【特集】アメリカ不動産投資、売却は気をつけろ!②
2020.2.20
代表取締役会長 渡邊 勢月矢
購入物件
私が行ったSection 8(セクションエイト)とはどんな投資か?
アメリカ不動産投資は、どのエリアで行うかによって投資対象が変わります。
私が投資をしたテキサスでは「戸建て投資」が有名です。
家賃15~20万円くらいの戸建てを購入して、インカムゲインとキャピタルゲインにくわえて節税効果を狙った不動産投資です。
インカムゲインとは家賃収入による利益で運用益を指します。
対してキャピタルゲインは売却時における利益のことです。
いってみれば保有時にも売却時にも利益を得られる可能性があるのです。
それにくわえて減価償却による節税効果にも期待できます。
さて、私はテキサス投資を検討した際、戸建て投資には興味を持ちませんでした。
なぜなら、それくらいの家賃を払える入居者であれば、家を購入するため退去するのではないかと推測したのです。
さらにいえば戸建ての空室期間は長い傾向にあります。
後から考えれば、賃貸需要の高い学区の良いエリアを厳選して購入すれば、良かったのかもしれません。
日本もその傾向にありますが、アメリカではとにかく学区を大事にします。
「良い学区 = 治安が良い」ということです。
そうすると子育て世帯も入ってくれるし、退役軍人の老夫婦で治安の良いところに住みたい人が借りてくれるそうです。
良い学区に家を購入したいと思っても、手ごろな売り物件がなければ賃貸に住むしかありません。
そういう意味では、戸建て投資にも魅力がありますが、2016年当時はその知識がなかったのです。
さて、私が行ったのは「Section 8」(セクションエイト)への投資です。
「Section 8」というのは物件のことではなく制度の総称のようなもので、日本流の不動産投資でいえば「生活保護スキーム」です。
日本の場合は、生活保護者は住宅扶助が受けられます。
簡単にいえば行政が入居者の代わりに家賃を払ってくれるのです。
各地域により上限額が変わりますが、扶助の限度額にあわせて部屋を探すケースが多く、福祉事務所から家主に直接、住宅扶助費(共益費を含む)が支払われる「代理納付」という制度があります。
アメリカでも同様で、たとえばテキサス州の場合は、家賃10万円のうち、州が8万円を支払い、入居者からは差額の2万円の家賃負担で良いのです。
入居者が生活保護を受けるような低所得者層ではありますが、州による家賃補助の制度があることが魅力に思え、「Section 8」の物件を購入することに決めました。
1ユニットが89,000ドル、3ユニットで267,000ドル。日本円にして1戸約1000万円で、区分マンションを3戸買ったイメージです。
わかりやすいように区分マンションで例えましたが、実際には木造の低層団地のような建物です。
諸費用込で30万ドル、約3300万円(当時のレートは110円)を送金しました。
一度も現地に行くことなく購入しています。これが2016年5月のことです。
●購入時のパンフレット(物件資料)
●実際に購入した物件
【第1回】アメリカ不動産投資との出会い
【第2回】私が行ったSection 8(セクションエイト)とはどんな投資か?
【第3回】購入目的は4年間の減価償却
【第4回】運用実績(2016年~2018年)
【第5回】生活保護スキームの崩壊から売却を決意
【第6回】なぜ? 家賃滞納にテキサス州からの支払い停止
【第7回】アメリカ不動産では、仲介手数料は売主が全額払う
【第8回】不可解な精算書……売却直前で空室を修繕
【第9回】アメリカ不動産の売却は、基本的に売主に不利!?
【第10回】セラーファイナンスのリスク
【第11回】「米国源泉徴収制度」(FIRPTA)を知っていますか?
【第12回】令和2年度税制改正による海外不動産投資への影響と、私がアメリカ不動産投資で失敗して感じたこと
このコラムを書いている人
渡邊 勢月矢
株式会社FGH代表取締役会長 CPM ® (米国不動産経営管理士)徳島県生まれ、広島県育ち。 大学卒業後、中小企業の営業支援を行う会社に就職。「個人投資家の目線に立った不動産売買仲介事業をしたい」との想いを抱き2007年2月、株式会社アーバンフォースを設立。その後、賃貸・売買部門を独立させ、株式会社FGHを設立・ホールディングス化。年間1000件以上の仲介案件を手掛け、通算10000件以上の適正な流動化を実現し、不動産所有者、購入希望者双方のニーズを満たすサービスを提供し続けている。 保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
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