリカ不動産投資で失敗して感じたこと

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役社長 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算8000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。

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