【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】⑪

公開日2021/01/05
更新日2024/01/11

 

2021.1.5
代表取締役会長 渡邊 勢月矢

警察

ダラス市からの是正勧告、放っておくと罰金

私のテキサス不動産売却のトラブルを綴ったコラム「アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!」にメールをくださった東京都在住のサラリーマンTさん。
 
彼もまた海外不動産投資の被害者でした。
 
当コラムでは【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】として、Tさんの失敗体験をご紹介いたします。
 
改修工事込みで購入したにも関わらず、経営状況の悪化により工事が途中でストップしたまま……貸し出すこともできず売却もできない状況に陥ってしまいました。
 
皆様も様々なリスクを考慮して投資をされることを願うばかりです。

 
ご購入された物件は、下記の内容になります。
 
物件価格:99,800ドル
想定賃料:840ドル/月額
管理費:462ドル/月額
固定資産税:727ドル/年額
想定NOI:3,809ドル/年額
 
想定NOI利回り:3.81% ※空室損は考慮していません。
 
【第1回】 テキサス不動産の被害者Tさんからのメール
【第2回】 アメリカ不動産に興味を持ったワケ
【第3回】 初めてのテキサス不動産投資セミナー
【第4回】 テキサス州のコンドミニアム購入を決意
【第5回】 実勢価格を調査。相場より高くない、むしろ良心的な価格
【第6回】 ノンバンクで50%のローンを組んでユニット購入
【第7回】現地視察ツアーに参加、テキサス州のコンドミニアムを見学
【第8回】2019年夏、幹部による2億円の横領!?
【第9回】2019年いよいよR社の破綻へ……
【第10回】2020年春、いよいよR社が破綻!

 
以下Tさん談
 
R社の破綻だけでなく、まだまだトラブルが続きます。内装工事がストップしているのは把握していましたが、共有部分の外装工事も中断したままです。
 
私が購入したTコンドミニアムは日本の集合住宅とは違い、ゲートに囲まれた大きな敷地内に平屋、もしくは2階建てのコンドミニアムが20棟200戸以上も建てられています。
 
このTコンドミニアムのHOA(コンドミニアムの管理組合)に対して、ダラス市から是正勧告が出ていました。
 
私が2018年の秋に物件を見に行ったときは、そこまで朽ちているようには見えなかったのですが、そのあと手入れをしなかったせいか、建物が傷んで放火もあったそうです。
 
幸いボヤで済んだとのことですが、このように放置したままでは、どんどん荒れて治安悪化も懸念されるため、市から警告されたのでしょう。
 
勧告書によれば、速やかに従わない場合は1日あたり最高1,000ドルが課金されます。罰金はTコンドミニアム全体に対してなので、頭割りすればそんなに大きな金額ではありません。
 
とはいえ、リフォーム費用を外壁などの修繕も含めて支払い済なので、本来であればR社に責任を持ってもらいたいところです。
 
しかし、すでにR社は破綻しており支払い能力がありません。
 
工事を完了させるためには追加の工事費用を支払う必要があります。
 
まだ正確な見積もりが出ていないのですが、1ユニットあたり8,000ドルから2万ドルを負担する可能性があります。
 
ただ、この修繕費というのは、おそらく外装部分や共有部に対してです。
 
内装の工事もまだ終わっていないのに、さらに追加工事が必要になるなんて……。本当に次から次へとトラブルが噴出している状況です。
 
正直、この問題に対してどのように対応すればいいのか、不安でしかなかったのですが、この後、オーナー会が発足し、今はオーナー会の理事や代理人が市の担当者と違反事項勧告についての話し合い、補修を行うことで進んでいます。しかし、まだまだゴールは見えない状況です。
 
なお外装の修繕工事は、R社からHOA(管理組合)へ、HOAから工事会社へというお金の流れがあるのですが、「行った工事と請求書の金額が見合わない」ということでR社から工事会社への支払いを止めています。
 
そのため工事もストップしているようです。
 
Tコンドミニアムには工事会社による先取特権が付いているため、この問題が片付かないことにはオーナーは売ることもできません。

 

【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】
【第1回】 テキサス不動産の被害者Tさんからのメール
【第2回】 アメリカ不動産に興味を持ったワケ
【第3回】 初めてのテキサス不動産投資セミナー
【第4回】 テキサス州のコンドミニアム購入を決意
【第5回】 実勢価格を調査。相場より高くない、むしろ良心的な価格
【第6回】 ノンバンクで50%のローンを組んでユニット購入
【第7回】現地視察ツアーに参加、テキサス州のコンドミニアムを見学
【第8回】2019年夏、幹部による2億円の横領!?
【第9回】2019年いよいよR社の破綻へ……
【第10回】2020年春、いよいよR社が破綻!
【第11回】ダラス市からの是正勧告、放っておくと罰金
【第12回】知らないうちに入居者が住んでいた
【第13回】高額の会費がかかるオーナー会
【第14回】(最終話)しっかり物件を選んでも失敗はある

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算8000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

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