【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】⑬

公開日2021/02/01
更新日2024/01/11

 

2021.2.1
代表取締役会長 渡邊 勢月矢

パーティー

高額の会費がかかるオーナー会

私のテキサス不動産売却のトラブルを綴ったコラム「アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!」に対して、感想のメールを東京都在住のサラリーマンTさんからいただきました。
 
Tさんもまたテキサス不動産投資で失敗してしまった当事者です。
 
テキサス州ダラスで購入したコンドミニアムの改修工事の途中で、販売運営会社が破綻。
 
知らないうちに安い値段で貸し出されていましたが、契約内容も不透明なままで過去の家賃も未入金という状況が続いており、今なおトラブルの渦中におられます。
 
当コラムでは【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】として、Tさんの失敗体験をご紹介いたします。
 
ご購入された物件は、下記の内容になります。
 
物件価格:99,800ドル
想定賃料:840ドル/月額
管理費:462ドル/月額
固定資産税:727ドル/年額
想定NOI:3,809ドル/年額
 
想定NOI利回り:3.81% ※空室損は考慮していません。
 
以下Tさん談
 
テキサス不動産投資のトラブルをどのように対処してよいのかわからず、藁にもすがる思いで様々な人に相談をしました。
 
愛知県で活動されている大家の会に連絡をしたこともあります。
 
大家の会といっても母体は不動産会社で、なんでも過去に取次店としてR社の物件を取り扱っていたのだとか。
 
その会社自体も契約直前まで進んだのですが、不審な点を感じて契約を白紙にしたと言っていました。
 
ただ、取次店として自社のお客さんにR社の物件を紹介してしまっていることもあり、責任を感じてフォローするため、無償で大家の会を立ち上げた経緯があるそうです。
 
しかし、活動途中でコロナ過に突入して活動は止まっています。
 
私も連絡をして、「今後に動きがあるようなら連絡をください」とお願いしているのですが、一般的な不動産投資セミナーのお知らせしかいただいていない状況です。
 
そうこうしているうちに、トラブルに陥っているTコンドミニアムのオーナー会が立ち上がりました。
 
オーナー会を知ったのは、新しい管理会社B社からの情報です。
 
R社の経営状況が悪化しているため管理会社変更したのですが、そのB社のYさんという日本人女性が対応してくださいました。
 
その方のメールで「オーナー会発足の動きがあるようです」と教えていただいたのです。
 
その後、R社からオーナー会の案内がありました。
 
オーナーとしてはR社に対して責任を求めたいわけで、利益相反するオーナー会をR社からの情報で知ることに違和感がありました。
 
もう一つ、私が「あれ!?」と思ったのは、オーナー会に会費があることです。それも月額1万円です。
 
運営のための実費であれば理解できますが、コロナ過という状況もあり、ミーティングはオンラインで行いますから会場費はかかりません。
 
現在、オーナー会の参加者が何名いるのかわかりませんが、2020年の春に私が参加した時点では80人程度でした。
 
Tコンドミニアムは200戸以上の規模があり、そのうちR社が日本の投資家に163戸を売っています。
 
おそらく複数戸を所有するオーナーがいたとしても、オーナーは100名以上いると思われます。
 
たとえメンバーが80人として、月額1万円で年間1,000万円にもなります。
 
これだけの費用が必要な理由がわかりかねます。なおかつ私自身は1番小さなユニットを1戸しか持っていません。
 
オーナーによっては10戸も所有している人がいました。
 
1戸も10戸も同じ会費というのはどうかと思ったのですが、ユニット割ではなく人で割っているそうです。
 
これはアメリカの慣習もあると思い、ユニットあたりなのかそれとも1人あたりなのかを英語を翻訳しながら調べたところ、所有者1人あたりのところが多く、それが一般的のようでした。
 
主宰をしているのは全員オーナーですが、弁護士やCPM(米国不動産経営管理士)の資格を持っている人や、以前に勤めていたのかR社に関してすごく詳しい人もいます。
 
最初は主宰者や参加者もうさん臭いと警戒していたのですが、オンラインミーティングを重ねるなか、内容は至極まっとうであることがわかりました。
 
しかし、年間1,000万円以上の会費を取る必要があるのか未だ疑問に感じています。
 
オーナー会ではR社の破綻で工事がストップし、身動きがとれなくなったTコンドミニアムに対して「持ち続ける」「最低限の修繕をして売却(損切り)」「しっかり直して高い値段で売却」という、3つの選択肢の決議をとった結果、「持ち続ける」という形で動いています。
 
問題となるのはストップしてしまっている工事です。
 
すでに代金を支払い済ですから、それを取り返す裁判をするにしても、アメリカと日本の通訳をつけたとなればコストがかかりますし、すでにR社は破綻しているわけです。
 
たとえ裁判に勝っても、お金を取る先がありません。
 
結局のところ、所有するにしても売却するにしても改修工事は必須なので、オーナーの意見を取りまとめて、新たに資金を集めて修繕を進めていくしかないのだと思います。

 

【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】
【第1回】 テキサス不動産の被害者Tさんからのメール
【第2回】 アメリカ不動産に興味を持ったワケ
【第3回】 初めてのテキサス不動産投資セミナー
【第4回】 テキサス州のコンドミニアム購入を決意
【第5回】 実勢価格を調査。相場より高くない、むしろ良心的な価格
【第6回】 ノンバンクで50%のローンを組んでユニット購入
【第7回】現地視察ツアーに参加、テキサス州のコンドミニアムを見学
【第8回】2019年夏、幹部による2億円の横領!?
【第9回】2019年いよいよR社の破綻へ……
【第10回】2020年春、いよいよR社が破綻!
【第11回】ダラス市からの是正勧告、放っておくと罰金
【第12回】知らないうちに入居者が住んでいた
【第13回】高額の会費がかかるオーナー会
【第14回】(最終話)しっかり物件を選んでも失敗はある

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算8000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

関連する記事