【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】⑨

公開日2020/12/07
更新日2024/01/11

 

2020.12.07
代表取締役会長 渡邊 勢月矢

破綻
 

2019年いよいよR社の破綻へ……

かつて私はテキサス不動産売却でトラブルに遭いました。
 
その経験を綴ったコラム「アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!」に多くの方から反響をいただきました。
 
そのなかで東京都在住のサラリーマンTさんは、私以上に苦境に立たされています。
 
当コラムでは【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】として、Tさんの失敗体験をご紹介いたします。

 
ご購入された物件は、下記の内容になります。
 
物件価格:99,800ドル
想定賃料:840ドル/月額
管理費:462ドル/月額
固定資産税:727ドル/年額
想定NOI:3,809ドル/年額
 
想定NOI利回り:3.81% ※空室損は考慮していません。
 
【第1回】 テキサス不動産の被害者Tさんからのメール
【第2回】 アメリカ不動産に興味を持ったワケ
【第3回】 初めてのテキサス不動産投資セミナー
【第4回】 テキサス州のコンドミニアム購入を決意
【第5回】 実勢価格を調査。相場より高くない、むしろ良心的な価格
【第6回】 ノンバンクで50%のローンを組んでユニット購入
【第7回】現地視察ツアーに参加、テキサス州のコンドミニアムを見学
【第8回】2019年夏、幹部による2億円の横領!?
 

以下Tさん談
 
2019年の夏にお家騒動ともいえるトラブルのあったR社ですが、それからもセミナー開催のメールは定期的に届いていました。
 
また10月にはテキサス州ダラスで起こったトルネードの報告をメールで受けました。
 
この件では私たちのTコンドミニアムは無事だったようです。
 
ただ、メールに支援金寄付のURLがあり、リンクをクリックすると怪しいサイトに飛びました。
 
これは邪推になりますが、もしかして支援金寄付の名目で資金集めをしようとしていたのかもしれません。
 
この時点で家賃保証はストップしていますから、ローン返済は持ち出しです。
 
数万円とはいえ、今後どうなってしまうのか案じていたところ、正月明けにR社から「米国不動産固定資産税のお支払いのお願い」が届きました。
 
本来であればローン返済分は家賃保証がされ、固定資産税についてもR社が支払うという取り決めです。
 
R社の言い分としては資金調達が難しいため、家賃保証分と同様に固定資産税についても、「事業立て直しが整った後に返還させていただく」とありました。
 
この時点で経営が本格的に厳しくなっていることがうかがえました。
 
そして2020年2月14日に決定打ともいえる文書が届きました。
 
それによると、社内の問題にくわえて2019年12月に発表された海外不動産投資に対する税制の見直し(税改正の詳細は、【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!⑫をご覧ください)の影響を受けて、R社の保有するアメリカの収益不動産の売却の見通しがたたなくなったことを理由に、財務状況の改善が見込めないという内容でした。
 
そしてR社から以下の提案がありました。
 
① 従来お伝えしておりました家賃保証に関して、滞納分を含めたお支払義務のご容赦
② 米国不動産に関するリフォーム費用等未払い経費についてのオーナー様ご負担
③ オーナー様ご所有の物件について、家賃実収入の5%及び新規テナント入居時の成功報
酬等を対価とする今後の弊社グループによる不動産管理継続
 
いくら経営が厳しいとはいえ、オーナー負担が大きすぎる内容です。
 
①に関しては状況を踏まえ了承したいと思いますが、②に関してはどのくらいの負担なのか目安が分からないと何とも答えがたいですし、またその負担が本当にリフォーム費用に充てられるのかはどうしても心配してしまうところです。
 
くわえて、このように経営危機に瀕している会社に③の管理の継続を委託できるのか……。
 
とはいえ物件は遠く離れていますから、自分で問題を対処することもできず、どのように判断していいものか非常に悩みました。
 
そして、トラブルはどんどん大きくなっていきます。

 

【実録!テキサス不動産投資失敗/Tさん編】
【第1回】 テキサス不動産の被害者Tさんからのメール
【第2回】 アメリカ不動産に興味を持ったワケ
【第3回】 初めてのテキサス不動産投資セミナー
【第4回】 テキサス州のコンドミニアム購入を決意
【第5回】 実勢価格を調査。相場より高くない、むしろ良心的な価格
【第6回】 ノンバンクで50%のローンを組んでユニット購入
【第7回】現地視察ツアーに参加、テキサス州のコンドミニアムを見学
【第8回】2019年夏、幹部による2億円の横領!?
【第9回】2019年いよいよR社の破綻へ……
【第10回】2020年春、いよいよR社が破綻!
【第11回】ダラス市からの是正勧告、放っておくと罰金
【第12回】知らないうちに入居者が住んでいた
【第13回】高額の会費がかかるオーナー会
【第14回】(最終話)しっかり物件を選んでも失敗はある

このコラムを書いている人

渡邊 勢月矢

渡邊 勢月矢

株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算8000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士

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